消防法令手続きから設備点検、防火管理サポートまでワンストップで支援

古い消火器の処分とリサイクル。使用期限・点検の決まりと、廃棄の窓口をやさしく解説

古い消火器の処分とリサイクル。使用期限・点検の決まりと、廃棄の窓口をやさしく解説

「この消火器は製造から何年たっているのか」「替えるならいつか」「古いものはどこに出せばよいのか」。事務所や店の隅に置いたままの消火器を見て、そう思う方は少なくないでしょう。消防法令で設置が必要な建物では、古い消火器を外したあとも、消火器を設置し、維持する状態が続くため、処分は新しい消火器への置き換えと切り離せません。そのうえで、替え時は製造からの年数と規格の改正で決まり、出し先は、消火器業界の回収のしくみで決まります。回収のしくみは、日本消火器工業会と総務省消防庁の資料に基づいて説明します。この記事を読むと、設置の対象かどうかの確かめ方、使用期限と点検、廃棄の窓口、置き換えの決まりについて知ることができます。

目次

1. 処分の前に確かめたいこと。その消火器は設置の対象か

最初に整理したいのは、その消火器が、消防法令で設置が必要な建物に置かれているものかどうかです。

消防法は、政令で定める防火対象物の関係者に、消防用設備等を「設置し、及び維持しなければならない」と定めています(消防法第17条第1項)。消火器を置く建物は、消防法施行令第10条が定めています。面積に関係なく対象になる項、延べ面積150㎡以上や300㎡以上で対象になる項、地階・無窓階・3階以上の階で床面積が50㎡以上のもの、少量危険物や指定可燃物を扱う建築物などです(消防法施行令第10条第1項)。

設置の対象になっている建物では、古い消火器を外したあとも、消火器を設置し、維持する状態が続きます。処分と置き換えは、続けて考える作業です。外す消火器の本数だけでなく、新しく置く本数と置き場所も、あわせて決めておきます。

一方、消防法令に基づく設置の義務がない場所に、自主的に置いている消火器もあります。日本消火器工業会は、ご家庭などに自主的に設置している消火器には、消防法令上の交換義務はないと案内しています。ただし、同じ資料は、使用期限内での交換を勧めています。

廊下の壁の消火器

2. 替え時になる理由。設計標準使用期限と、旧規格の消火器

消火器が古くなる理由は、大きく2つあります。製造からの年数と、規格の改正です。

製造からの年数については、日本消火器工業会が、見た目が新しく見える消火器でも、長い間設置していると経年で不具合が生じることがあると案内しています。メーカーが推奨する消火器の設計標準使用期限は、製造からおおむね10年(住宅用消火器はおおむね5年)です。新規格の消火器の本体には、この「設計標準使用期限」が書かれています。消火器の技術上の規格を定める省令(昭和39年自治省令第27号)は、消火器に表示する事項を定めています。製造年、取扱い上の注意事項として「標準的な使用条件の下で使用した場合に安全上支障がなく使用することができる標準的な期間又は期限として設計上設定される期間又は期限」、点検に関する事項、廃棄時の連絡先及び安全な取扱いに関する事項が、その中に挙がっています(同省令第38条第1項第11号・第19号ハ・ヘ・ト)。

使用期限の読み方(仮の例)

製造年が2014年と表示され、設計標準使用期限が製造からおおむね10年の消火器があるとします。この場合、期限の年は2024年です。実際の期限は、おおむねの年数ではなく、本体に表示された設計標準使用期限で確かめます。

規格の改正については、日本消火器工業会によると、2011年1月1日の消火器の技術上の規格を定める省令の改正で、型式が失効した消火器があります。同工業会によると、消防法令に基づいて消火器の設置が義務付けられている建物等で、型式が失効している消火器を継続的に設置できる猶予期間は、2021年12月31日に終了しました。同工業会は、2022年1月1日以降は、型式が失効した消火器の設置は認められないとしています。消防庁の点検のパンフレットにも、2011年以前に製造された一部の消火器は、2021年12月31日に設置の特例期間が終了し、継続的に設置できなくなると記されています。

消火器は、消防の用に供する機械器具等のうち、型式承認と型式適合検定を受けるものです(消防法第21条の2第1項、消防法施行令第37条第1号)。技術上の規格が変わったとき、すでに型式承認を受けた型式の効力を失わせる、または一定の期間が経過した後に失われることとする仕組みが、消防法にあります(消防法第21条の5第1項)。

