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居抜き・テナントで借りる前に。消防の面で確認しておきたいことと、確認先をやさしく解説

居抜き・テナントで借りる前に。消防の面で確認しておきたいことと、確認先をやさしく解説(イメージ)

店や事務所にしたい物件が見つかり、内見も済んで、前の借主も同じように営業していたのだから、消防の面も問題ないだろうと考えて契約を進めたくなるのは自然なことです。ただ、消防の設備や手続は、前の借主のときの状態がそのまま引き継がれるとは限りません。建物の用途が変わるのか、借りる部分が何の用途に当たるのか、一棟を借りるのかビルの一室を借りるのかによって、答えが分かれるからです。契約を結んだあとに必要な設備が分かると、工事や費用の見直しが必要になることもあります。この記事では、用途変更の考え方から設備、届出、防火管理、防炎と内装制限までを順にたどり、契約前に何をだれに確認するかを最後に表にします。飲食店、店舗、事務所などの例を挙げながら、一棟を借りる場合とビルの一室を借りる場合の違いにも触れます。

店舗の内装工事前の室内のイメージ
目次

1. 「前の店は問題なかった」が通用しない場合がある理由

用途が変わる場合、前の借主のときの設備の扱いが、そのまま通用するとは限りません。消防法には、用途が変わったときの消防用設備等(消火器や自動火災報知設備などの設備)の扱いを定めた条文があります。原則は、用途の変更で新しい用途の基準に合わなくなっても、その設備には新しい基準を適用せず、変更前の用途の基準を適用する、というものです(消防法第17条の3第1項)。

ただし、この原則を使えない場合が、4つあります(消防法第17条の3第2項)。使えない場合は、変更前の基準のままではなく、変更後の用途の基準が適用されます。

従前の基準を使えない場合 内容
変更前から基準に違反していた(第1号) 用途を変える前の基準に合っておらず、消防法第17条第1項に違反していた設備
変更後に増築や大規模の修繕などに着手した(第2号) 用途の変更後に、政令で定める増築、改築、大規模の修繕や模様替えの工事に着手した場合の設備
すでに現行の基準に合うようになった(第3号) 現行の基準に適合するに至った設備
変更後の用途が特定防火対象物(第4号) 変更後の用途が、特定防火対象物の用途である場合の設備

4つめの特定防火対象物とは、多数の人が出入りするものとして政令で定める防火対象物のことです(消防法第17条の2の5第2項第4号)。たとえば、飲食店や物販店は特定防火対象物に当たります。特定防火対象物に当たらないものを非特定防火対象物といい、たとえば事業場(事務所など)や工場が当たります(消防法施行令第34条の4第2項、別表第一)。個別の建物がどちらに当たるかは、管轄の消防本部に確認します。見分け方は、別の記事で詳しく説明しています。

変更後の用途が非特定防火対象物の場合は、4つめには当たりません。ただし、ほかの3つに当たることがあるため、一概には言えません。

つまり、「用途が変わっても古い基準のままでよい」とも、「必ず新しい設備が必要になる」とも言えません。結論は建物ごとに違います。

もうひとつ区別しておきたいのが、基準が改正されたときの扱いです。基準が改正されたとき、すでにある建物の設備には、消火器や避難器具など政令で定めるものを除き、原則として従前の規定が適用されます。ただし、特定防火対象物などは例外があります。基準が改正されたときと、用途が変わったときは、別の条文で定められています(消防法第17条の2の5第1項・第2項、第17条の3)。前の借主のときは問題がなかったとしても、用途が変わる場合や、特定防火対象物に当たる場合には、従前の基準のままでよいとは限りません。

守らなかった場合。 防火対象物の関係者(建物の所有者・管理者・占有者)は、消防用設備等を政令で定める技術上の基準に従って設置し、維持する義務があります(消防法第17条第1項)。設置されていない、または維持されていないと認められるときは、消防長または消防署長が、権原を有する関係者に、設置や維持のために必要な措置を命じることができます(消防法第17条の4第1項)。命令に違反した場合の罰則は、次の表のとおりです。拘禁刑は、刑事施設に拘置される刑です(刑法第12条)。拘留は、1日以上30日未満、刑事施設に拘置される刑です(刑法第16条)。

