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防火対象物点検報告の特例認定とは?認定要件・失効・取消し

防火対象物点検報告の特例認定とは?認定要件・失効・取消し

防火対象物点検の対象になっている建物は、特例認定を受ければ点検の規定が適用されなくなると聞きますが、自分の建物でも受けられるのでしょうか。特例認定は、受ければ終わりではなく、要件を満たす必要があります。効力が続く期間も、効力がなくなる場合や取り消される場合も、法律で決まっています。この記事を読むと、認定の要件、申請と検査、効力がなくなる場合、取り消される場合について、消防法の条文に沿って知ることができます。

防火対象物点検報告の特例認定
目次

1. 特例認定とは何か

特例認定を受けた防火対象物には、防火対象物点検と、その結果の報告を定めた規定が適用されません(消防法第8条の2の2第5項)。免除されるのは、防火対象物点検の点検と報告だけです。

防火対象物点検は、一定の建物の管理について権原を有する人(その建物の管理について決める権利を持つ人)が、防火対象物点検資格者に点検させ、その結果を消防長または消防署長に報告するものです(消防法第8条の2の2第1項)。点検は一年に一回行います。消防庁長官が定める事由があるときは、その事由を勘案して定める期間ごとに行います(消防法施行規則第4条の2の4第1項)。

点検が必要な建物は、令別表第一の(一)項から(四)項まで、(五)項イ、(六)項、(九)項イなどの用途の建物で、収容人員が300人以上のもの、または避難階以外の階(1階と2階を除く)にその用途の部分があり、そこから避難階または地上に直通する階段が2以上ないもの(屋外に設けたり、避難上有効な構造にしたりしている場合は1以上)です。飲食店は(三)項ロ、物販店は(四)項に当たります(消防法施行令第4条の2の2)。工場((十二)項イ)や事務所((十五)項)の用途だけの建物は、点検が必要な項に挙がっていません。

特例認定の対象も、この点検が必要な建物です(消防法第8条の2の3第1項)。特定防火対象物かどうかの見分けは、特定防火対象物と非特定防火対象物の違い。該当する項と、点検報告・訓練・防火管理者の基準で説明しています。

特例認定を受けても、消防用設備等の点検と報告(消防法第17条の3の3)は、別の決まりとして続きます。第8条の2の2第5項が適用を外すのは、同条第1項だけだからです。第17条の3の3を守っていることは、むしろ認定の基準の一つです(消防法施行規則第4条の2の8第1項第3号)。点検の周期は、防火管理で確認しておきたい6つの項目。選任・届出・消防計画・点検・訓練のチェックリストの第5章で説明しています。

2. 認定を受けるための要件

認定は、消防長または消防署長が、建物の管理について権原を有する人の申請により行います。要件は3つあり、すべて満たす必要があります(消防法第8条の2の3第1項)。

1. 申請する人が、その建物の管理を開始してから3年が経過していること。

2. 次の4つのいずれにも当たらないこと。

  • イ 過去三年以内に、法が挙げる命令(建物の位置、構造、設備や管理の状況が法令に違反している場合のもの)がされたことがある、または命令されるべき事由が現にあること。
  • ロ 過去三年以内に、後で説明する認定の取消しを受けたことがある、または受けるべき事由が現にあること。
  • ハ 過去三年以内に、防火対象物点検または報告がされなかったことがある、または報告について虚偽の報告がされたことがあること。
  • ニ 過去三年以内の防火対象物点検で、防火対象物点検資格者により点検対象事項が点検基準に適合していないと認められたことがあること。

3. 法令を守っている状況が優良なものとして総務省令が定める基準に適合すると認められること。

第2号は「過去三年以内に一度でもあったか」で見ます。点検で不適合と認められたことが一度でもあれば、ニに当たります。命令やハの未実施も同じで、過去三年以内にあったというだけで要件を満たしません。命令がまだ出ていなくても、命令されるべき事由が現にある場合は、イに当たります。

この章のポイント

第1号は管理を始めてからの期間、第2号は過去三年以内の出来事、第3号は検査での優良さ、と判断の対象が分かれています。第2号の4つは、1つでも当たれば要件を満たしません。

点検の書類

3. 申請と検査

申請は、申請書に、認定を受けようとする防火対象物の所在地その他の事項を記載した書類を添えて、消防長または消防署長にします。申請者は、その後の検査を受けなければなりません(消防法第8条の2の3第2項)。申請書には、防火対象物の管理を開始した日を記載し、その日を確認できる書類を添えます(消防法施行規則第4条の2の8第3項・第4項)。ほかに、市町村長が定める事項も記載します(同条第3項第2号)。

