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防火管理維持台帳とは。とじ込む書類と、消防用設備等の維持台帳との違い

防火管理維持台帳とは。とじ込む書類と、消防用設備等の維持台帳との違い

防火管理の書類の保管を任されました。届出の控え、点検の報告書、講習の修了証など、種類が多く、置き場所が分かれがちなため、一冊にまとめる方法を知りたくなります。消防法施行規則には、これらをとじ込んで一冊にまとめる「防火管理維持台帳」の定めがあります。ただ、この台帳を備えるのは、飲食店、物販店、旅館、病院のように、1つの使い方で使う建物のうち、点検の対象になるものです。工場、事務所、倉庫は防火管理維持台帳の対象外ですが(第2章)、設備の点検の結果を記録する、名前の似た別の「維持台帳」には関わります(第6章)。この記事を読むと、台帳を備える建物ととじ込む書類を中心に、点検から記録までの流れ、設備の維持台帳との違い、「権原を有する人」の考え方について知ることができます。

目次

1. 防火管理維持台帳は、点検の結果を記録して保存する台帳です

防火管理維持台帳は、防火対象物点検の結果を記録して保存するための台帳で、決まった書類をとじ込んで一冊にまとめたものです。備えるのは、点検の対象の建物の管理について権原を有する人です。

法第八条の二の二第一項の防火対象物の管理について権原を有する者は、前項の規定により点検を行った結果を防火管理維持台帳(次の各号に掲げるものを編冊したものをいう。)に記録するとともに、これを保存しなければならない。(消防法施行規則第4条の2の4第2項)

「権原を有する者」は、その建物の管理について決める権利を持つ人です。「編冊」は、書類をとじ込んで一冊にまとめることです。この条文が定めているのは、各号の書類を編冊することと、点検の結果を記録して保存することまでで、保存の期間は定めていません。不明な場合は、管轄の消防本部に確認してください。

ファイルの形や並べ方も、規則は定めていません。決まっているのは、どの書類をとじ込むかです。

防火対象物点検は、1年に1回行うのが原則で、結果は消防長または消防署長に報告します(消防法施行規則第4条の2の4第1項、消防法第8条の2の2第1項)。台帳には、この点検の報告書だけでなく、防火管理者の届出、消防計画に基づく訓練や点検の記録など、点検の背景になる書類もまとめてとじ込みます。

2. 台帳を備えるのは、防火対象物点検の対象の建物です

点検の対象になる建物は、消防法施行令第4条の2の2で決まっています(消防法第8条の2の2第1項)。(一)〜(四)項、(五)項イ、(六)項、(九)項イなどの防火対象物のうち、2つの場合のどちらかに当たるものが対象です。このほか、(十六)項イと(十六の二)項も、同じ条文の対象に挙がっています。

  • 収容人員が300人以上のもの。
  • (一)〜(四)項、(五)項イ、(六)項、(九)項イの用途に使う部分が、避難階以外の階(1階と2階を除く階)にあり、その階から避難階または地上へ直通する階段が2つ以上設けられていないもの。階段が屋外に設けられているか、総務省令で定める避難上有効な構造の場合は、1つ以上で足ります。避難上有効な開口部のない壁で区画された部分がある場合は、その区画された部分を、その階として見ます。

(消防法施行令第4条の2の2)

飲食店は(三)項ロ、物販店は(四)項、旅館・ホテルは(五)項イ、病院や福祉施設は(六)項に当たり、上のどちらかの場合に当てはまれば、台帳の対象です。

一方、1つの使い方で使う工場((十二)項イ)、倉庫((十四)項)、事務所などの事業場((十五)項)は、この条文の列挙に挙がっていないため、防火対象物点検の対象外です(消防法施行令第4条の2の2)。これらの建物には、防火管理維持台帳の定めはかかりません。設備の点検の結果を記録する別の維持台帳は関わります(第6章)。

点検をするのは、防火対象物における火災の予防に関する専門的知識を有する者で、総務省令で定める資格を持つ人、つまり防火対象物点検資格者です。点検の結果は、この資格者の点検を経て、消防長または消防署長に報告します(消防法第8条の2の2第1項)。対象かどうか、点検の時期、報告の方法は、下の記事で説明しています。

並んだファイル

3. 台帳にとじ込む書類は、号ごとに決まっています

とじ込む書類は、消防法施行規則第4条の2の4第2項の第1号から第10号までに挙げられています。内容は、講習の修了証、防火管理の届出の控え、点検と特例認定の書類、消防用設備等の書類、消防計画に基づく実施状況の書類に分けられます。

