消防設備士の試験を受けようと考えたとき、いま持っている免状や電気工事士の資格が使えるのか、どの科目が免除になるのかが気になります。免除される科目は、受ける類と、手持ちの資格の組み合わせによって違い、資格を持っているだけでは免除されません。受験の申請のときに申し出る必要があります。説明は、消防法施行規則と、消防試験研究センターの令和8年度の試験案内、およびセンターの免除一覧表に沿っています。問題数と試験時間も、この試験案内と免除一覧表によります。この記事を読むと、制度の仕組み、持っている資格ごとの免除、免除を受けたときの試験の中身、申請の方法と証明書類について知ることができます。
1. 科目免除は、申請して受ける制度
科目免除は、試験の一部の科目を、申請により免除する制度です(消防法施行規則第33条の11)。資格を持っているだけでは免除されず、受験の申請のときに申し出ます。
免除の対象になる人は、規則が6つの場合に分けて定めています。
- 技術士の第二次試験に合格している人(第1項)
- 電気工事士の免状を持っている人(第2項)
- 電気主任技術者の免状の交付を受けている人(第3項)
- 他の類の消防設備士免状の交付を受けている人(第4項)
- 日本消防検定協会などの職員で、型式承認の試験の実施業務に2年以上従事した人(第5項)
- 5年以上消防団員として勤務し、消防学校の機関科の教育訓練を修了した人。乙種5類・6類の試験が対象です(第6項)
(消防法施行規則第33条の11)
免除の対象になるのは、特類以外の類です。規則の免除の定めは、いずれも「前条第二項」の試験科目を免除するもので、前条にあたる第33条の10の第2項は、特類以外の筆記試験の科目を定めています(消防法施行規則第33条の11第1項〜第6項、第33条の10第2項)。甲種の特類には一部免除がなく、センターの免除一覧表にも、そのように記載されています。
免除された科目の問題は、点数として加算されません(センターの令和8年度試験案内)。合格基準は、免除された科目を除いて判定します(消防法施行規則第33条の11の2)。センターの試験案内には、消防関係法令が15問のところ、免除を受けると7問になり、正答3問で40%を満たす、という例が載っています。合格基準そのものは、別の記事で説明しています。
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2. 他の類の免状があるときの免除
免状による免除は、すでに免状の交付を受けている人が対象です(消防法施行規則第33条の11第4項)。試験に合格しただけの段階では、対象になりません。
免除の内容は、2段階です。
1つ目は、消防関係法令の共通部分です。甲種の免状を持っている人は、ほかの類の試験で、乙種の免状を持っている人は、ほかの乙種の類の試験で、免除されます(消防法施行規則第33条の11第4項第1号)。免除される問題数は、受ける試験が甲種なら8問、乙種なら6問です。
2つ目は、機械または電気に関する基礎的知識です。持っている免状と受ける類が、規則の定める組み合わせのときに免除されます(消防法施行規則第33条の11第4項第2号・第3号)。
- 甲種1類・2類・3類の間
- 乙種1類・2類・3類の間
- 乙種4類と7類の間
- 乙種5類と6類の間
- 甲種から乙種へ。1類から乙種の2類・3類、2類から乙種の1類・3類、3類から乙種の1類・2類、4類から乙種の7類、5類から乙種の6類
甲種を受けるときの免除は、縦に受ける試験、横に持っている甲種の免状を取った表で示します。◎は消防関係法令の共通部分と基礎的知識、○は消防関係法令の共通部分が免除されます。
| 受ける試験 | 甲種1類 | 甲種2類 | 甲種3類 | 甲種4類 | 甲種5類 |
|---|---|---|---|---|---|
| 甲種1類 | − | ◎ | ◎ | ○ | ○ |
| 甲種2類 | ◎ | − | ◎ | ○ | ○ |
| 甲種3類 | ◎ | ◎ | − | ○ | ○ |
| 甲種4類 | ○ | ○ | ○ | − | ○ |
| 甲種5類 | ○ | ○ | ○ | ○ | − |
(センターの令和8年度試験案内。−は、同じ類のため該当しない組み合わせです)
乙種の免状では、甲種の試験の免除は受けられません(センターの令和8年度試験案内)。
