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パッケージ型消火設備とは。屋内消火栓設備との関係

パッケージ型消火設備とは。屋内消火栓設備との関係

消防法施行令第11条第1項から第3項までの規定で設置し、維持しなければならない屋内消火栓設備に代えて用いることができる設備が、パッケージ型消火設備です。見積書や図面でこの名前を見て、屋内消火栓設備とどう違うのか、自分の建物に置けるのかを知りたくなる場面もあります。この設備を定めているのは、「必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等に関する省令」(この記事では「省令」と書きます)です。置けるかどうかは、建物の使い方(項)や階、延べ面積などの条件で決まるため、まず屋内消火栓設備が必要な建物かどうかを確かめるのが出発点です。この記事を読むと、設備の説明、屋内消火栓設備が必要かどうかの確認、設置できる建物の条件、設置と維持の基準、「代えて用いる」仕組み、設置するときの届出・検査と工事、設置後の点検と維持台帳について知ることができます。

目次

1. パッケージ型消火設備とは

パッケージ型消火設備は、屋内消火栓設備に代えて用いることができる設備として、省令に定められています。代えられるのは、消防法施行令第11条第1項から第3項までの規定により設置し、維持しなければならない屋内消火栓設備です(省令第1条第1項)。

省令は、パッケージ型消火設備を、人の操作によりホースを延長し、ノズルから消火薬剤(消火に供する水を含みます)を放射して消火を行う消火設備と定めています。ノズル、ホース、リール又はホース架、消火薬剤貯蔵容器、起動装置、加圧用ガス容器等を、一の格納箱に収納したものです(省令第1条第1項)。

火災を感知して自動で消火するものは、別の設備です。スプリンクラー設備に代えて用いるものは、パッケージ型自動消火設備として、省令の第2条に別に定められています(省令第2条)。この記事で扱うのは、人がホースを引き出して使うパッケージ型消火設備です。

パッケージ型消火設備には、Ⅰ型とⅡ型があります。告示が定める性能のうち、第5と第6で「Ⅰ型として定める性能」を持つものがⅠ型、「Ⅱ型として定める性能」を持つものがⅡ型です(平成16年消防庁告示第12号第2)。

廊下の壁に設置された消火設備

2. まず、屋内消火栓設備が必要な建物かどうか

代わりの設備を考える前に、屋内消火栓設備が必要な建物かどうかを確かめます。屋内消火栓設備は、建物の使い方(項)ごとに決まった延べ面積以上の建物に設置します。飲食店((三)項ロ)、物販店((四)項)、工場((十二)項イ)、倉庫((十四)項)は700平方メートル以上、事務所などの事業場((十五)項)は1,000平方メートル以上です(消防法施行令第11条第1項第2号・第3号)。このほか、(一)項は500平方メートル以上など、項ごとに数値が決まっています。

延べ面積が足りなくても、階によって必要になります。地階、無窓階、4階以上の階は、その階の床面積が、(一)項は100平方メートル以上、(二)〜(十)項、(十二)項、(十四)項は150平方メートル以上、(十一)項と(十五)項は200平方メートル以上のときに必要です(消防法施行令第11条第1項第6号)。無窓階とは、避難上又は消火活動上有効な開口部を有しない階のことです(消防法施行規則第5条の5)。

指定可燃物(危険物の規制に関する政令別表第四の品名欄に掲げる物品で、同表の数量欄に定める数量以上のもの)を、同表で定める数量の750倍以上貯蔵し、または取り扱う建築物も、屋内消火栓設備が必要です(消防法施行令第11条第1項第5号。可燃性液体類に係るものを除く)。この建物は、パッケージ型消火設備を設置できる建物からは外れています(第3章)。

耐火構造などの建物では、面積の数値を2倍や3倍にして読み替える「倍読み」があります(消防法施行令第11条第2項)。項ごとの面積と倍読みは、下の記事で説明しています。