第3号の「優良」の基準は、検査で、4つのすべてを満たしているかを見ます(消防法施行規則第4条の2の8第1項)。

  • 消防法施行規則第4条の2の6に規定する基準に適合していること。
  • 消防用設備等または特殊消防用設備等が、設備等技術基準(または設備等設置維持計画)に従って設置され、維持されていること。
  • 消防法第17条の3の3の規定を守っていること。
  • 消防法または消防法に基づく命令に規定する事項に関し、市町村長が定める基準に適合していること。

最後の項目は、市町村長が定める基準です。地域ごとに基準が定められている場合があるため、管轄の消防本部に確認してください。

認定をするか、しないかが決まったときは、消防長または消防署長が申請者に通知します(消防法第8条の2の3第3項)。認定する場合の通知には、認定の効力が生じる日が記載されます。認定しない場合は、遅滞なく理由を示して通知されます(消防法施行規則第4条の2の8第5項・第6項)。

申請書の様式は、消防法施行規則に別記様式が定められています。ただし、実際に使う様式は消防本部ごとに異なるのが一般的です。使う様式は、管轄の消防本部に確認してください。申請書の記入のしかたは、下の記事で説明しています。

4. 認定の効力がなくなるとき

認定は、2つの場合に、その効力を失います(消防法第8条の2の3第4項)。

  • 認定を受けてから3年が経過したとき。ただし、3年が経過する前に新たな申請がされている場合は、その申請について認定する・しないの通知があったとき。
  • 建物の管理について権原を有する人に変更があったとき。

3年が過ぎても自動で続くことはありません。続けて特例認定を受けたい場合は、3年が経過する前に、申請を出しておきます。申請をしておけば、通知があるまで認定は失効しません。

権原を有する人が変わったときは、変更前の権原を有する人が、消防長または消防署長に届け出ます(消防法第8条の2の3第5項)。届出の様式は、規則に別記様式が定められています(消防法施行規則第4条の2の8第7項)。

失効した後は、防火対象物点検と報告の規定が適用される状態に戻ります。点検が必要な建物で、報告をせず、または虚偽の報告をした場合は、30万円以下の罰金または拘留(刑事施設に収容される刑)に処されます(消防法第44条第11号)。認定を受けた日と、3年が経過する日、権原を有する人の変更の予定を、社内で共有しておくと、失効に気づけます。

カレンダーと書類

5. 認定が取り消されるとき

消防長または消防署長は、認定を受けた防火対象物が3つのいずれかに当たるときは、認定を取り消さなければなりません(消防法第8条の2の3第6項)。

1. 偽りその他不正な手段で認定を受けたことが判明したとき。

2. 法が挙げる命令(建物の位置、構造、設備や管理の状況が法令に違反している場合のもの)がされたとき。

3. 優良の基準(第1項第3号)に該当しなくなったとき。

第2号の命令に、防火管理者を定めるべきことの命令(消防法第8条第3項)と、防火管理者の業務が法令や消防計画に従っていないときの措置の命令(同条第4項)が含まれます。ほかに、消防法第5条第1項、第5条の2第1項、第5条の3第1項、第8条の2の5第3項、第17条の4第1項・第2項による命令も挙がっています(消防法第8条の2の3第6項第2号)。

失効は条件に当たると自然に効力がなくなるもので、取消しは消防長または消防署長が取り消すものです。

区分 効力がなくなる原因
失効 認定から3年が経過したとき、権原を有する人に変更があったとき
取消し 不正な手段で認定を受けたとき、法が挙げる命令がされたとき、優良の基準に該当しなくなったとき

優良の基準は認定のときだけでなく、認定を受けた後も満たし続ける必要があります。第3号に当たると取消しになるためです。

認定を受けた防火対象物には、認定を受けた日などを記載した表示を付すことができます(消防法第8条の2の3第7項)。認定を受けていない建物に、この表示や紛らわしい表示を付けることはできません(同条第8項が準用する消防法第8条の2の2第3項)。

書類ファイルと建物

6. まとめ

覚えておきたいポイント

・特例認定を受けると、防火対象物点検とその報告の規定が適用されません。消防用設備等の点検・報告は続きます。

・認定の要件は、管理開始から3年が経過していること、過去三年以内の命令・取消し・点検報告の未実施・不適合がないこと、優良の基準に適合していることです。

・認定は、3年が経過したとき、または管理について権原を有する人に変更があったときに効力を失います。

・3年が経過する前に新たな申請をしておくと、通知があるまで認定は失効しません。

・不正な手段で認定を受けたとき、命令がされたとき、優良の基準に該当しなくなったときは、認定が取り消されます。

・申請書の書き方は、特例認定申請書の書き方の記事で説明しています。

・不明な場合は、管轄の消防本部に確認してください。

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の建物や店舗への適用を保証するものではありません。実際の取り扱いは、管轄の消防本部に確認してください。

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