乙種を受けるときの例を挙げます。乙種6類の免状を持っている人が乙種5類を受けると、消防関係法令の共通部分6問と、基礎的知識(機械)5問が免除されます。甲種4類の免状を持っている人が乙種7類を受けると、共通部分6問と、基礎的知識(電気)5問が免除されます(センターの試験の一部免除・試験時間・試験問題数一覧表)。
実技試験は、他の類の免状による免除がありません。
くわしく知りたい方へ
3. 電気工事士・電気主任技術者・技術士などがあるとき
電気工事士の免状があると、電気に関する科目が免除されます。規則が免除の対象にしているのは、電気工事士法第2条第4項に規定する電気工事士です(消防法施行規則第33条の11第2項、第33条の8第1項第五号)。センターの一覧表の備考では、第一種または第二種の電気工事士免状の交付を受けている人とされています。免除されるのは、基礎的知識と、構造・機能・工事・整備のうち、電気に関する部分です。実技は、類によって免除があります(消防法施行規則第33条の11第2項)。
| 受ける類 | 免除される筆記 | 免除される実技 |
|---|---|---|
| 甲種1類・2類・3類 | 基礎的知識(電気4問)、構造・機能・工事・整備(電気6問) | なし |
| 甲種4類 | 基礎的知識(電気10問)、構造・機能・工事・整備(電気12問) | 鑑別等の1問 |
| 甲種5類 | なし(電気の問題がないため) | なし |
| 乙種1類・2類・3類 | 基礎的知識(電気2問)、構造・機能・工事・整備(電気4問) | なし |
| 乙種4類 | 基礎的知識(電気5問)、構造・機能・工事・整備(電気9問) | 鑑別等の1問 |
| 乙種5類・6類 | なし(電気の問題がないため) | なし |
| 乙種7類 | 基礎的知識(電気5問)、構造・機能・工事・整備(電気9問) | 鑑別等の全部 |
(センターの試験の一部免除・試験時間・試験問題数一覧表(甲種・乙種))
電気工事士の免状があっても、甲種5類、乙種5類、乙種6類は、電気の問題がないため、免除になる科目がありません。甲種の特類にも、一部免除がありません。
電気主任技術者は、第一種から第三種までの免状の交付を受けている人です。免除されるのは、筆記試験の電気に関する部分で、実技の免除はありません(消防法施行規則第33条の11第3項、センターの一覧表)。
電気工事士と電気主任技術者は、甲種の受験資格でもあります(消防法施行規則第33条の8第1項)。
技術士は、技術の部門によって、免除される類が決まっています。機械部門は1類、2類、3類、5類、6類、電気部門は4類と7類、化学部門は2類と3類、衛生工学部門は1類で、基礎的知識と、構造・機能・工事・整備の科目が免除されます(消防法施行規則第33条の11第1項)。
電気工事士の免状があって、乙種4類と乙種7類を同じ試験日に受ける場合は、2つの試験を同時に受験できます。条件は、電気工事士免状を取得していること、その資格により試験科目の一部免除を受けること、乙種4類と乙種7類の組み合わせであることの3つです(センターの令和8年度試験案内)。このとき、4類と7類の科目免除は同じにするとされています。電気工事士の免状だけの場合の合計試験時間は、1時間45分です(センターの試験の一部免除・試験時間・試験問題数一覧表)。

4. 免除を受けると、試験の中身はどう変わるか
乙種7類を例に、持っている資格による違いを見ます。乙種7類の筆記は30問で、内訳は、消防関係法令が共通6問と類別4問、基礎的知識(電気)が5問、構造・機能・工事・整備が電気9問と規格6問です。実技は、鑑別等5問です。
| 持っている資格 | 免除される科目 | 筆記の問題数 | 実技 | 試験時間 |
|---|---|---|---|---|
| 免除なし | なし | 30問 | 鑑別等5問 | 1時間45分 |
| 甲種1〜3類・5類、乙種1〜3類・5類・6類のいずれかの免状 | 消防関係法令の共通6問 | 24問 | 鑑別等5問 | 1時間30分 |
| 甲種4類または乙種4類の免状 | 消防関係法令の共通6問、基礎的知識(電気)5問 | 19問 | 鑑別等5問 | 1時間15分 |
| 電気工事士の免状 | 基礎的知識(電気)5問、構造・機能・工事・整備(電気)9問 | 16問 | 免除 | 1時間 |
| 甲種または乙種のいずれかの免状と、電気工事士の免状 | 消防関係法令の共通6問、基礎的知識(電気)5問、構造・機能・工事・整備(電気)9問 | 10問 | 免除 | 35分 |