また、消防法第17条の2の5第1項は、基準が変わっても、すでにある建物の消防用設備等には従前の規定を適用すると定めていますが、その対象から「消火器、避難器具その他政令で定めるものを除く」としています(消防法第17条の2の5第1項)。消火器は、基準が変わった後も、従前の規定のままでよいという扱いにならない設備です。

旧規格かどうかは、本体の表示で見分けます。日本消火器工業会は、次の2点を挙げています。

  • 適応火災のマークが「文字表示」(普通・油・電気の文字)のものは旧規格、「絵表示」のものは新規格です。
  • 設計標準使用期限が書かれていない消火器は、旧規格です。

旧規格の消火器が設置されている場合は、すみやかに交換・リサイクルをするよう、日本消火器工業会が呼びかけています。

3. 点検でわかること。製造年と内部点検、整備

消火器の状態は、定期の点検で確かめます。防火対象物の関係者は、消防用設備等を定期に点検し、結果を消防長または消防署長に報告します(消防法第17条の3の3)。点検の結果は、維持台帳に記録します。報告の期間は、特定防火対象物は1年に1回、非特定防火対象物は3年に1回です(消防法施行規則第31条の6第3項)。特定防火対象物と非特定防火対象物の違いは、別の記事で説明しています。

点検は、延べ面積や用途などで、有資格者に点検させる場合があります(消防法施行令第36条第2項)。それ以外は関係者が行います。点検の基準は、消防庁告示第14号に定められています。

消防庁の「消防用設備等点検報告を自ら行っていただくために」は、消火器の点検で、最初に製造年を確認するとしています。製造年から5年(加圧式消火器は3年)を超えていない消火器は、自分で点検を行います。製造年から5年(加圧式は3年)を超えている消火器は、外から見る点検に加えて、消火薬剤や消火器内部の点検が必要で、消防設備業者等に依頼するか、消火器を買い替える、とされています。

自分で行う点検では、製造年の表示、本体容器(変形や損傷、溶接部の腐食やサビ、消火薬剤の漏れ)、安全栓、安全栓の封、使用済みの表示装置、レバー、キャップ、ホース、ノズル、指示圧力計の10項目を見ます。

消火器の整備は、消防設備士の免状を持つ人でなければ行えません(消防法第17条の5、消防法施行令第36条の2第2項第2号)。一方、消火器を新しく置く作業(工事)は、屋内消火栓設備やスプリンクラー設備と違い、免状が必要な工事の一覧に挙がっていません(消防法施行令第36条の2第1項)。免状が必要になるのは、置くときの作業ではなく、整備のときです。ただし、軽微な整備は、総務省令で、免状が必要な整備から除かれています(同条第2項)。

消火器の頭部

4. 廃棄のしくみ。特定窓口、指定引取場所、リサイクルシール

古い消火器の回収は、消火器メーカーでつくる日本消火器工業会が、販売店などと連携して進めています。

日本消火器工業会は、消火器について、処理困難として自治体による回収があまり行われていないため、廃棄物処理法の広域認定を各メーカーごとに取得して、販売業者等を通じて処理していたと説明しています。同工業会の報告には、2009年に老朽化した消火器の破裂事故が起きたことなどを踏まえ、新しい制度を導入した、とあります。同工業会は団体として広域認定を取得し(環境省の認可は平成21年12月28日)、2010年1月から新しいシステムの運用を始めました。どのメーカーが製造した消火器でも回収できるようになった、と説明されています。この内容は、総務省消防庁が各都道府県などに宛てた平成22年1月15日の事務連絡の別添に記されています。

回収の窓口は2種類あります。

窓口 担当 対応
特定窓口 消火器販売店などが担当します 消火器の「引き取り」と、持ち込みの両方に対応します
指定引取場所 メーカーの営業所などが担当します 消火器の「引き取り」のみに対応します

廃棄するときは、リサイクルシールを貼付します。現在持っている消火器には、「既販品用消火器リサイクルシール」を使います。指定引取場所または特定窓口で購入できます。2010年1月以降に製造された消火器は、シール付きで販売されています。シールを貼った消火器は、特定窓口または指定引取場所に持ち込みます。

この章のポイント

リサイクルシールが貼られている消火器は、すでにリサイクル料が支払われているため、廃棄の際に改めてリサイクル料を負担する必要はありません。ただし、運搬・保管の費用が別に必要になる場合があります(消防庁「消防用設備等点検報告を自ら行っていただくために」)。シールが貼られていない古い消火器は、窓口でシールを購入して貼ります。

日本消火器工業会の2010年の資料では、リサイクルシールの代金に含まれる運搬費用は、特定窓口や指定引取場所からリサイクル施設までの費用(二次物流費)です。ユーザーから窓口までの運搬費用(一次物流費)は、シールの代金には含まれません。同じ資料には、ゆうパックによる回収も可能と記されています。現在の取扱いは、窓口で確認してください。

