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飲食店で出す消防の届出。防火管理者の選任、消防計画、条例による届出の違い

飲食店で出す消防の届出。防火管理者の選任、消防計画、条例による届出の違い

同じ消防署に出す届出でも、根拠によって、出す人も時期も変わります。消防の届出には、消防法令で定められたものと、市町村の火災予防条例に定められている場合があるものとがあるためです。飲食店を始めるとき、自分の店にどの届出が必要なのかが分かりにくいのは、この違いがあるからです。この記事を読むと、防火管理者の選任・解任の届出と消防計画の届出を中心に、条例の届出や工事の届出との違いについて知ることができます。

飲食店の消防の届出
目次

1. 飲食店が出す消防の届出は、4つに分けられます

飲食店が消防に出す届出は、根拠と、出す人で分けると整理できます。

届出 出す人 時期
防火管理者の選任・解任の届出 建物の管理について権原(決める権利)を持つ人 遅滞なく
消防計画の作成・変更の届出 防火管理者 条文が定めているのは届出者・届出先まで
使用開始の届出、火を使用する設備の設置の届出(条例に定められている場合があります) 異なる場合があります 異なる場合があります
消防用設備等の工事のうち、政令で定める工事の着工届 工事をする甲種消防設備士 政令で定める工事をするとき、工事に着手する日の10日前まで

飲食店は、消防法施行令別表第一の(三)項ロに当たります(消防法施行令別表第一)。防火管理者の選任と消防計画は、収容人員(その建物に出入りし、勤務し、または居住する人の数)が30人以上の飲食店が対象です(消防法施行令第1条の2第3項第1号ロ)。

2. 防火管理者の選任・解任の届出

収容人員が30人以上の飲食店は、防火管理者を決め、決めたら遅滞なく(遅れずに)消防長または消防署長に届け出ます。解任したときも同じです(消防法第8条第1項、第2項)。

この章のポイント

基準は「30人を超える」ではなく、30人以上です。ちょうど30人も対象です。

前項の権原を有する者は、同項の規定により防火管理者を定めたときは、遅滞なくその旨を所轄消防長又は消防署長に届け出なければならない。

これを解任したときも、同様とする。(消防法第8条第2項)

届け出るのは、防火管理者になる人ではなく、建物の管理について権原を有する者です。

選任の届出には、防火管理者の資格を証する書面を添えます(消防法施行規則第3条の2第2項)。消防法施行規則に別記様式が定められています(消防法施行規則第3条の2第1項)。ただし、実際に使う様式は消防本部ごとに異なるのが一般的です。使う様式は、管轄の消防本部に確認してください。

収容人員は、用途ごとの数え方が総務省令で決まっています(消防法施行令第1条の2第4項)。数え方は、下の記事で説明しています。

客席の避難口と消火器

3. 消防計画の届出

防火管理者を決めたら、防火管理者が、権原を持つ人の指示を受けて消防計画を作り、消防長または消防署長に届け出ます。変更するときも同じです(消防法施行規則第3条第1項)。

選任・解任の届出は権原を持つ人、消防計画の届出は防火管理者と、届出人が分かれる点に注意してください。

消防計画には、建物の位置、構造、設備の状況と使い方に応じて、おおむね次の事項を決めます(消防法施行規則第3条第1項第1号)。

  • 自衛消防の組織(火災のときに動く体制)
  • 消防用設備等の点検・整備
  • 避難通路、避難口などの維持管理と案内
  • 定員の遵守など収容人員の適正化
  • 消火、通報、避難の訓練などの定期的な実施

訓練の回数は、飲食店は年2回以上です(消防法施行規則第3条第10項)。訓練をするときは、あらかじめ消防機関に通報します(消防法施行規則第3条第11項)。

消防計画の届出の時期について、条文が定めているのは、届出者(防火管理者)と届出先(所轄の消防長または消防署長)までです(消防法施行規則第3条第1項)。

通路と非常口の確認

4. 条例に定められている場合がある届出

使用開始の届出と、火を使用する設備の設置の届出は、市町村の火災予防条例に定められている場合があります。消防法第9条は、厨房のこんろなど、火を使う設備や器具の位置、構造、管理や、火の使用に関して火災予防に必要な事項を、政令で定める基準に従い、市町村条例で定めるとしています(消防法第9条)。対象・時期・様式は、市町村の条例と消防本部の取り扱いによって異なる場合があります。

この章の届出は、第2章・第3章の届出とは根拠が別です。収容人員が30人未満で防火管理者を決める必要のない店でも、条例の届出の対象になるかどうかは、条例によります。不明な場合は、管轄の消防本部に確認してください。

5. 消防用設備等の工事の着工届と、設備の設置

消防用設備等の工事のうち、政令で定めるものをするときは、工事をする甲種消防設備士が、工事に着手する日の10日前までに、消防長または消防署長に届け出ます(消防法第17条の14)。届出人は工事をする甲種消防設備士で、飲食店の事業主ではありません。

どの設備が必要かは、消防法施行令で、用途と規模ごとに決まっています。たとえば消火器具(消火器または簡易消火用具)は、飲食店を含む(三)項の防火対象物で、火を使用する設備または器具を設けたものが対象です。防火上有効な措置として総務省令で定める措置が講じられたものは除かれます(消防法施行令第10条第1項第1号ロ)。火を使用する設備がなくても、延べ面積が150平方メートル以上の(三)項は対象です(消防法施行令第10条第1項第2号ロ)。

厨房の火気設備と消火器

6. まとめ

覚えておきたいポイント

・飲食店は、消防法施行令別表第一の(三)項ロです。

・収容人員30人以上(「超える」ではなく「以上」)の飲食店は、防火管理者を決め、遅滞なく消防に届け出ます。解任も同じです。

・選任・解任の届出人は権原を持つ人、消防計画の届出人は防火管理者です。

・選任の届出には、防火管理者の資格を証する書面を添えます。

・消防法施行規則に別記様式がありますが、実際に使う様式は消防本部ごとに異なるのが一般的です。

・消防計画の届出の時期について、条文が定めているのは届出者・届出先までです。

・使用開始の届出と火を使用する設備の設置の届出は、火災予防条例に定められている場合があります。対象・時期・様式は、市町村の条例と消防本部の取り扱いによって異なる場合があります。

・消防用設備等の工事のうち政令で定める工事をするときの着工届は、甲種消防設備士が、着手の10日前までに出します。

・不明な場合は、管轄の消防本部に確認してください。

複雑な届出は、専門家に依頼する方法もあります

届出書など、書類の作成や提出が難しいと感じるときは、行政書士などの専門家に依頼するのも一つの方法です。なお、建物がどの項に当たるかは、管轄の消防本部に確認します。依頼すると、たとえば次のような点で、手間を減らせる場合があります。

・届出書の書式の選び方を相談できるため、書類を作り直す手間を減らせる場合があります。

・添える書面の確認を任せられるため、書類の不足や取り違えに気づきやすくなる場合があります。

・提出までの段取りを整理できるため、役所に出向く回数や、書類を何度も見直す手間を減らせる場合があります。

どの書類を任せられるかは、あらかじめ確認します。相談するかどうかは、ご自身で判断してください。

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の建物や店舗への適用を保証するものではありません。実際の取り扱いは、管轄の消防本部に確認してください。

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