3. パッケージ型消火設備を設置できる建物には、条件があります

屋内消火栓設備が必要な建物なら、どこにでもパッケージ型消火設備を置けるわけではありません。置ける建物は、省令第1条第2項が引く消防庁告示で決まっています。以下の数値と条件は、現行の告示(平成28年消防庁告示第2号による改正後)によります。

告示は、令第11条第1項第1号から第3号まで(延べ面積で決まる建物)と第6号(階の床面積で決まる建物)の防火対象物のうち、令別表第一の(一)項から(十二)項まで、または(十五)項の防火対象物を対象にしています。このほか、(十六)項の建物のうち、(一)項から(十二)項まで、または(十五)項の用途にあたる部分も対象です(平成16年消防庁告示第12号第3)。飲食店、物販店、工場、事務所などの事業場は、この範囲に入ります。倉庫の(十四)項は、令第11条では屋内消火栓設備の対象ですが、告示が挙げる項には含まれていません。

さらに、建物の階数と延べ面積に、Ⅰ型・Ⅱ型ごとの上限があります。階数は、地階を除く階数です。

型 耐火建築物 耐火建築物以外
Ⅰ型 階数6以下で、延べ面積3,000平方メートル以下 階数3以下で、延べ面積2,000平方メートル以下
Ⅱ型 階数4以下で、延べ面積1,500平方メートル以下 階数2以下で、延べ面積1,000平方メートル以下

(平成16年消防庁告示第12号第3)

告示は、表の数値の建物でも、「地階、無窓階又は火災のとき煙が著しく充満するおそれのある場所」を除くとしています。また、指定可燃物(可燃性液体類に係るものを除く)を、危険物の規制に関する政令別表第四で定める数量の750倍以上貯蔵し、または取り扱うものを除くとしています(平成16年消防庁告示第12号第3)。

第2章の階の基準と重なる点があります。令第11条第1項第6号は、地階、無窓階、4階以上の階で、床面積が一定以上のものに屋内消火栓設備を求めています。このうち地階と無窓階に当たる場所は、告示の括弧書きで除かれています。4階以上の階は、告示の文言では除かれておらず、階数の上限の範囲内であれば対象に入ります。

平成28年の改正で、もう一つの設置の道が加わりました。告示第3の第2号は、前号のほか、パッケージ型自動消火設備を設置している部分のうち、消防法施行規則第13条第3項各号に掲げる部分にも、パッケージ型消火設備を設置できると定めています(平成16年消防庁告示第12号第3第2号)。パッケージ型自動消火設備は、スプリンクラー設備に代えて用いる設備です(第1章)。規則第13条第3項の各号には、階段、浴室、便所その他これらに類する場所(第1号)や、通信機器室、電子計算機器室、電子顕微鏡室その他これらに類する室(第2号)などが挙がっています(消防法施行規則第13条第3項)。従来はパッケージ型自動消火設備の告示に置かれていたこの定めが、この告示に移されました(消防予第25号)。

階数も延べ面積も、Ⅰ型のほうが大きい建物に置けます。建物が表の範囲に入るかどうかは、延べ面積、階数、耐火建築物かどうかで決まります。

4. 設置と維持の基準は、場所、距離、面積、表示などが決まっています

置ける建物が決まったら、設置場所と設備の性能が告示の基準に合っている必要があります。基準は、告示の第4(設置及び維持)、第5(一般性能)、第6(放射性能)などに定められています。

項目 Ⅰ型 Ⅱ型
各階の各部分から、一のホース接続口までの水平距離 20メートル以下 15メートル以下
防護する部分の面積 850平方メートル以下 500平方メートル以下
ホースの長さ 25メートル以上 20メートル以上
放射時間(温度20度) 2分以上 1分30秒以上

(平成16年消防庁告示第12号第4、第5、第6)

設置する場所にも条件があります。40度以下で温度変化が少ない場所に設けること、直射日光と雨水のかかるおそれの少ない場所に設けること、の2つです。また、消火薬剤貯蔵容器の直近の見やすい箇所に、赤色の灯火と、パッケージ型消火設備である旨を表示した標識を設けます(平成16年消防庁告示第12号第4)。

