消防法令手続きから設備点検、防火管理サポートまでワンストップで支援

飲食店の消防の手続きチェックリスト。届出、設備、訓練の確認項目

飲食店の消防の手続きチェックリスト。届出、設備、訓練の確認項目

「消防の手続きは、うちの店ではどこまで済んでいるのだろう」と考えるのは、開店の準備を進めているときや、営業を続けているうちです。消防の手続きは、届出、設備、訓練と話が分かれているため、何を済ませていて何が残っているのか、見えにくくなりがちです。そこで、飲食店が消防に関して行う手続きを「〜しているか」の形で並べました。各項目の詳しい内容は、章ごとのリンク先にあります。この記事を読むと、店の使い方と人数の確認から、防火管理者、訓練、設備と工事の届出、条例の届出まで、自分の店の手続きの状況を順に確かめることができます。

目次

1. 店の使い方と人数を確かめているか

  • □ 自分の店が、飲食店((三)項ロ)にあたると確かめているか
  • □ 収容人員(その店に出入りし、勤務する人の数)を数えているか

消防法施行令別表第一で、飲食店は(三)項ロです。(三)項ロは、特定防火対象物(多数の者が出入するものとして政令で定める防火対象物)にあたります(消防法第17条の2の5第2項第4号、消防法施行令第34条の4)。

防火管理者を定める基準は、収容人員が30人以上です。「30人を超える」ではなく、ちょうど30人も対象です(消防法施行令第1条の2第3項第1号ロ)。この人数が、次の章以降の出発点になります。

客席と入口の消火器

2. 防火管理者と消防計画の手続きをしているか

  • □ 収容人員が30人以上のとき、防火管理者を定めているか
  • □ 防火管理者を定めたとき(解任したときも)、遅滞なく選任・解任の届出をしているか
  • □ 選任の届出に、防火管理者の資格を証する書面を添えているか
  • □ 防火管理者が、消防計画を作成して届け出ているか(変更したときも)

選任・解任の届出は、建物の管理について権原(決める権利)を持つ人が、所轄の消防長または消防署長に出します(消防法第8条第1項、第2項)。選任の届出には、防火管理者の資格を証する書面を添えます(消防法施行規則第3条の2第2項)。

消防計画の届出は、届出人が変わります。防火管理者が、権原を持つ人の指示を受けて消防計画を作り、届け出ます。変更するときも同じです(消防法施行規則第3条第1項)。届出の時期について、条文が定めているのは届出者(防火管理者)と届出先までです。

消防法施行規則に別記様式が定められています。ただし、実際に使う様式は消防本部ごとに異なるのが一般的です。使う様式は、管轄の消防本部に確認してください。

3. 消防訓練を行っているか

  • □ 防火管理者を定めている店で、消火訓練と避難訓練を、年2回以上行っているか
  • □ 訓練を行う前に、あらかじめ消防機関へ通報しているか

防火管理者を定めている飲食店(収容人員30人以上。消防法施行令第1条の2第3項第1号ロ)は(三)項で、防火管理者が消火訓練と避難訓練を年2回以上行います(消防法施行規則第3条第10項)。訓練を行う場合は、あらかじめ、その旨を消防機関に通報します(消防法施行規則第3条第11項)。事前の通報は、消防訓練実施計画通知書で行います。

閉店後の通路と非常口の確認

4. 消防用設備と、その工事の届出を確かめているか

  • □ 火を使用する設備や器具があれば、消火器を置いているか
  • □ 延べ面積が300㎡以上のとき、自動火災報知設備を設置しているか
  • □ 延べ面積が700㎡以上のとき、屋内消火栓設備を設置しているか
  • □ 誘導灯を設置しているか(避難が容易と認められる一定のものを除く)
  • □ 消防用設備等の工事のうち政令で定める工事をするとき、着工届が出されているか

