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少量危険物の届出書。対象・提出時期・様式の確認のしかた

少量危険物の届出書。対象・提出時期・様式の確認のしかた

事業所に置く危険物が指定数量に満たなくても、置く量によって守る決まりは段階に分かれ、届出も条例に定められています。指定数量(危険物ごとに政令で決められた数量)に満たない危険物の貯蔵や取扱いの技術上の基準は、市町村の条例で定められるためです(消防法第9条の4)。灯油や軽油、溶剤などを置くときに、この量でも届出がいるのか、置き方に決まりはあるのかを確かめられるよう、今回読んだ現行の火災予防条例を例にします。条例は消防本部ごとに異なる場合があり、数量の区切りや基準も変わることがあります。この記事を読むと、倍数の計算、取扱いと場所の基準、届出の対象と時期、変更と廃止の手続きについて知ることができます。

目次

1. 少量危険物は、指定数量の5分の1以上で指定数量未満

少量危険物とは、危険物のうち、指定数量の5分の1以上で、指定数量未満のものをいいます(消防法施行令第10条第1項第4号)。指定数量は、危険物の類、品名、性状ごとに、危険物の規制に関する政令の別表第三が定めています(危険物の規制に関する政令第1条の11)。指定数量が200リットルの危険物なら、5分の1は40リットルですから、40リットル以上200リットル未満が少量危険物の範囲です。

一方、市町村の条例が基準を定めるのは、少量危険物に限らず、指定数量未満の危険物です(消防法第9条の4)。現行の条例では、置く量によって、定めが段階に分かれています。

置く量 条例の定め
指定数量未満(5分の1に満たない量を含む) 火気の使用や整理清掃など、基本の取扱い基準(条例第30条)
指定数量の5分の1以上で指定数量未満 基本の基準に加えて、位置・構造・設備などの基準(条例第31条〜第31条の8)と、消防長への届出(条例第46条)

届出の対象が5分の1以上であるのは、個人の住居以外の場合です。個人の住居で貯蔵し、または取り扱う場合は、2分の1以上が対象になります(条例第46条第1項)。

事業所で保管する容器

2. 倍数の計算と、同じ場所の合計

置いている危険物が1品名だけなら、その量が指定数量の5分の1以上かどうかを見れば足ります。品名が違う危険物を同じ場所に置いているときは、合計で判断します。合計の考え方は、条例第32条が定めています。

品名又は指定数量を異にする2以上の危険物を同一の場所で貯蔵し、又は取り扱う場合において、当該貯蔵又は取扱いに係る危険物の数量を当該危険物の指定数量の5分の1の数量で除し、その商の和が1以上となるときは、当該場所は指定数量の5分の1以上指定数量未満の危険物を貯蔵し、又は取り扱つているものとみなす。(条例第32条)

それぞれの量を「指定数量の5分の1の量」で割り、その商を足して、合計が1以上なら、5分の1以上の危険物を扱っている場所とみなされます。

合計の計算の例(仮の数値)

第一石油類の非水溶性液体(指定数量200リットル、5分の1は40リットル)と、第二石油類の非水溶性液体(指定数量1,000リットル、5分の1は200リットル)を、同じ場所に置いているとします。

例1 第一石油類が30リットル、第二石油類が150リットル。

30 ÷ 40 = 0.75

150 ÷ 200 = 0.75

合計 1.5

どちらも、単独では5分の1に満たない量です。しかし合計が1以上なので、5分の1以上の危険物を扱っている場所とみなされます。

例2 第一石油類が10リットル、第二石油類が50リットル。

10 ÷ 40 = 0.25

50 ÷ 200 = 0.25

合計 0.5

合計が1に満たないので、この計算では、5分の1以上とはみなされません。

指定数量で割った倍数で見ても、同じ結果になります。例1は、30÷200=0.15と150÷1,000=0.15で、合計0.3倍です。合計が0.2倍(5分の1)以上なので、みなされます。

条例が使っている言葉は「同一の場所」です。倉庫と作業場を一つの場所と数えるのか、建物ごとにまとめるのかといった範囲の判断は、置き方や配置によって変わります。不明な場合は、管轄の消防本部に確認してください。

3. 取扱いの基準。火気、整理、容器、積み重ねの高さ

守る基準のうち、まず取扱いの方法を定めたものを見ます。5分の1に満たない量にもかかる基本の基準は、条例第30条の6項目です。

  • 危険物を貯蔵し、取り扱う場所では、みだりに火気を使用しないこと。
  • 常に整理と清掃を行い、みだりに空箱その他の不必要な物を置かないこと。
  • 危険物が漏れ、あふれ、飛散しないように必要な措置を講ずること。
  • 容器は、危険物の性質に適応し、破損、腐食、さけめなどがないものであること。
  • 容器を、みだりに転倒させ、落下させ、衝撃を加え、引きずるなど、粗暴に扱わないこと。
  • 地震などで容器が転落、転倒し、または落下物で損傷を受けないように、必要な措置を講ずること。

(以上、条例第30条)