設備そのものにも基準があります。確実に作動し、取扱い、点検、整備が容易で、耐久性を有すること。ノズルは、棒状放水ができるもの、または棒状放水と噴霧放水の切換えができるもの。ノズル開閉弁は、開閉方向が表示されているもの(平成16年消防庁告示第12号第5)。放射性能は、作動後すみやかに消火薬剤を放出できること、充填した消火薬剤の容量または重量の90パーセント以上を放射できること、棒状で放射した場合の放射距離が10メートル以上であることです(同告示第6)。

使う消火薬剤は、強化液、機械泡(第一種、第二種)、浸潤剤等入り水(第一種から第三種)の種類があります。Ⅰ型の放射率(1分間あたりの放射量)は、強化液、第一種機械泡、第一種浸潤剤等入り水が40リットル以上、第二種の機械泡と浸潤剤等入り水が24リットル以上、第三種浸潤剤等入り水が16リットル以上です。貯蔵量は、順に200リットル以上、120リットル以上、80リットル以上です。Ⅱ型は、どの薬剤も放射率が40リットル以上、貯蔵量が60リットル以上です(平成16年消防庁告示第12号第6、第7)。

設備には、見やすい箇所に容易に消えないように、消火薬剤の種別、使用温度範囲、最高使用圧力、放射時間、製造年月、製造者名または商標など10項目を表示します(平成16年消防庁告示第12号第9)。

赤い灯火がともる格納箱

5. 「代えて用いる」仕組みと、ほかの方法との違い

パッケージ型消火設備が屋内消火栓設備に「代えて」用いられるのは、消防法施行令第29条の4の仕組みによります。第1項は、総務省令で定めるところにより、消防長又は消防署長が、その防火安全性能が通常の設備と同等以上であると認める設備等を用いることができる、と定めています。防火安全性能とは、火災の拡大を初期に抑制する性能、火災時に安全に避難することを支援する性能又は消防隊による活動を支援する性能です(消防法施行令第29条の4第1項)。

代えて用いる設備は、通常の設備と同等以上の防火安全性能を有するように設置し、維持します(消防法施行令第29条の4第2項)。代えられた通常の設備については、「この節の第二款から前款までの規定は、適用しない」とされています(同条第3項)。パッケージ型消火設備は、この「総務省令」にあたる省令の第1条に定められた設備で、消防庁長官が定める設置及び維持に関する技術上の基準に適合するものとされています(省令第1条第1項・第2項)。

屋内消火栓設備を設置しなくてよくなる方法は、ほかにも2つあります。3つは、仕組みが別々です。

方法 内容
パッケージ型消火設備に代える 令第11条第1項〜第3項の屋内消火栓設備に代えて、パッケージ型消火設備を用いる。消防庁長官が定める基準に適合させる(省令第1条、消防法施行令第29条の4)
他の消火設備を設置する スプリンクラー設備、水噴霧消火設備、泡消火設備、不活性ガス消火設備、ハロゲン化物消火設備、粉末消火設備、屋外消火栓設備、動力消防ポンプ設備のいずれかを、それぞれの基準に従い、またはその例により設置したとき、その有効範囲内の部分に屋内消火栓設備を設置しないことができる。屋外消火栓設備と動力消防ポンプ設備は、1階と2階の部分に限る(消防法施行令第11条第4項)
特例を受ける 消防長又は消防署長が、位置、構造又は設備の状況から判断して、火災の発生又は延焼のおそれが著しく少なく、かつ被害を最少限度に止めることができると認めるとき、基準を適用しない(消防法施行令第32条)

6. 設置するときの届出・検査と工事

パッケージ型消火設備を設置し終えたら、その旨を、工事が完了した日から4日以内に消防長または消防署長に、届出書で届け出ます(消防法施行規則第31条の3第1項)。届出書には、設置に係る消防用設備等に関する図書(平面図、配管及び配線の系統図)と、消防用設備等試験結果報告書を添えます(同項第1号)。消防長または消防署長は、基準に適合していると認めたときに、検査済証を交付します(消防法施行規則第31条の3第4項)。

