露店や屋台の開設で届出の対象になるのは、催しの性質に当てはまり、対象火気器具等を使う露店等の開設です。祭りの屋台や、店舗の催事の露店で、こんろなどの火を使うことになったとき、届出をいつまでに出すのか、火気器具には何を用意するのかも、分かりにくい点です。露店等の開設の届出は、火災予防条例で定められる手続きで、対象になるかどうかは、催しの性質と、使う火気器具の種類で分かれます。ここでは、今回読んだ現行の火災予防条例を例にします。条例は消防本部ごとに異なる場合があります。この記事を読むと、届出の対象と時期、火気器具の基準、消火器の準備、大規模な催しの計画提出について知ることができます。
1. 対象は、火気器具を使う露店等の開設
露店等の開設の届出は、現行の条例に定められています。条例は、あらかじめ消防長に届け出なければならない行為を6つ挙げていて、露店等の開設は6つ目です(条例第45条第1項)。
(6) 祭礼、縁日、花火大会、展示会その他の多数の者の集合する催しに際して行う露店等の開設(対象火気器具等を使用する場合に限る。)
(現行の条例第45条第1項第6号)
届出が必要になるのは、3つの条件がそろうときです。多数の者の集合する催しであること、露店等の開設であること、そして対象火気器具等を使用することです。対象火気器具等を使わない開設は、この号の対象になりません。
「露店等」の意味は、この条例の別の条で示されています。
対象火気器具等を使用し、又は危険物を取り扱う露店、屋台その他これらに類するもの(第45条第1項において「露店等」という。)
(現行の条例第42条の3第1項第3号)
届け出るのは、露店等の開設をしようとする者です(条例第45条第1項)。

2. 「対象火気器具等」とは、どんな器具か
「対象火気器具等」は、条例が、消防法施行令第5条の2第1項に規定するものと定めています(条例第42条の2第1項)。令は、対象火気器具等を「火を使用する器具又はその使用に際し、火災の発生のおそれのある器具であつて総務省令で定めるもの」としています(消防法施行令第5条の2第1項)。総務省令(平成14年総務省令第24号)の第18条は、気体燃料を使用する器具、液体燃料を使用する器具、固体燃料を使用する器具、電気を熱源とする器具を挙げています(e-Gov法令検索)。
条例も、器具の取扱いの基準を、この燃料と熱源の区分に沿って定めています。液体燃料は第18条、固体燃料は第19条、気体燃料は第20条、電気を熱源とする器具は第21条です。
条例の別表第3(第18条の距離の表)には、調理用の器具として、卓上型こんろ、卓上型グリル、卓上型オーブン・グリル、炊飯器、圧力調理器、移動式こんろ、電気こんろや電気レンジなどの電気調理用機器の行があります(条例別表第3)。屋台やキッチンカーで使う器具が、どの区分に当たるかは、使う燃料や熱源で見ます。
キッチンカーのように車両で出店する場合が「露店、屋台その他これらに類するもの」に当たるかどうかも含め、不明な場合は、管轄の消防本部に確認してください。
3. 届出の時期、部数、様式
届出は「あらかじめ」行います。条例が定めているのは「あらかじめ」までで、何日前という日数は定めていません。消防長は、届出の対象となる期間と区域を指定できます(条例第45条第2項)。
現行の火災予防規則では、露店等の開設の届出は「露店等の開設届出書」によると定められています(火災予防規則第18条第6号。別記様式第23号の2)。届出書は2部を提出します。受理した消防本部が、火災予防上または消防活動上支障がないと認めるときは、届出済印を押して1部を交付します(火災予防規則第22条第1項第17号、第2項)。
この規則に別記様式が定められていますが、ほかの消防本部では、様式が異なるのが一般的です。
届出の目的について、消防庁が条例(例)の運用として示した通知は、消火器の準備が必要になることから、その実施状況を消防機関が事前に把握し、必要に応じて指導できるようにするためと説明しています(消防予第33号 平成26年2月7日。条例(例)の運用についての助言で、各消防本部の運用は異なる場合があります)。
4. 火気器具の置き方と使い方の基準
