消防計画を消防長または消防署長に届け出るのは、防火管理者です。消防計画は、権原を持つ人(事業主など)の指示を受けて防火管理者が作成し、消防長または消防署長に届け出ます。変更するときも同じです。防火管理者を決めたあとに「消防計画を届け出てください」と言われたときは、何を、だれが、どこへ出すのかを、この点から確かめられます。この記事を読むと、届出先と届け出る場面、防火管理者を決める建物の基準、消防計画に決める事項、届出の期限・提出方法、防火管理者を変えるときの別の届出について知ることができます。
1. 消防計画はだれが作り、どこへ届けるのか
消防計画を作成するのは防火管理者で、届出先は所轄の消防長または消防署長です(消防本部を置かない市町村では市町村長)。ただし、防火管理者が1人で決めるわけではありません。権原を持つ人(その建物の管理について決める権利のある人。事業主など)の指示を受けて作ります。消防法施行規則は、こう定めています。
防火管理者は、(中略)当該防火対象物の管理について権原を有する者の指示を受けて防火管理に係る消防計画を作成し、別記様式第一号の二の届出書によりその旨を所轄消防長(消防本部を置かない市町村においては、市町村長。以下同じ。)又は消防署長に届け出なければならない。
防火管理に係る消防計画を変更するときも、同様とする。(消防法施行規則第3条第1項)
作成の届出も変更の届出も、「消防計画の届出書」で行います。消防法施行規則に別記様式が定められています。ただし、実際に使う様式は消防本部ごとに異なるのが一般的です。使う様式は、管轄の消防本部に確認してください(消防法施行規則第3条第1項)。
つまり、権原を持つ人は防火管理者に指示を出し、防火管理者は消防計画を作って届け出る、という分担です。「事業主が自分で書いて出す」と考えていた方は、主語が防火管理者である点に注意してください。

2. どんなときに届け出るのか
届け出るのは、消防計画を作成したときと、変更するときの2つです。
変更の場面は、消防計画に決めた内容が変わるときです。たとえば、火災のときに動く自衛消防の組織が変わったとき、内装工事で避難通路や避難口が変わったとき、増築や模様替えの工事に入るときは、第4章の事項に関わります。飲食店が客席を増やす工事をして、避難の道筋や消火器の置き場所を消防計画に書いていたなら、その記載が変わります。
軽い修正まで届出の対象かどうかなど、不明な場合は、管轄の消防本部に確認してください。
3. 防火管理者を決める建物と、収容人員の基準
防火管理者を決めて消防計画を作る建物は、用途ごとの収容人員が基準の人数以上のものです。収容人員とは、その建物に出入りし、勤務し、または居住する人の数です(消防法施行令第1条の2第3項第1号イ)。基準は、建物が特定防火対象物か非特定防火対象物かで分かれます(消防法施行令第1条の2第3項第1号)。
特定防火対象物は、多数の人が出入りする建物として法令が定めるものです(消防法第17条の2の5第2項第4号、消防法施行令第34条の4)。飲食店((三)項ロ)や店舗は特定防火対象物、工場((十二)項イ)、事務所、倉庫は非特定防火対象物です。見分け方は、特定防火対象物と非特定防火対象物の違い。該当する項と、点検報告・訓練・防火管理者の基準で案内しています。
| 区分 | 収容人員の基準 |
|---|---|
| 特定防火対象物 | 30人以上 |
| 非特定防火対象物 | 50人以上 |
(六)項ロ(避難が困難な要配慮者の施設)は10人以上です。(十六の三)項と(十八)〜(二十)項は、この基準の対象外です。各用途の正式な名称は、消防法施行令別表第一にあります。収容人員の数え方は、用途ごとに総務省令(消防法施行規則)で決まっています(消防法施行規則第1条の3)。
4. 消防計画に決める事項
決める事項は、消防法施行規則に挙げられています。
訓練の回数は、特定防火対象物か非特定防火対象物かで変わります。
消防計画には、建物の位置、構造、設備の状況と使い方に応じて、「おおむね」以下の事項を決めます。第3章の基準にあてはまる建物は、この区分です(消防法施行規則第3条第1項第1号)。
- 自衛消防の組織(火災のときに動く体制)
- 火災予防上の自主検査
- 消防用設備等の点検・整備
- 避難通路、避難口などの維持管理と案内
- 防火壁、内装など防火上の構造の維持管理
- 定員の遵守など収容人員の適正化
- 防火管理上必要な教育
- 消火、通報、避難の訓練などの定期的な実施
- 火災や地震などのときの消火活動、通報連絡、避難誘導
- 消防機関との連絡
- 増築、改築、移転、修繕、模様替えの工事中の、防火管理者または補助者の立会いなど、火気の使用や取扱いの監督
- 上記のほか、防火管理に関し必要な事項
新築の工事中の建築物や建造中の旅客船は別の区分で、決める事項も異なります(消防法施行規則第3条第1項第2号)。
このほか、決める事項が加わる場合があります。
- 防火管理の業務の一部を委託している場合: 受託者の氏名・住所(法人は名称と主たる事務所の所在地)と、受託者が行う業務の範囲・方法を決めます。委託先が対象になるのは、その建物の関係者(所有者、管理者、占有者)と、関係者に雇用されてその建物で勤務している人以外の人です。消防用設備等の定期の点検は、この委託の対象から除かれます(消防法施行規則第3条第2項)。
- 地震に関する地域の指定がある場合: 大規模地震対策特別措置法による強化地域、南海トラフ地震防災対策推進地域、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震防災対策推進地域にある一定の施設の防火管理者は、地震に備える事項を追加で決めます(消防法施行規則第3条第4項、第6項、第8項)。
訓練の回数も、特定防火対象物か非特定防火対象物かで変わります。
| 区分 | 消火訓練・避難訓練の回数 |
|---|---|
| 特定防火対象物 | 年2回以上 |
| 非特定防火対象物 | 消防計画に定めた回数 |
年2回以上とする定めの対象は、特定防火対象物のうち、(十六の三)項(建築物の地階で連続して地下道に面して設けられたものなど)を除いたものです(消防法施行規則第3条第10項)。特定防火対象物では、訓練を行うときに、あらかじめ消防機関に通報します(消防法施行規則第3条第11項)。
5. 届出の期限・提出方法
届出の時期(いつまでに)について、条文が定めているのは、届出者(防火管理者)と届出先(所轄の消防長または消防署長)までです(消防法施行規則第3条第1項)。
届け出る時期、添える書類、提出方法など、不明な場合は、管轄の消防本部に確認してください。
6. 取り違えやすい点
取り違えやすいのは、主語と届出の種類です。作成・変更の届出をするのは、権原を持つ人ではなく防火管理者です。防火管理者を決めたときの届出は、消防計画の届出とは別の届出です(第7章)。

