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防炎防火対象物とは。防炎物品が必要な建物と、防炎物品の種類をやさしく解説

防炎防火対象物とは。防炎物品が必要な建物と、防炎物品の種類をやさしく解説

店や事務所の模様替えで、カーテンを替え、床にカーペットを敷くことになりました。選ぶ前に確かめたいのは、防炎のものを選ばなければならない建物なのかどうかです。防炎の決まりは、建物の用途で決まり、対象の建物では、カーテンやじゅうたんなどに、防炎性能のあるものを使う義務があります。同じように人が出入りする建物でも、飲食店や旅館は対象になり、工場や事務所は用途だけでは対象にならないなど、用途によって答えが分かれます。この記事を読むと、対象になる建物、防炎物品になる物品の種類、防炎性能と防炎表示について知ることができます。

店内のカーテンと床
目次

1. 防炎物品の使用は、法律上の義務です

消防法は、一定の建物で使うカーテンなどについて、防炎性能のあるものでなければならないと定めています。「努力してください」ではなく、義務です。

高層建築物若しくは地下街又は劇場、キャバレー、旅館、病院その他の政令で定める防火対象物において使用する防炎対象物品(どん帳、カーテン、展示用合板その他これらに類する物品で政令で定めるものをいう。以下この条において同じ。)は、政令で定める基準以上の防炎性能を有するものでなければならない。(消防法第8条の3第1項)

条文は、建物の範囲、物品の範囲、防炎性能の基準の3つを、政令に委ねています。建物の範囲は第1項、物品の範囲は第3項、防炎性能の基準は第4項に定められています(消防法施行令第4条の3)。

2. 防炎の対象になる建物

防炎防火対象物とされているのは、消防法施行令別表第一の(一)項から(四)項まで、(五)項イ、(六)項、(九)項イ、(十二)項ロ、(十六の三)項に掲げる防火対象物です(消防法施行令第4条の3第1項)。別表第一の項に当たるかどうかは用途で決まり、延べ面積は条件になっていません。小さな飲食店や物販店も、用途が当たれば対象です。高層建築物、地下街、工事中の建築物は、このほかに挙がっています(下で説明します)。

(十六の三)項は、建築物の地階((十六の二)項に掲げるものの各階を除きます)で、連続して地下道に面して設けられたものと、その地下道を合わせたものです。(一)〜(四)項、(五)項イ、(六)項、(九)項イの用途に使う部分があるものに限られます(消防法施行令別表第一)。

区分 用途の例
防炎物品の使用が求められる用途 劇場・映画館・集会場((一)項)、キャバレー・遊技場・カラオケボックスなど((二)項)、料理店・飲食店((三)項)、物販店・展示場((四)項)、旅館・ホテル((五)項イ)、病院・診療所・福祉施設・幼稚園など((六)項)、蒸気浴場・熱気浴場((九)項イ)、映画スタジオ・テレビスタジオ((十二)項ロ)
用途だけでは対象にならない用途の例 工場・作業場((十二)項イ)、倉庫((十四)項)、事務所などの事業場((十五)項)、共同住宅((五)項ロ)、駐車場((十三)項イ)

飲食店は(三)項ロ、物販店は(四)項、旅館・ホテルは(五)項イです。工場は(十二)項イ、倉庫は(十四)項、事務所などの事業場は(十五)項なので、用途だけを見ると防炎防火対象物ではありません(消防法施行令別表第一)。

ただし、法の条文は、用途とは別に、高層建築物と地下街を挙げています(消防法第8条の3第1項)。高層建築物は、高さ31メートルを超える建築物です(消防法第8条の2第1項)。

消防法施行令は、防炎防火対象物とは別に、工事中の建築物その他の工作物(総務省令で定めるものを除きます)も対象として挙げています(消防法施行令第4条の3第1項)。

自分の建物が何項に当たるかは、上のリンクの記事で見分け方を説明しています。

さまざまな用途の建物

3. 防炎物品になる物品の種類

防炎性能が求められる物品は、消防法施行令で決まっています。カーテン、布製のブラインド、暗幕、じゆうたん等、展示用の合板、どん帳その他舞台において使用する幕、舞台において使用する大道具用の合板、工事用シートです(消防法施行令第4条の3第3項)。