(センターの試験の一部免除・試験時間・試験問題数一覧表(乙種)。筆記の問題数は、30問から免除される問題数を引いた数です)
いちばん下の場合、残る筆記は、消防関係法令の類別4問と、構造・機能・工事・整備の規格6問の、計10問です。実技は、全部免除されます。
甲種でも考え方は同じです。たとえば甲種4類の試験を、電気工事士の免状を持って受けると、基礎的知識(電気)10問と、構造・機能・工事・整備(電気)12問が免除され、鑑別等も1問免除されます。筆記の残りは、消防関係法令の共通8問と類別7問、構造・機能・工事・整備の規格8問の、計23問です。実技は、鑑別等4問と製図2問が残ります(センターの試験の一部免除・試験時間・試験問題数一覧表(甲種))。
免除を受けると、試験時間も短くなります。試験時間は、受ける類と持っている資格の組み合わせごとに、センターの一覧表に載っています。
免除を受ける前の、類ごとの試験の構成は、6類(乙種)、4類(甲種・乙種)、1類(甲種・乙種)の記事で説明しています。
5. 申請の方法と証明書類
免除を受けるときは、受験の申請のときに、免除に係る資格を持っていることを証明する書類を提出します(消防法施行規則第33条の13第1項第二号)。センターの令和8年度の試験案内には、申請の方法ごとに、証明書類の出し方が記載されています。
電子申請では、証明書類のデータ(PDFまたはJPEG形式)をアップロードします。すでに消防設備士免状を持っている場合は、免状番号(免状の写真の下に記載された12桁の番号)の入力が必要です。免状番号のない古い免状を持っている人は、電子申請ができず、書面で申請します。証明書類に不備があると、差し戻されます。
書面申請では、受験願書A面の「試験の免除」欄の「受ける」を○で囲み、証明書類を願書B面(裏)にのり付けします。すでに消防設備士免状を1種類でも取得している人は、免除を受けるかどうかにかかわらず、免状のコピーを提出します。
証明書類は、免除を受ける資格ごとに決まっています(センターの一覧表)。
- 消防設備士は、消防設備士免状のコピー(表・裏の両面)
- 電気工事士は、電気工事士免状のコピー
- 電気主任技術者は、電気主任技術者免状のコピー
- 技術士は、技術士第二次試験もしくは本試験の合格証明書、または技術士登録証のコピー
- 5年以上勤務した消防団員(乙種5類・6類)は、5年以上消防団員として勤務したことを証明する書類と、消防学校の機関科の教育訓練を修了したことを証明する書類の両方
- 日本消防検定協会などの職員は、型式承認試験の実施業務の従事証明書
センターは、令和10年度から受験申込みは原則として電子申請のみとなる予定と案内しています。試験案内は、都道府県ごとに日程などの内容が異なります。申請方法は、受験する都道府県の支部の案内で確認してください。

6. まとめ
覚えておきたいポイント
・科目免除は、受験の申請のときに、証明書類を添えて申し出る制度です。資格を持っているだけでは免除されません。
・免状による免除は、免状の交付を受けている人が対象です。甲種の免状は他の類の試験で、乙種の免状は他の乙種の類の試験で、消防関係法令の共通部分が免除されます。
・基礎的知識の免除は、甲種1〜3類の間、乙種1〜3類の間、乙種4類と7類の間、乙種5類と6類の間などの組み合わせです。
・乙種の免状では、甲種の科目免除は受けられません。
・電気工事士の免状で免除されるのは電気の問題で、甲種5類、乙種5類、乙種6類は、電気の問題がないため免除になる科目がありません。甲種特類には免除がありません。
・免除された科目は点数にならず、残った科目で、科目ごと40%以上、全体60%以上が合格基準です。
・証明書類は、消防設備士・電気工事士・電気主任技術者では、それぞれの免状のコピーです。電子申請ではアップロード、書面申請では願書にのり付けします。
・試験の最新情報は、消防試験研究センターの案内で確認してください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、受験資格や科目免除の適用を保証するものではありません。実際の取り扱いは、消防試験研究センターの案内で確認してください。

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