設備ごとに、面積や階の基準が分かれています。消火器は、火を使用する設備や器具を設けていれば面積に関係なく、設けていなければ延べ面積150㎡以上で対象です(消防法施行令第10条第1項第1号ロ、第2号ロ)。自動火災報知設備は延べ面積300㎡以上(消防法施行令第21条第1項第3号イ)、屋内消火栓設備は延べ面積700㎡以上が基準です(消防法施行令第11条第1項第2号)。誘導灯は、(三)項に面積の基準がなく、飲食店は対象です(消防法施行令第26条第1項第1号・第2号)。ただし、避難が容易であると認められるもので総務省令で定めるものは、設置の対象から除かれます(消防法施行令第26条第1項ただし書)。

地階、無窓階、上の階の条件や、スプリンクラー設備などの基準は、設備ごとに別に定められています。

着工届は、甲種消防設備士が、工事に着手しようとする日の10日前までに、消防長または消防署長に届け出ます(消防法第17条の14)。届出人は工事をする甲種消防設備士で、飲食店の事業主ではありません。

厨房の火気設備と消火器

5. 条例に定められている届出を、消防本部に確かめているか

  • □ 使用開始の届出が、市町村の火災予防条例に定められていないか確かめているか
  • □ 火を使用する設備の設置の届出が、条例に定められていないか確かめているか

この2つの届出は、市町村の火災予防条例に定められている場合があります。消防法第9条は、火を使用する設備や器具について、火災予防に必要な事項を、政令で定める基準に従い市町村条例で定めるとしています(消防法第9条)。対象・時期・様式は、市町村の条例と消防本部の取り扱いによって異なる場合があります。第2章・第3章の手続きとは根拠が別で、収容人員が30人未満の店でも、条例の対象になるかどうかは条例によります。不明な場合は、管轄の消防本部に確認してください。

6. まとめ

届出は、出す人がそれぞれ違います。

手続き 出す人
防火管理者の選任・解任の届出 建物の管理について権原を持つ人
消防計画の作成・変更の届出 防火管理者
消防用設備等の工事のうち、政令で定める工事の着工届 工事をする甲種消防設備士
使用開始の届出、火を使用する設備の設置の届出 異なる場合があります

覚えておきたいポイント

・飲食店は、消防法施行令別表第一の(三)項ロで、特定防火対象物です。

・収容人員30人以上の飲食店は、防火管理者を定め、遅滞なく選任の届出を出します。解任も同じです。

・消防計画の届出人は防火管理者、選任・解任の届出人は権原を持つ人です。

・防火管理者を定めている店では、防火管理者が消火訓練と避難訓練を年2回以上行い、行う前にあらかじめ消防機関に通報します。

・消火器、自動火災報知設備、屋内消火栓設備、誘導灯は、設備ごとの面積や階の基準で決まります。

・消防用設備等の工事のうち政令で定める工事の着工届は、甲種消防設備士が、着手の10日前までに出します。

・使用開始の届出と火を使用する設備の設置の届出は、火災予防条例に定められている場合があります。

・不明な場合は、管轄の消防本部に確認してください。

複雑な届出は、専門家に依頼する方法もあります

届出書など、書類の作成や提出が難しいと感じるときは、行政書士などの専門家に依頼するのも一つの方法です。なお、建物がどの項に当たるかは、管轄の消防本部に確認します。依頼すると、たとえば次のような点で、手間を減らせる場合があります。

・届出書の書式の選び方を相談できるため、書類を作り直す手間を減らせる場合があります。

・添える書面の確認を任せられるため、書類の不足や取り違えに気づきやすくなる場合があります。

・提出までの段取りを整理できるため、役所に出向く回数や、書類を何度も見直す手間を減らせる場合があります。

どの書類を任せられるかは、あらかじめ確認します。相談するかどうかは、ご自身で判断してください。

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の建物や店舗への適用を保証するものではありません。実際の取り扱いは、管轄の消防本部に確認してください。

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