届出とは別に、対象火気器具等には、置き方と使い方の基準があります。条例の第18条第1項は、液体燃料を使う器具について、第1号から第13号まで(第9号の2を含みます)の基準を定めています。このうち、第1号から第9号が、置き方と使い方の基本です。固体燃料、気体燃料、電気を熱源とする器具には、これらの基準が準用されます(準用の範囲は、燃料や熱源ごとに少しずつ違います)。
- 距離: 建築物等や可燃性の物品から、別表第3の距離と、告示(平成14年消防庁告示第1号)で得られる距離のうち、消防長が火災予防上安全な距離として認める距離以上を保ちます(第1号)。
- 場所: 可燃性のガスや蒸気が滞留するおそれのない場所で使います(第2号)。地震などで容易に可燃物が落下するおそれのない場所で使います(第3号)。
- 置き方: 地震などで容易に転倒または落下するおそれのない状態で使います(第4号)。不燃性の床上または台上で使います(第5号)。
- 器具の状態と使い方: 故障したり破損したりしたものは使いません(第6号)。本来の使用目的以外には使いません(第7号)。本来の使用燃料以外の燃料は使いません(第8号)。
- 周囲の管理: 器具の周囲は、常に整理と清掃に努め、燃料その他の可燃物をみだりに放置しません(第9号)。
(以上、条例第18条第1項)
第9号に続く第9号の2が、多数の者の集合する催しでの消火器の準備です。消防法施行令第5条の2第1項も、距離、場所、転倒・落下、屋内で使うときの不燃性の床や台、周囲の整理と清掃、催しでの消火器の準備を、条例が従う基準として挙げています(消防法施行令第5条の2第1項第1号〜第6号)。
5. 燃料や熱源ごとに、追加の基準がある
燃料や熱源によって、基準は少しずつ違います。
| 燃料・熱源 | 条文 | 追加で定められていること |
|---|---|---|
| 液体燃料 | 第18条 | 燃料漏れがないことを確認してから点火する。使用中は器具を移動させず、燃料を補給しない。漏れたりあふれたりした燃料を受ける皿を設ける。必要な知識と技能を持つ者として消防長が指定する者に、点検と整備を行わせる(第10号〜第13号)。 |
| 固体燃料 | 第19条 | 火鉢は底部に遮熱のための空間を設けるか砂等を入れ、置ごたつは火入れ容器を金属以外の不燃材料の台上に置く(第1項)。第18条第1項第1号〜第9号の2を準用(第2項)。 |
| 気体燃料 | 第20条 | 器具に接続する金属管以外の管は、その器具に応じた適当な長さとする(第1項)。第18条第1項第1号〜第10号を準用(第2項)。 |
| 電気を熱源とする器具 | 第21条 | 通電した状態でみだりに放置しない。安全装置をみだりに取りはずさず、その器具に不適合なものと取り替えない(第1項)。第18条第1項第1号〜第7号、第9号、第9号の2を準用(第2項)。 |
プロパンガスは、条例が気体燃料の例として挙げています(条例第3条第1項第18号)。プロパンガスを使う器具は、気体燃料を使用する器具として、第20条の基準で取り扱います。第20条第2項は第10号まで準用するため、燃料漏れがないことを確認してから点火する基準も、気体燃料の器具に当たります。一方、使用中の移動や燃料の補給を禁じる第11号と、燃料を受ける皿の第12号は、第20条第2項の準用には含まれません。
固体燃料の器具も同じで、第19条第2項の準用は第9号の2までです。点火前の確認(第10号)以降は含まれません。
電気を熱源とする器具には、器具の表面に可燃物が触れた場合に、その可燃物が発火するおそれのないものがあります。その器具は、準用される基準が第2号と第5号〜第7号に限られます(条例第21条第2項)。この場合、第9号の2(消火器の準備)は準用されません。
6. 多数の者が集合する催しでは、消火器を準備して使う
多数の者が集合する催しで火気器具を使うときは、消火器を準備した上で使います。液体燃料を使う器具の基準が、催しでの使用について定めています。
祭礼、縁日、花火大会、展示会その他の多数の者の集合する催しに際して使用する場合にあつては、消火器の準備をした上で使用すること
(現行の条例第18条第1項第9号の2)