違反した内容 罰則
命令に違反して、設備を設置しなかった(消防法第41条第1項第5号) 1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金
維持のために必要な措置をとる命令に違反した(消防法第44条第12号) 30万円以下の罰金または拘留
設置の命令違反を、法人の代表者・従業者が業務に関して行った(消防法第45条第2号) 行為者を罰するほか、法人に3,000万円以下の罰金

法人や個人事業主の代表者・従業者が業務に関して違反したときは、法人や個人事業主にも罰金刑が科されます(消防法第45条第2号、第3号)。

2. 契約前に消防署の事前相談を受ける意味

居抜きやテナントでは、契約を結ぶ前や、計画の段階で、物件を管轄する消防署へ事前相談をすることが、複数の自治体の案内で勧められています。営業を始める手続の流れとして、建物を選び、消防署に事前相談をし、必要な消防用設備を営業前までに設置できるかを確かめたうえで、賃貸借契約を結ぶ、という順を示す案内もあります。

理由は、店のレイアウトや使い方、用途の変更によって、消火器、自動火災報知設備、誘導灯などの設置が必要になる場合があると、案内には書かれています。防火管理者の選任が必要になる場合がある、という案内もあります。

見落としやすいのが、設備が借りる部分だけでなく、建物全体に必要になる場合があることです。たとえば、ビルの一室で営業を始める場合に、その一室だけでなく建物全体に自動火災報知設備が必要になる、という例を図で示している案内があります。こうなると、借りる側だけでは工事の判断ができず、建物の所有者との相談が必要になります。設備が必要になった場合の工事や費用を貸主と借主のどちらが担うかは、貸主・管理会社との話し合いや、契約の内容に関わります。

事前相談をしないまま営業を始め、営業開始後の立入検査で、建物全体に必要な設備が未設置だと分かった例を示している案内もあります。契約前に相談しておけば、必要な設備と工事の見込みを知ったうえで、借りるかどうかを判断できます。事前相談の窓口や方法は地域によって異なるため、物件を管轄する消防署に確認します。

3. 使用開始の届出。法律ではなく火災予防条例の手続

店や事務所の使用を始めるときに、消防署へ「防火対象物使用開始届出書」を出す地域があります。この届出は消防法ではなく、市町村などが定める火災予防条例の手続です。そのため、期限、様式、添える書類は地域によって異なります。

複数の自治体の案内では、使用や営業を開始する日の7日前までに届け出る、とされています。ある自治体の案内では、添付書類として、付近の見取図、配置図、各階の平面図などが例に挙がっています。これらは案内の一例で、どの地域でも同じとは限りません。物件を管轄する消防本部の現行の火災予防条例で、期限や様式を確認します。不明な場合は、管轄の消防本部に確認してください。

届出が必要になる場面も、広めに見ておく必要があります。飲食店や店舗だけでなく、工場や事務所などの不特定多数が出入りしない建物も対象とする案内があります。さらに、事業主が変わる場合や、事業形態が変わる場合にも届出が必要とする案内もあります。たとえば、飲食店のまま事業主が替わる場合や、飲食店から物品販売店に変わる場合です。居抜きで事業主が替わる場合は、この点を確認しておきます。

使用開始の届出は、防火管理者の選任の届出とは別の手続です。どちらも店を始めるときに出す届出ですが、根拠が異なります。使用開始の届出の詳しい内容は、別の記事で説明しています。

壁に取り付けられた消火器のイメージ

4. 防火管理者と消防計画。テナントでは権原の分かれ方で変わる

防火管理者を定めるのは、その建物の管理について権原を有する者です(消防法第8条第1項)。権原とは、建物の管理や使用を決められる法的な立場のことです。定めたとき、解任したときは、遅滞なく消防署へ届け出ます(消防法第8条第2項)。防火管理者は、消防計画の作成、訓練の実施、設備の点検や整備、火気の取扱いの監督などを行います。