号 とじ込む書類
第1号 甲種防火管理再講習の修了証の写し(消防法施行規則第2条の3第5項)
第1号の2 消防計画の作成・変更の届出、防火管理者の選任・解任の届出、防火対象物の全体についての消防計画の届出、統括防火管理者の選任・解任の届出、自衛消防組織に関する届出に係る書類の写し(消防法施行規則第3条第1項、第3条の2第1項、第4条第1項、第4条の2第1項、消防法第8条の2の5第2項)
第2号 防火対象物点検の結果の報告書の写し(消防法施行規則第4条の2の4第3項)
第3号 特例認定の申請書の写し(消防法施行規則第4条の2の8第2項)
第4号 特例認定をする、またはしない旨の通知(消防法施行規則第4条の2の8第5項・第6項)
第5号 消防用設備等の設置に係る工事を終えたときの届出に係る書類の写し(消防法施行規則第31条の3第1項)
第6号 消防用設備等の検査済証(消防法施行規則第31条の3第4項)
第7号 消防用設備等の点検結果の報告書の写し(消防法施行規則第31条の6第3項)
第8号 防火管理に係る消防計画に基づき実施される状況を記載した書類(イ〜リ。第4章)
第9号 消防用設備等の工事、整備等の経過一覧表
第10号 前各号のほか、防火管理上必要な書類

届出の控えは、届出のたびに写しが増えます。防火管理者の選任・解任は防火管理者の選任・解任の届出書の書き方。項目ごとの記入のしかたと添付書類で、特例認定は防火対象物点検報告の特例認定とは?認定要件・失効・取消しと防火対象物点検の特例認定申請書の書き方。書く内容と、管理を開始した日を示す書類で説明しています。

第5号から第7号と第9号は、設備の工事と点検に関する書類です。設備の検査済証や経過一覧表も、防火管理の台帳にとじ込みます。

書類をとじ込む

4. 消防計画に基づく実施状況の書類は、8つの項目に分かれます

第8号は、とじ込む書類のなかでも項目が多く、「防火管理に係る消防計画に基づき実施される」状況を記載した書類を挙げています(消防法施行規則第4条の2の4第2項第8号)。消防計画に定めた内容を実施し、その状況を記録に残すという流れが、前提です。

状況を記載した書類の対象は、イからチまでの8つです。

  • イ 防火対象物についての火災予防上の自主検査の状況
  • ロ 消防用設備等または特殊消防用設備等の点検と整備の状況
  • ハ 避難施設の維持管理の状況
  • ニ 防火上の構造の維持管理の状況
  • ホ 定員の遵守その他、収容人員の適正化の状況
  • ヘ 防火管理上必要な教育の状況
  • ト 消火、通報、避難の訓練その他、防火管理上必要な訓練の状況
  • チ 増築、改築、移転、修繕または模様替えの工事中の防火対象物における、防火管理者またはその補助者の立会いその他、火気の使用または取扱いの監督の状況

(消防法施行規則第4条の2の4第2項第8号イ〜チ)

このほか、リとして、大規模な地震に係る防災訓練と教育・広報の状況の書類も挙がっていますが、強化地域にある一部の施設に限る定めです(同号リ)。

防火対象物点検の基準にも、この書類と重なる内容があります。点検では、防火管理者の選任・解任の届出と消防計画の届出がされていること、そして、消防計画に基づいて消防庁長官が定める事項が適切に行われていることが基準に含まれています(消防法施行規則第4条の2の6第1項第1号・第2号)。台帳の第1号の2(届出の控え)と第8号(実施状況の書類)は、この2つの基準と同じ題材を扱っています。

消防計画の作り方は消防計画の届出の決まり。決める事項、取り違えやすい点、防火管理者を変えるときの別の届出、訓練は消防訓練のやり方。年の回数、事前の通報、進め方をやさしく解説で説明しています。

5. 点検から台帳への記録までの流れと、特例認定

台帳に記録するのは、防火対象物点検の結果です。流れは、点検、報告、記録と保存の順です。

点検は、防火対象物点検資格者が行い、1年に1回が原則です。新型インフルエンザ等のため点検が困難なときは、消防庁長官が定める期間ごとに行います(消防法第8条の2の2第1項、消防法施行規則第4条の2の4第1項)。結果は報告書にまとめ、消防長または消防署長に報告します。報告書の様式は、消防庁長官が定めています(消防法施行規則第4条の2の4第3項)。この報告書の写しが、台帳の第2号の書類です。

点検の結果、防火対象物点検資格者が、点検対象事項が点検基準に適合していると認めたときは、点検を行った日などを記載した表示を、防火対象物に付けられます(消防法第8条の2の2第2項)。表示に載る事項は、点検を行った日から1年後の年月日、権原を有する人の氏名、点検を行った点検資格者の氏名などです(消防法施行規則第4条の2の7第3項)。

特例認定は、この点検の仕組みを変えます。特例認定を受けた防火対象物には、防火対象物点検の規定は適用されません(消防法第8条の2の2第5項)。認定を申請できるのは、管理を開始した時から3年が経過していて、過去3年以内に命令や点検の不履行などがなく、法令の遵守の状況が優良なものとして総務省令で定める基準に適合すると認められる防火対象物の、権原を有する人です(消防法第8条の2の3第1項)。