検査を受ける建物は、令で決まっています。飲食店((三)項)や物販店((四)項)は延べ面積300平方メートル以上、工場((十二)項)、倉庫((十四)項)、事務所などの事業場((十五)項)は、延べ面積300平方メートル以上のうち消防長または消防署長が指定するものです(消防法施行令第35条第1項第2号・第3号)。

設置届出書の様式は、日本消防設備安全センターが出している様式に統一されています(消防法施行規則第31条の3第1項)。ただし、添付する書類や提出の運用は消防本部によって異なる場合があるため、管轄の消防本部に確認してください。

設置の工事は、消防設備士でなければ行えない場合があります。消防設備士免状の交付を受けていない人は、令で定める消防用設備等の設置工事を行ってはならず、屋内消火栓設備の設置工事(電源、水源、配管の部分を除く)はその一つです。必要とされる防火安全性能を有する設備等も、これらに類するものとして消防庁長官が定めるものは同じです(消防法第17条の5、消防法施行令第36条の2第1項)。この工事をしようとする甲種消防設備士は、着手する日の10日前までに、消防長または消防署長に届け出ます(消防法第17条の14)。

認定が個別に必要かどうかや、工事を行える資格者など、手続きの細かい点で不明な場合は、管轄の消防本部に確認してください。

7. 設置してからの点検と、維持台帳

設置したあとは、定期的な点検と、結果の報告が必要です。点検の期間は、消防用設備等の種類と点検内容に応じて、1年以内で消防庁長官が定める期間ごとです(消防法施行規則第31条の6第1項)。

点検をする人は、建物で決まっています。延べ面積1,000平方メートル以上の飲食店、物販店、旅館、病院などは、消防設備士または消防設備点検資格者に点検させなければなりません。工場、倉庫、事務所などは、延べ面積1,000平方メートル以上のうち、消防長または消防署長が指定したものが同じです。避難階以外の階に入る建物で、階段が必要な数だけ設けられていないものも同じです。それ以外の建物は、自ら点検できます(消防法第17条の3の3、消防法施行令第36条第2項第1号〜第3号)。

点検の内容は、消防庁の「消防用設備等の点検要領」の第28(パッケージ型消火設備)に、機器点検と総合点検に分けて示されています。

点検の結果は、維持台帳に記録するとともに、消防長または消防署長に報告します。報告の周期は、飲食店、物販店、旅館、病院などは1年に1回、工場、倉庫、事務所などの事業場は3年に1回です(消防法施行規則第31条の6第3項)。維持台帳は、防火管理維持台帳とは別の台帳です。

巻き尺で距離を測る手元

8. まとめ

覚えておきたいポイント

・パッケージ型消火設備は、消防法施行令第11条第1項から第3項までの屋内消火栓設備に代えて用いることができる設備です(省令第1条第1項)。

・告示が設置できる建物として挙げるのは、(一)〜(十二)項と(十五)項の建物と、(十六)項の建物のうち、その用途にあたる部分です。倉庫の(十四)項は挙がっておらず、「地階、無窓階又は火災のとき煙が著しく充満するおそれのある場所」は除かれています。指定可燃物の数量が750倍以上のものも除かれます(平成16年消防庁告示第12号第3)。

・Ⅰ型は、耐火建築物なら階数6以下・延べ面積3,000平方メートル以下。Ⅱ型は、階数4以下・1,500平方メートル以下です。パッケージ型自動消火設備を設置している部分のうち、規則第13条第3項各号の部分にも設置できます。

・各階の各部分からホース接続口まで水平距離20メートル以下(Ⅰ型)・15メートル以下(Ⅱ型)、40度以下の場所に設け、赤色の灯火と標識を設けます。

・設置工事が終わったら、4日以内に届出を行います(検査を受ける建物は、消防法施行令第35条で決まっています)。点検の内容は消防庁の点検要領 第28に示され、結果は維持台帳に記録して報告します。

・不明な場合は、管轄の消防本部に確認してください。

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の建物や店舗への適用を保証するものではありません。実際の取り扱いは、管轄の消防本部に確認してください。

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