賃貸の場合に、貸主と借主のどちらが権原を持つかは、条文が一律に決めているわけではありません。建物の管理の形や契約によって異なるため、「借主が選任する」とも「貸主が選任する」とも決めつけられません。一棟を借りる場合と、ビルの一室を借りる場合とでも、事情は変わります。

防火管理者が必要かどうかは、用途と収容人員(その建物に出入りし、勤務し、居住する人の数)で決まります(消防法施行令第1条の2第3項)。ここで気をつけたいのは、自分の区画の人数だけで判断しないことです。収容人員は建物全体の用途や人数で決まる場合があります。ビルの一室の用途も、その部分の用途のまま扱われるとは限りません。ある用途が、権原や利用形態から見て他の用途の従属的な部分と認められると、その用途は他の用途に含まれるものとされます(消防法施行令第1条の2第2項)。

権原が分かれている一定の建物には、建物全体を統括する統括防火管理者を定める仕組みもあります(消防法第8条の2第1項)。この場合、各テナントの防火管理者が作成する消防計画は、統括防火管理者が作成する建物全体の消防計画に適合させる必要があります(消防法第8条の2第3項)。借りる予定の建物が統括防火管理の対象かどうか、全体の消防計画があるかどうかを、契約前に貸主・管理会社へ確認しておくと、入居後の動きが見通せます。

守らなかった場合。 防火管理者が定められていないと認められるときは、消防長または消防署長が、権原を有する者に、防火管理者を定めるよう命じることができます(消防法第8条第3項)。防火管理者の業務が法令や消防計画に従って行われていないと認められるときも、必要な措置を命じられることがあります(消防法第8条第4項)。

統括防火管理者についての命令(選任や業務の是正の命令)が履行されず、引き続き、火災の予防に危険であると認める場合、消火、避難その他の消防の活動に支障になると認める場合または火災が発生したならば人命に危険であると認める場合には、使用の禁止、停止または制限を命じられることがあります(消防法第8条の2第5項・第6項、第5条の2第1項)。

罰則は、次の表のとおりです。

違反した内容 罰則
防火管理者を定める命令に違反した(消防法第42条第1項第1号) 6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金
防火管理者の業務の是正命令に違反した(消防法第8条第4項、第41条第1項第2号) 1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金
防火管理者を定めたとき、または解任したときの届出を怠った(消防法第8条第2項、第44条第8号) 30万円以下の罰金または拘留
使用の禁止などの命令に違反した(消防法第39条の2の2第1項) 3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金

法人や個人事業主の代表者・従業者が業務に関して違反したときは、法人や個人事業主にも罰金刑が科されます(上の2つの命令違反は消防法第45条第3号)。使用の禁止などの命令に違反したときは、法人に1億円以下の罰金が科されます(消防法第45条第1号)。

5. 設備工事の手続。借り手が自分で届けるとは限らない

事前相談で設備が必要と分かると、次は工事の手続が出てきます。ここで知っておきたいのは、設備に関する手続の義務者が、借り手とは限らないことです。

まず、設備を設置したときの届出と検査があります。特定防火対象物その他の政令で定める防火対象物の関係者(建物の所有者・管理者・占有者のこと。消防法第2条第4項)は、消防用設備等を設置したときは、その旨を消防長(消防本部の長)または消防署長に届け出て、検査を受けなければなりません(消防法第17条の3の2)。どの建物が対象かは政令で決まっています。

次に、工事の着工前の届出があります。甲種消防設備士(消防用設備等の工事ができる資格)は、政令で定める工事に着手しようとする日の10日前までに、工事の種類や場所などを消防長または消防署長に届け出なければなりません(消防法第17条の14)。条文が義務を課しているのは、工事を行う甲種消防設備士です。店舗の借り手が自分で届ける手続ではありません。

このため、借り手が確認すべきなのは、工事を行う業者がどの手続を行うのか、建物の所有者や管理会社が何を行うのか、という役割分担です。設備の設置が必要になった場合は、工事の日程が営業の開始時期に間に合うかも含めて、契約前の段階で貸主や工事業者と話しておくと、開業の日程を組みやすくなります。