窓口の探し方や廃棄の方法は、日本消火器工業会の公式ページ「消火器の処分・リサイクル」に案内があります。同工業会は、2010年1月以降に製造された消火器はリサイクルシール付きで販売されているとして、詳しくは消火器リサイクル推進センターのホームページを見るよう案内しています。2010年の同工業会の報告の図では、このシステムの利用者として、一般家庭と企業ユーザーが示されています。

台車に載せた消火器

5. 新しい消火器に置き換えるときの決まり

古い消火器を外したら、新しい消火器を置きます。このとき、置く消火器と置く場所に、決まりがあります。

消火器の選び方は、2点あります。1つ目は、検定の表示です。消火器は、型式適合検定に合格したことを示す表示が付されているものでなければ、販売や、販売の目的での陳列ができません。設置、変更、修理の請負に係る工事に使用することもできません(消防法第21条の2第4項、第21条の9第1項、消防法施行令第37条第1号)。2つ目は、消火の適応性です。防火対象物の用途、構造、規模、消火器の種類や性能に応じて、別表第二でその消火に適応するものとされている消火器具を置きます(消防法施行令第10条第2項第1号)。本数は、面積や能力単位から計算します。計算の方法は、別の記事で説明しています。

置き場所は、通行や避難に支障がなく、使うときに容易に持ち出せる箇所です(消防法施行令第10条第2項第2号)。消防法施行規則は、さらに細かく定めています(消防法施行規則第9条)。

  • 床面からの高さが1.5m以下の箇所に設けます。
  • 水などの消火剤が凍結し、変質し、または噴出するおそれが少ない箇所に設けます。保護のための有効な措置を講じたときは、この限りではありません。
  • 地震の震動などによる転倒を防ぐ適当な措置を講じます。粉末消火器など、転倒により消火剤が漏出するおそれのない消火器は、この限りではありません。
  • 設置した箇所に、「消火器」と表示した標識を見やすい位置に設けます。

階ごとに、建物の各部分から消火器までの歩行距離が20m以下になるように配置します(消防法施行規則第6条第6項第1号)。火を使う設備・器具がある延べ面積150㎡未満の飲食店など(規則では「小規模特定飲食店等」)は、火を使う設備・器具が設けられている階ごとに、建物の各部分から測ります(同項第2号)。少量危険物や指定可燃物を扱う場所に設ける消火器と、電気設備のある場所に設ける消火器は、それぞれその場所の各部分から測ります(同項第3号・第4号)。

消防庁のパンフレットは、設置ルールとして、水のかかる位置に設置していないか、厨房の床や作業場の地面などへの直置きを避け、壁掛け、設置台、格納箱に置いているか、適応火災の表示マークがあるか、「消火器」の標識が見やすい位置に付いているか、を挙げています。

記録については、消防法施行規則が、維持台帳を、点検結果の記録のほか、消防用設備等の工事、整備等の経過一覧表その他の維持管理に必要な書類を編冊したものと定めています(消防法施行規則第31条の6第3項)。古い消火器を外し、新しい消火器に置き換えた経過をどの書類に残すかは、不明な場合は、管轄の消防本部に確認してください。

6. まとめ

覚えておきたいポイント

・処分の前に、その消火器が消防法令で設置が必要な建物のものかを確かめます。設置の対象の建物では、消火器を設置し、維持する状態が続きます。

・新規格の消火器の本体には設計標準使用期限が書かれています。日本消火器工業会は、製造からおおむね10年(住宅用はおおむね5年)としています。

・適応火災のマークが文字表示のもの、設計標準使用期限が書かれていないものは旧規格です。消防法令で消火器の設置が義務付けられている建物等では、2022年1月1日以降、型式が失効した消火器の設置は認められません。

・点検では、製造年を最初に確認します。製造年から5年(加圧式は3年)を超えている消火器は、内部の点検が必要です。

・点検結果の報告は、特定防火対象物は1年に1回、非特定防火対象物は3年に1回です。

・廃棄の窓口は、特定窓口(消火器販売店等)と指定引取場所(メーカー営業所等)です。廃棄するときはリサイクルシールを貼ります。

・新しい消火器は、検定の表示があるものを選び、床面から1.5m以下などの決まりに沿って、歩行距離20m以下になるように配置します。

・不明な場合は、管轄の消防本部に確認してください。

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の建物や店舗への適用を保証するものではありません。実際の取り扱いは、管轄の消防本部に確認してください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次