この基準は、固体燃料(第19条第2項)、気体燃料(第20条第2項)、電気を熱源とする器具(第21条第2項)、火消つぼなど使用に際し火災の発生のおそれのある器具(第22条)にも準用されます。令にも同じ趣旨の基準があり、条例は令に従って定められています(消防法施行令第5条の2第1項第6号)。
条例が定めているのは、消火器の準備をした上で使うことまでです。本数や種類は、条文では決まっていません。消防庁が条例(例)の運用として示した通知は、4つの考え方を示しています(消防予第33号 平成26年2月7日。条例(例)の運用についての助言で、各消防本部の運用は異なる場合があります)。
- 「多数の者の集合する催し」: 一時的に一定の場所に人が集合して混雑が生じ、火災が起きたときの危険性が高まる催しで、祭礼、縁日、花火大会、展示会のように一定の社会的広がりを持つものを指します。近親者によるバーベキューや、幼稚園で父母が主催するもちつき大会のように、集合する人の範囲が個人的なつながりにとどまる催しは、対象外です。
- 消火器の種類: 初期消火を有効に行うため、器具の種別や周囲の可燃物などの消火に適応するものを準備します。能力単位は、器具の入力、燃料の種別、周囲の可燃物などの実態を踏まえて判断するよう、通知は求めています。
- 準備する人: 原則として、対象火気器具等を取り扱う人が準備します。初期消火を有効に行える場合は、複数の器具で共同して消火器を準備することもできます。
- 点検: 準備する消火器には、消防法第17条の3の3の点検の義務はありません。ただし、腐食や破損のあるものなど、不適切な消火器を準備していることが明らかになった場合は、適切な消火器を準備するよう指導が行われます。
建物に備える消火器の基準は、ここで説明した催しでの準備とは別の基準です。建物の消火器は、別の記事で説明しています。

7. 大規模な屋外の催しは「指定催し」になることがある
祭礼、縁日、花火大会などの屋外の催しのうち、大規模なものとして消防長が別に定める要件に当たり、対象火気器具等の周囲で火災が起きると人命や財産に特に重大な被害を与えるおそれがあると消防長が認めるものは、「指定催し」に指定されます(条例第42条の2第1項)。指定の前に、消防長は主催者の意見を聴きます。主催者から指定の求めがあったときは、聴きません(同条第2項)。指定したときは、消防長が主催者に通知し、公示します(同条第3項)。通知は「指定催しの指定通知書」で行います。公示は、公告式に関する条例に定める方法、消防本部のウェブサイトへの掲載、消防署の掲示場への掲示で行います(火災予防規則第15条の2。通知書は別記様式第13号)。
要件の中身について、条例が定めているのは「消防長が別に定める要件」までです。消防庁の通知は、各消防本部が告示で定めることを想定し、その要件として、大規模な催しが開催できる公園、河川敷、道路などを会場とすることと、主催者が出店を認める露店等が100店舗を超える規模であることを挙げています。露店等の数は、地域の催しの実情に応じて、より小さな数を定めても差し支えないとも示しています。人命や財産への重大な被害のおそれは、多数の露店等が出店し、その周囲で雑踏が起きることなどを踏まえて、総合的に判断します。この規定は、平成25年8月に京都府福知山市で発生した花火大会の火災の教訓を踏まえたものです。複数の者が実質的に共同して主催する催しも対象になると想定されています(消防予第33号 平成26年2月7日。各消防本部の運用は異なる場合があります)。
指定を受けた主催者には、3つの義務があります。
- 速やかに防火担当者を定める。
- 開催日の14日前までに、火災予防上必要な業務の計画を作成し、消防長に提出する。14日前の日以後に指定を受けた場合は、防火担当者を定めた後遅滞なく作成し、消防長が定める日までに提出する。
- 計画に基づく業務を行わせる。
(条例第42条の3)
計画には、6つの事項を定めます。防火担当者などの実施体制、対象火気器具等の使用や危険物の取扱いの把握、露店等や客席の火災予防上安全な配置、対象火気器具等に対する消火準備、火災時の消火活動・通報連絡・避難誘導、そのほか火災予防上必要な業務です(条例第42条の3第1項)。計画は、「火災予防上必要な業務に関する計画提出書」を添えて1部を提出します(火災予防規則第15条の3。別記様式第13号の2)。
