防火対象物点検の特例認定を申請するとき、申請書には何を書き、何を添えればよいのでしょうか。迷いやすいのは、申請書に書く内容そのものよりも、管理を開始した日と、添える書類です。認定が3年で失効する点は、第4章で触れます。この記事を読むと、申請書に書く内容、書類を添えるときの注意、申請したあとの流れについて知ることができます。
1. 申請するのはだれで、どこへ出すのか
申請するのは、防火対象物の管理について権原を持つ人(その建物の管理について決める権利のある人。事業主など)です。出す先は、消防長または消防署長です。認定をするかどうかを決めるのも、消防長または消防署長です(消防法第8条の2の3第1項)。
申請は、申請書を出すだけでは終わりません。法は、申請者に検査を受けることも求めています。
申請者は、総務省令で定めるところにより、申請書に前項の規定による認定を受けようとする防火対象物の所在地その他総務省令で定める事項を記載した書類を添えて、消防長又は消防署長に申請し、検査を受けなければならない。(消防法第8条の2の3第2項)
特例認定を受けた防火対象物には、定期の点検と報告の規定は適用されません(消防法第8条の2の2第5項)。

2. 申請書には何を書くのか
申請書の様式は、消防法施行規則に別記様式が定められています(消防法施行規則第4条の2の8第2項)。ただし、実際に使う様式は消防本部ごとに異なるのが一般的です。使う様式は、管轄の消防本部に確認してください。
下の表は、規則の別記様式の欄に沿った説明で、消防本部の様式では欄の並びや名称が異なる場合があります。最初に、防火対象物の申請か防災管理の申請かを、□にレ点を付けて選びます。
| 欄 | 書く内容 |
|---|---|
| あて先 | 消防長(消防署長)(市町村長) |
| 管理権原者 | 住所、氏名(法人の場合は、名称及び代表者氏名)、電話番号 |
| 防火対象物 | 所在地、名称、管理権原(「単一権原」「複数権原」の選択欄)、用途(消防法施行令別表第一の項)、収容人員、「令第2条を適用するもの」の欄 |
| 申請者が管理を開始した年月日 | 申請者が防火対象物の管理を開始した年月日 |
| 前回の特例認定年月日 | 前回の特例認定を受けた年月日 |
| その他必要な事項 | 申請書に書く必要のあるその他の事項 |
受付欄と経過欄には、記入しません。□のある欄は、当てはまる□にレ点を付けます。
用途は消防法施行令別表第一の項で、収容人員は用途ごとの数え方で決まります。見分け方と数え方は、下の記事で説明しています。届出書の欄の説明の例としては、選任・解任の届出書の書き方も参考になります。
くわしく知りたい方へ
備考に書かれている、添える書類
別記様式の備考には、「防火対象物又は防災管理対象物の所在地、管理権原者が防火対象物又は防災管理対象物の管理を開始した日その他市町村長が定める事項を記載した書類を添付すること」とあります。
法令に沿って整理すると、申請で出す書類は3つです。
- 申請書本体: 別記様式の申請書で行います(消防法施行規則第4条の2の8第2項)。
- 所在地や管理を開始した日などを記載した書類: 申請書に添えます。法は「所在地その他総務省令で定める事項」を記載した書類を添えると定め(消防法第8条の2の3第2項)、規則は、その事項を「防火対象物の管理を開始した日」と「前号に掲げるもののほか、市町村長が定める事項」としています(消防法施行規則第4条の2の8第3項)。
- 管理を開始した日を確認できる書類: 管理を開始した日については、確認できる書類も添えます(消防法施行規則第4条の2の8第4項)。第3章で説明します。
3. 管理を開始した日と、添える書類
申請書に管理を開始した日を書くのは、認定の要件の一つが、申請者が防火対象物の管理を開始した時から3年が経過していることだからです(消防法第8条の2の3第1項第1号)。管理を開始した日は、その3年の起点になります。
この日を書くときは、日付を確認できる書類を添えます。
前項第一号の事項については、当該事項を確認できる書類を添えなければならない。(消防法施行規則第4条の2の8第4項)
条文が定めているのは「確認できる書類を添える」までです。どの書類を管理開始の確認書類として受け付けるかは、不明な場合は、管轄の消防本部に確認してください。
申請書に書く管理を開始した日と、添える書類の日付が合っているか、出す前に見比べます。

4. 申請したあとの流れと、認定の期間
申請をすると、検査があり、そのあとに通知が届きます。消防長または消防署長は、認定をしたときも、認定をしないと決めたときも、申請者に通知します(消防法第8条の2の3第3項)。認定の通知には、認定が効力を生じる日が記載されます(消防法施行規則第4条の2の8第5項)。認定をしない場合は、遅滞なく、その理由が示されます(消防法施行規則第4条の2の8第6項)。
認定には期間があります。認定を受けてから3年が経過したときに、効力を失います。ただし、3年が経過する前に同じ防火対象物についてあらためて申請がされている場合は、その結果の通知があったときに失われます(消防法第8条の2の3第4項第1号)。
建物の管理について権原を持つ人が変わったときも、認定は効力を失います(消防法第8条の2の3第4項第2号)。変更前の権原を持つ人は、その旨を消防長または消防署長に届け出ます(消防法第8条の2の3第5項)。
出した申請書と、届いた通知は、保管します。防火管理維持台帳(防火管理の書類をとじ込んで備えておく台帳)に編冊(とじ込む)する書類として、規則が申請書の写しと、認定または不認定の通知を挙げているためです(消防法施行規則第4条の2の4第2項第3号・第4号)。

5. まとめ
覚えておきたいポイント
・特例認定の申請をするのは、防火対象物の管理について権原を持つ人です。出す先は消防長または消防署長で、申請のあとに検査があります。
・申請書の様式は、規則に別記様式がありますが、消防本部ごとに異なるのが一般的です。
・申請書には、管理権原者、防火対象物、申請者が管理を開始した年月日、前回の特例認定年月日などの欄があります。
・申請書には、所在地や管理を開始した日などを記載した書類を添え、管理を開始した日は確認できる書類も添えます。
・認定の通知には、効力を生じる日が記載されます。認定をしない場合は、理由が示されます。
・認定は、3年が経過したときと、権原を持つ人が変わったときに効力を失います。
・申請書の写しと通知は、防火管理維持台帳に編冊します。
・不明な場合は、管轄の消防本部に確認してください。
複雑な届出は、専門家に依頼する方法もあります
届出書など、書類の作成や提出が難しいと感じるときは、行政書士などの専門家に依頼するのも一つの方法です。なお、建物がどの項に当たるかは、管轄の消防本部に確認します。依頼すると、たとえば次のような点で、手間を減らせる場合があります。
・届出書の書式の選び方を相談できるため、書類を作り直す手間を減らせる場合があります。
・添える書面の確認を任せられるため、書類の不足や取り違えに気づきやすくなる場合があります。
・提出までの段取りを整理できるため、役所に出向く回数や、書類を何度も見直す手間を減らせる場合があります。
どの書類を任せられるかは、あらかじめ確認します。相談するかどうかは、ご自身で判断してください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の建物や店舗への適用を保証するものではありません。実際の取り扱いは、管轄の消防本部に確認してください。

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