申請書には、管理を開始した日を確認できる書類を添えます(消防法施行規則第4条の2の8第3項・第4項)。認定は、受けてから3年が経過したとき(その前に再度の申請があるときは、認定の可否の通知があったとき)と、権原を有する人に変更があったときに、効力を失います(消防法第8条の2の3第4項)。

特例認定の申請書の写しと、認定または不認定の通知は、台帳の第3号と第4号にとじ込む書類です(消防法施行規則第4条の2の4第2項)。

6. 消防用設備等の維持台帳は、別の台帳です

消防法施行規則には、もう一つ「維持台帳」があります。消防用設備等の点検の結果を記録する台帳で、防火対象物の関係者が点検の結果を維持台帳に記録するとともに、消防長または消防署長に報告します(消防法施行規則第31条の6第3項)。

台帳 備える人 とじ込む書類の中心
防火管理維持台帳(消防法施行規則第4条の2の4第2項) 防火対象物点検の対象の建物の権原を有する人 届出の控え、点検・特例認定の書類、消防計画に基づく実施状況の書類など
消防用設備等の維持台帳(消防法施行規則第31条の6第3項) 消防用設備等の点検と報告の対象になる防火対象物の関係者 設置の届出書類の写し、検査済証、消防法施行規則第31条の3第5項の報告書の写し、工事・整備等の経過一覧表など

二つの台帳に共通してとじ込む書類は、設置に係る工事を終えたときの届出に係る書類の写し、検査済証、工事・整備等の経過一覧表です(消防法施行規則第4条の2の4第2項第5号・第6号・第9号、第31条の6第3項)。

報告書は、二つの台帳で別のものです。防火管理維持台帳には、第31条の6第3項の報告書の写しを、消防用設備等の維持台帳には、第31条の3第5項の報告書の写しをとじ込みます。第31条の3第5項が様式を定めているのは、消防用設備等試験結果報告書です(消防法施行規則第4条の2の4第2項第7号、第31条の6第3項、第31条の3第5項)。

消防用設備等の維持台帳は、防火対象物点検の対象でない建物にも関わります。消防用設備等の点検結果の報告は、建物の用途で周期が分かれています。飲食店、物販店、旅館、病院などは1年に1回、工場、倉庫、事務所などの事業場は3年に1回です(消防法施行規則第31条の6第3項第1号・第2号)。点検の周期と報告は、消防用設備等の点検とは。点検の周期と、報告の義務をやさしく解説で説明しています。

二つの台帳

7. 権原を有する人の手続きと、特例認定を受けた場合の台帳

台帳を備えるのは、建物の管理について権原を有する人です。この人は、台帳のほかにも、防火管理者の選任・解任の届出(消防法第8条第1項・第2項)、防火対象物点検資格者による点検と報告(消防法第8条の2の2第1項)、特例認定の申請(消防法第8条の2の3第1項)に関わります。点検の表示にも、この人の氏名が載ります(消防法施行規則第4条の2の7第3項第2号)。誰が建物の管理について権原を有しているかが、台帳を備える人を決めます。

迷いやすい点が、2つあります。

1つ目は、権原を有する人が変わったときです。特例認定を受けた防火対象物で、権原を有する人に変更があったときは、認定は効力を失います(消防法第8条の2の3第4項)。変更前の権原を有する人は、その旨を消防長または消防署長に届け出ます(消防法第8条の2の3第5項)。

2つ目は、特例認定を受けた建物の台帳です。特例認定を受けた防火対象物には、防火対象物点検の規定が適用されません(消防法第8条の2の2第5項)。一方で、台帳にとじ込む書類には、特例認定の申請書の写しと通知が挙がっています(消防法施行規則第4条の2の4第2項第3号・第4号)。認定を受けた建物で、台帳の記録・保存の定めがどう扱われるかは、これらの条文の関係から言い切ることができません。不明な場合は、管轄の消防本部に確認してください。

8. まとめ

覚えておきたいポイント

・防火管理維持台帳は、防火対象物点検の対象の建物の権原を有する人が、点検の結果を記録して保存する台帳です(消防法施行規則第4条の2の4第2項)。

・台帳は、各号の書類を編冊(とじ込んで一冊にまとめる)したものです。保存の期間は、この条文では定めていません。

・対象は、(一)〜(四)項、(五)項イ、(六)項、(九)項イなど(飲食店、物販店、旅館、病院など)のうち、収容人員300人以上の建物と、避難階以外の階にあって階段が足りない建物です。工場、倉庫、事務所などの事業場は対象外です(消防法施行令第4条の2の2)。

・とじ込む書類は第1号から第10号まで。修了証の写し、届出の控え、点検・特例認定の書類、消防用設備等の書類、消防計画に基づく実施状況の書類などです。

・消防用設備等の維持台帳は、別の台帳です。報告の周期は、飲食店などが1年に1回、工場・倉庫・事務所などが3年に1回です(消防法施行規則第31条の6第3項)。

・不明な場合は、管轄の消防本部に確認してください。

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の建物や店舗への適用を保証するものではありません。実際の取り扱いは、管轄の消防本部に確認してください。

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