内装や間仕切りを変える工事を伴う場合は、工事の前に出す届出があるかどうかも、消防署に確認しておくと安心です。

守らなかった場合。 罰則は、次の表のとおりです。

違反した内容 罰則
消防用設備等を設置したときの届出を怠った(消防法第44条第8号) 30万円以下の罰金または拘留
検査を拒み、妨げ、または忌避した(消防法第44条第4号) 30万円以下の罰金または拘留
甲種消防設備士が、工事の着工の10日前までの届出を怠った(消防法第17条の14、第44条第8号) 30万円以下の罰金または拘留

6. 防炎と内装制限。消防法と建築基準法は別の規定

居抜きで前の借主のカーテンや内装を引き継ぐとき、防炎と内装制限が気になります。この2つは、名前が似ていますが、根拠の法律が違います。

机の上の図面と書類のイメージ

防炎は消防法の規定です。 政令で定める防火対象物で使う防炎対象物品は、政令で定める基準以上の防炎性能が必要です(消防法第8条の3第1項)。防炎性能が必要な物品を防炎対象物品、その物品を使う防火対象物を防炎防火対象物といいます。それぞれ、表にまとめます。

防炎対象物品は、1つめの表のとおりです(消防法施行令第4条の3第3項)。

区分 防炎対象物品
カーテン類 カーテン、布製のブラインド、暗幕
床に敷くもの じゅうたん等(じゅうたん、毛せんその他の床敷物で総務省令で定めるもの)
展示・舞台・工事で使うもの 展示用の合板、どん帳その他舞台において使用する幕、舞台において使用する大道具用の合板、工事用シート

防炎防火対象物は、別表第一の下の項に掲げる防火対象物と、工事中の建築物その他の工作物です(消防法施行令第4条の3第1項)。工事中の建築物その他の工作物からは、総務省令で定めるものが除かれます。

別表第一の項 用途
(一)項 劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場
(二)項 キャバレー、遊技場、ダンスホール、カラオケボックスなど
(三)項 待合、料理店、飲食店
(四)項 百貨店、マーケットその他の物品販売業を営む店舗、展示場
(五)項イ 旅館、ホテル、宿泊所
(六)項 病院、診療所、助産所、老人ホームなどの福祉施設、幼稚園、特別支援学校
(九)項イ 蒸気浴場、熱気浴場など
(十二)項ロ 映画スタジオ、テレビスタジオ
(十六の三)項 準地下街

飲食店や物販店は、この表に入ります。(十六)項の建物の一部が、上の用途に使われているときは、その部分が、一つの防炎防火対象物とみなされます(消防法施行令第4条の3第2項)。防炎性能を持つものには、その旨の表示を付けることができます(消防法第8条の3第2項)。引き継ぐカーテンなどに防炎の表示があるかどうかは、確認しておきたい点です。借りる建物が防炎の対象に当たるかどうかは、用途などで決まるため、消防署に確認します。

内装制限は、消防法ではなく建築基準法の規定です。 建築基準法別表第一(い)欄の用途の特殊建築物、階数が3以上の建築物、政令で定める窓その他の開口部を有しない居室を有する建築物、延べ面積が1,000平方メートルを超える建築物、または調理室・浴室などで火を使う設備や器具を設けたものについて、政令で定めるものを除き、壁と天井の仕上げを、政令で定める技術的基準に従って、防火上支障がないようにすることを求めています(建築基準法第35条の2)。所管は消防署ではなく、建築部局です。 前の内装をそのまま使えるか、仕上げを変える場合に何が必要かは、建築部局に確認します。用途を変えるときの建築上の手続も、あわせて建築部局に確認します。

防炎と内装制限では、根拠の法律も確認の窓口も異なる点が、見落としやすいところです。

守らなかった場合。 防炎の表示については、法令で決められた場合を除いて、防炎の表示や、これと紛らわしい表示を付けることが禁じられています(消防法第8条の3第3項)。罰則は、次の表のとおりです。

違反した内容 罰則
防炎の表示や、これと紛らわしい表示を、決められた場合以外に付けた(消防法第8条の3第3項、第44条第3号) 30万円以下の罰金または拘留
内装制限に違反した(設計者。設計図書に従わないで工事を施工した場合は工事施工者)(建築基準法第98条第1項第2号) 3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金
用途を変更して準用される内装制限の規定に違反した(その建築物の所有者、管理者または占有者)(建築基準法第87条第3項、第98条第1項第4号) 3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金