7. 防火管理者を変えるときの、別の届出
防火管理者が交代すると、消防計画の内容が変わることがあります。このとき、消防計画の作成・変更の届出と、防火管理者の選任・解任の届出の、2つが関わります。
| 消防計画の作成・変更の届出 | 防火管理者の選任・解任の届出 | |
|---|---|---|
| 届出書 | 消防計画の届出書(消防法施行規則第3条第1項) | 選任・解任の届出書(消防法施行規則第3条の2) |
| 届出をする人 | 防火管理者(消防法施行規則第3条第1項) | 権原を有する者(消防法第8条第2項) |
選任の届出には、防火管理者の資格を証する書面を添えます(消防法施行規則第3条の2)。選任・解任の届出について、消防法は次のように決めています。
前項の権原を有する者は、同項の規定により防火管理者を定めたときは、遅滞なくその旨を所轄消防長又は消防署長に届け出なければならない。
これを解任したときも、同様とする。(消防法第8条第2項)
防火管理者を変えるときは、新しい人を決めたときの届出と、前の人を解任したときの届出が関わります。
くわしく知りたい方へ

8. まとめ
覚えておきたいポイント
・消防計画は、防火管理者が、権原を持つ人の指示を受けて作成します。
・届出先は、所轄の消防長または消防署長です。作成も変更も、消防計画の届出書で届け出ます。
・防火管理者を決める建物は、特定防火対象物が収容人員30人以上、非特定防火対象物が50人以上です。(六)項ロは10人以上です。
・消防計画に決める事項は、消防法施行規則に挙げられています。
・業務を委託している場合は、消防計画に決める事項が加わります。
・訓練は、特定防火対象物が年2回以上(あらかじめ消防機関に通報)、非特定防火対象物は消防計画に定めた回数です。
・届出の時期(いつまでに)について、条文が定めているのは、届出者・届出先までです。
・防火管理者を変えるときは、選任・解任の届出(遅滞なく)が別にあります。
・不明な場合は、管轄の消防本部に確認してください。
複雑な届出は、専門家に依頼する方法もあります
届出書など、書類の作成や提出が難しいと感じるときは、行政書士などの専門家に依頼するのも一つの方法です。なお、建物がどの項に当たるかは、管轄の消防本部に確認します。依頼すると、たとえば次のような点で、手間を減らせる場合があります。
・届出書の書式の選び方を相談できるため、書類を作り直す手間を減らせる場合があります。
・添える書面の確認を任せられるため、書類の不足や取り違えに気づきやすくなる場合があります。
・提出までの段取りを整理できるため、役所に出向く回数や、書類を何度も見直す手間を減らせる場合があります。
どの書類を任せられるかは、あらかじめ確認します。相談するかどうかは、ご自身で判断してください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の建物や店舗への適用を保証するものではありません。実際の取り扱いは、管轄の消防本部に確認してください。

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