消防庁の通知は、防火担当者の資格について特段の定めはなく、指定催しを主催する団体の代表者が自ら防火担当者になることも妨げないと示しています。計画の提出期限が14日前なのは、消防機関が催しの概要を把握し、計画を事前に確認して、必要に応じて是正を求める事務処理の期間を考慮したためと、通知は説明しています(消防予第33号 平成26年2月7日)。
この計画を提出しなかった者は、30万円以下の罰金に処せられます(条例第50条第4号)。法人の代表者や従業員が、法人の業務に関して違反したときは、行為者を罰するほか、その法人にも同じ刑が科されます(条例第51条第1項)。
自分たちの催しが指定催しに当たるかどうかは、消防長が指定し、主催者に通知します(条例第42条の2第3項)。

8. 届け出る人と、出店前に確かめること
条例が届出を求めているのは、露店等の開設を「しようとする者」です(条例第45条第1項)。消防庁の通知は、届出の対象を「当該露店等を開設する者」と説明しています(消防予第33号 平成26年2月7日)。主催者がまとめて出すのか、出店者ごとに出すのかは、条文からは読み取れません。不明な場合は、管轄の消防本部に確認してください。
出店の前に、手元で確かめておける点が3つあります。
- 使う火気器具の燃料や熱源。液体、固体、気体、電気のどれかで、適用される条(第18条〜第21条)と追加の基準が変わります。
- 催しが、多数の者の集合する催しに当たるか。近親者によるバーベキューのように、集合する人の範囲が個人的なつながりにとどまる催しは、消火器の準備の対象外です。
- 消火器を、だれがどの器具のために準備するか。原則は器具を取り扱う人で、共同で準備することもできます。
届出の時期は「あらかじめ」で、日数の定めはありません。催しが指定催しに指定された場合は、主催者が防火担当者を定め、開催日の14日前までに、計画提出書を添えて計画を消防長に提出します(条例第42条の3、火災予防規則第15条の3)。
9. まとめ
覚えておきたいポイント
・現行の火災予防条例では、露店等の開設が、あらかじめ消防長に届け出る行為に挙げられています(第45条第1項第6号)。
・対象は、多数の者の集合する催しで、対象火気器具等を使用する露店等を開設するときです。
・対象火気器具等は、気体・液体・固体の燃料を使う器具と電気を熱源とする器具の区分で、基準が定められています。
・届出の時期はあらかじめで、条例は日数を定めていません。
・届出書は露店等の開設届出書で、2部提出します。
・火気器具は、距離、場所、置き方、周囲の管理の基準に沿って使います(第18条第1項)。
・多数の者の集合する催しで火気器具を使うときは、消火器の準備をした上で使います(第18条第1項第9号の2)。
・大規模な屋外の催しは指定催しになることがあり、指定を受けた主催者は、防火担当者を定め、開催日の14日前までに計画を提出します。
・計画を提出しなかった者は、30万円以下の罰金に処せられます(第50条第4号)。
・不明な場合は、管轄の消防本部に確認してください。
複雑な届出は、専門家に依頼する方法もあります
届出書など、書類の作成や提出が難しいと感じるときは、行政書士などの専門家に依頼するのも一つの方法です。なお、催しが届出の対象に当たるかは、管轄の消防本部に確認します。依頼すると、たとえば次のような点で、手間を減らせる場合があります。
・届出書の書式の選び方を相談できるため、書類を作り直す手間を減らせる場合があります。
・添える書面の確認を任せられるため、書類の不足や取り違えに気づきやすくなる場合があります。
・提出までの段取りを整理できるため、役所に出向く回数や、書類を何度も見直す手間を減らせる場合があります。
どの書類を任せられるかは、あらかじめ確認します。相談するかどうかは、ご自身で判断してください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の建物や店舗への適用を保証するものではありません。実際の取り扱いは、管轄の消防本部に確認してください。

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