防炎の表示の違反を、法人や個人事業主の代表者・従業者が業務に関して行ったときは、法人や個人事業主にも罰金刑が科されます(消防法第45条第3号)。

7. 契約前の確認先と確認項目

ここまでの内容を、確認先ごとに表にします。「法令・自治体の案内にある点」は、条文や自治体の案内に根拠があるものです。「確認しておくと安心な点」は、法令が直接定める手続ではなく、契約前に確認しておくと入居後の見通しが立てやすい項目です。

確認先 確認すること 区分
消防署 借りる建物や区画で、新たに必要になる消防用設備(消火器、自動火災報知設備、誘導灯など)がないか。契約前の事前相談 法令・自治体の案内にある点
消防署 使用開始の届出の要否、期限、様式、必要書類。事業主や事業形態が変わる場合の扱い 法令・自治体の案内にある点
消防署 防火管理者の選任が必要か 法令・自治体の案内にある点
消防署 内装や間仕切りを変える工事の前に出す届出があるか 確認しておくと安心な点
貸主・管理会社 建物全体に必要な設備(自動火災報知設備など)の設置状況 法令・自治体の案内にある点
貸主・管理会社 設置が必要になった場合の工事や費用の分担 確認しておくと安心な点
貸主・管理会社 統括防火管理者(建物全体の防火管理を取りまとめる人)や建物全体の消防計画があるか。自分の区画の防火管理者と全体の消防計画との関係 法令・自治体の案内にある点
貸主・管理会社 直近の消防用設備等の点検結果、設備の設置届・検査の経緯、建物の図面(平面図、用途、階数、面積) 確認しておくと安心な点
貸主・管理会社 前の借主が残したカーテンなどの防炎表示の有無 確認しておくと安心な点
建築部局 内装の仕上げが内装制限に適合しているか。用途を変えるときの建築上の手続 法令・自治体の案内にある点

一棟を借りる場合は借り手が建物全体の権原を持つことが多く、ビルの一室では貸主側の管理に関わることが多いと考えられます。ただし、契約や管理の形で変わりますので、貸主・管理会社への確認が欠かせません。

8. まとめ

覚えておきたいポイント

・前の借主のときに問題がなかったことが、そのまま通用するとは限りません。用途が変わったときと、基準が改正されたときは、別の条文です(消防法第17条の3、第17条の2の5)。

・用途変更後に、変更前の基準のままでよいとも、必ず新しい設備が必要とも言えません。変更後の用途が特定防火対象物の用途の場合は、変更前の基準を適用する原則は使えません(消防法第17条の3第2項第4号)。

・契約を結ぶ前に、管轄の消防署へ事前相談をします。設備が建物全体に必要になる場合があり、その工事や費用は貸主・管理会社との話し合いや契約の内容に関わります。

・使用開始の届出は、消防法ではなく火災予防条例の手続です。期限や様式は地域で異なり、複数の自治体の案内では使用開始の7日前までとされています。事業主や事業形態が変わる場合にも必要とする案内があります。

・防火管理者は、建物の管理について権原を有する者が定めます。借主か貸主かは建物の管理の形や契約で変わり、統括防火管理者がいる建物では、全体の消防計画に適合させます。

・設備を設置したときの届出と検査、甲種消防設備士の着工10日前までの届出は、借り手が自分で行う手続とは限りません(消防法第17条の3の2、第17条の14)。

・防炎は消防法、内装制限は建築基準法の規定です。防炎の対象かどうかは消防署、内装制限は建築部局に確認します。

・命令に違反した場合の罰則があります。防火管理者を定める命令の違反は6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金、命令に違反して設備を設置しなかった場合は1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金です(消防法第42条第1項第1号、第41条第1項第5号)。

・不明な場合は、管轄の消防本部に確認してください。

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の建物や店舗への適用を保証するものではありません。実際の取り扱いは、管轄の消防本部に確認してください。

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