「じゆうたん等」には、じゆうたん(織りカーペット)や毛せん(フェルトカーペット)のほか、タフテッドカーペットなどのカーペット類、ござ、人工芝、合成樹脂製床シートが含まれます。そのほか、毛皮製の床敷物と毛製だん通などを除く床敷物も、「じゆうたん等」です(消防法施行規則第4条の3第2項)。床に敷くものは、カーペットに限りません。

のれん、ロールスクリーン、間仕切りに使う布などの個々の製品が、消防法施行令に挙がった物品のどれに当たるか不明な場合は、管轄の消防本部に確認してください。

4. 防炎性能と、防炎表示の付け方

防炎性能の基準は、炎を当てたあとの状態で定められています。炎を上げて燃え続ける時間(残炎時間)、炎を上げずに燃える時間(残じん時間)、焦げる面積(炭化面積)、焦げる長さ(炭化長)、溶け尽くすまでに炎を当てる回数(接炎回数)の5つです。物品の種類によって、使う項目が違います。炎に当たると溶ける性質の物品(じゆうたん等を除く)は5つすべて、じゆうたん等は残炎時間と炭化長、それ以外の物品は残炎時間、残じん時間、炭化面積です(消防法施行令第4条の3第4項)。具体的な数値は、総務省令に定められています。

防炎性能のある物品や材料には、防炎性能を有する旨の表示を付けることができます(消防法第8条の3第2項)。表示を付けるのは、消防庁長官の登録を受けた者で、縫い付け、貼り付け、下げ札などの方法で、防炎物品ごとに見やすい箇所に付けます(消防法施行規則第4条の4第1項)。防炎対象物品またはその材料は、第2項の表示または指定表示が付されているものでなければ、防炎物品として販売し、または販売のために陳列してはなりません(消防法第8条の3第4項)。指定表示は、防炎表示と同等以上の防炎性能を有する物品に付される表示として、消防庁長官が指定したものです(消防法施行規則第4条の4第8項)。

使う側の事業者が、カーテンなどに防炎の加工をさせたり、防炎の表示が付いた生地からカーテンなどを作らせたりした場合は、その旨を明らかにしておく義務があります(消防法第8条の3第5項)。具体的には、物品ごとに見やすい箇所に、「防炎処理品」または「防炎作製品」の文字、処理や作製をした者の氏名または名称、処理や作製をした年月を明らかにするか、処理や作製をした者に防炎表示を付けさせます(消防法施行規則第4条の4第9項)。

カーテンに付いた表示

5. まとめ

覚えておきたいポイント

・防炎の対象の建物で使うカーテンなどは、防炎性能のあるものでなければなりません(消防法第8条の3第1項)。

・対象かどうかは用途で決まります。飲食店、物販店、旅館・ホテル、病院・福祉施設などは対象で、工場、倉庫、事務所などの事業場は、用途だけでは対象になりません。

・高さ31メートルを超える建築物と地下街は、用途にかかわらず、法の条文に挙がっています。工事中の建築物その他の工作物は、別に挙がっています。

・防炎の物品は、カーテン、布製のブラインド、暗幕、じゆうたん等、展示用の合板、舞台の幕と大道具用の合板、工事用シートです。

・防炎性能のある物品には、防炎表示を付けることができます。防炎表示か指定表示のない物品は、防炎物品として販売や陳列ができません。

・防炎加工をさせたり、防炎の生地から作らせたりしたときは、「防炎処理品」「防炎作製品」の文字などで、その旨を明らかにします。

・不明な場合は、管轄の消防本部に確認してください。

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の建物や店舗への適用を保証するものではありません。実際の取り扱いは、管轄の消防本部に確認してください。

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