5分の1以上になると、これに加えて、17項目の共通基準があります(条例第31条の2第1項)。そのうち、事業所の実務に近い6つを挙げます。

  • 危険物を貯蔵し、取り扱う場所では、危険物の性質に応じて、遮光または換気を行うこと(第3号)。
  • 危険物を詰め替えるときは、防火上安全な場所で行うこと(第11号)。
  • 吹付塗装作業は、防火上有効な隔壁で区画された場所など、安全な場所で行うこと(第12号)。
  • 染色または洗浄の作業は、可燃性の蒸気の換気をよくして行い、廃液をみだりに放置しないこと(第14号)。
  • 容器に収納し、詰め替えるときは、危険物の規制に関する規則の別表が適応するとする内装容器(またはこれと同等以上と認められる容器)に収納し、温度変化などで漏れないように密封すること。容器には、見やすい箇所に表示をすること(第16号)。
  • 容器を積み重ねて貯蔵するときは、高さ3メートルを超えて積み重ねないこと。第4類の危険物のうち第3石油類と第4石油類の容器だけを積み重ねる場合は、4メートルまでです(第17号)。

危険物の類ごとにも、基準があります。第4類の危険物(灯油、軽油、ガソリンなどの引火性液体)は、炎、火花、高温体との接近や過熱を避け、みだりに蒸気を発生させないことが基準です(条例第31条の7第1項第4号)。

例外が二つあります。一つは、指定数量未満の第4類の危険物のうち動植物油類で、第30条から第31条の8までの基準が適用されません(条例第31条の9)。もう一つは、消防長が、品名と数量、取扱いの方法、周囲の状況などから、火災の発生や延焼のおそれが著しく少なく、被害を最小限度にとどめられると認めるときで、この章の基準は適用されないことがあります(条例第34条の3)。ただし、第30条と第31条の7、第32条は、この特例の対象から除かれています。

基準に違反した場合について、条例は、第30条に違反して5分の1以上指定数量未満の危険物を貯蔵し、または取り扱った者と、第31条に違反した者に、30万円以下の罰金を定めています(条例第50条)。

4. 場所の基準。標識、屋外の空地、屋内の壁と床

危険物を置く場所の位置、構造、設備の基準は、5分の1以上の危険物にかかります。屋外か屋内かで内容が分かれ、共通の基準もあります。

屋外でも屋内でも共通の基準があります(条例第31条の2第2項)。

  • 見やすい箇所に、危険物を貯蔵し、取り扱っている旨を表示した標識と、危険物の類、品名、最大数量、防火に関して必要な事項を掲げた掲示板を設けること(第1号)。
  • 危険物を取り扱う機械器具は、危険物の漏れ、あふれ、飛散を防止できる構造とすること(第2号)。
  • 危険物を加熱し、乾燥する設備は、原則として直火を用いない構造とすること(第4号)。
  • 静電気が発生するおそれのある設備には、静電気を有効に除去する装置を設けること(第8号)。

掲示板の大きさと色は、現行の火災予防規則が、危険物の性状ごとに定めています。第4類の危険物を貯蔵し、取り扱っている旨の掲示板は、長辺50センチメートル以上、短辺25センチメートル以上で、地は赤色、文字は白色です(火災予防規則第11条第2項、別表第3)。

屋外で置く場合は、条例第31条の3が定めています。架台に容器を貯蔵するときは、高さ6メートルを超えて危険物の容器を貯蔵してはなりません(第1項)。周囲には、容器等の種類と数量に応じた幅の空地を保有するか、防火上有効な塀を設けます。空地の幅は、タンクまたは金属製容器の場合、指定数量の2分の1以上指定数量未満で1メートル以上です。タンクと金属製容器以外の容器(条例の表では「その他の場合」)では、指定数量の5分の1以上2分の1未満で1メートル以上、2分の1以上指定数量未満で2メートル以上です。開口部のない防火構造の壁、または不燃材料で造った壁に面するときは、この空地や塀は求められません(第2項第1号)。

液状の危険物を取り扱う設備の下は、周囲に囲いを設けるなどして流出を防ぎ、地盤面はコンクリートなど危険物が浸透しない材料で覆い、適当な傾斜とためますを設けます(第2項第2号)。

屋内で置く場合は、条例第31条の3の2が定めています。

  • 壁、柱、床、天井は、不燃材料で造るか、不燃材料で覆うこと(第1号)。
  • 窓と出入口には、防火戸を設けること(第2号)。
  • 液状の危険物を置く床は、危険物が浸透しない構造にし、適当な傾斜をつけて、ためますを設けること(第3号)。
  • 危険物を扱うために必要な採光、照明、換気の設備を設けること(第5号)。
  • 可燃性の蒸気や微粉が滞留するおそれがあるときは、屋外の高所に排出する設備を設けること(第6号)。

このほか、タンクを使う場合は、タンクの容量に応じた鋼板の厚さなどが定められています(条例第31条の4〜第31条の6)。設備は、これらの基準に適合するように適正に維持管理されたものでなければなりません(条例第31条の8)。

倉庫や作業場の一角に置くときも、屋内の基準は、床の材質や壁の仕上げ、窓や出入口の戸に及びます。

容器を置く倉庫の棚

5. 届出の対象、時期、変更と廃止

この条例の届出は、第46条第1項に置かれています。

指定数量の5分の1以上(個人の住居で貯蔵し、又は取り扱う場合にあつては、指定数量の2分の1以上)指定数量未満の危険物及び別表第8で定める数量の5倍以上(再生資源燃料、可燃性固体類等及び合成樹脂類にあつては、同表で定める数量以上)の指定可燃物を貯蔵し、又は取り扱おうとする者は、あらかじめ、その旨を消防長に届け出なければならない。(条例第46条第1項)

対象は二つあります。一つは、指定数量の5分の1以上で指定数量未満の危険物です。個人の住居で貯蔵し、取り扱う場合は2分の1以上になります。もう一つは、条例の別表第8が定める数量以上の指定可燃物です。この記事は危険物を扱い、指定可燃物は別の記事で説明しています。

届出をする時期は、「あらかじめ」、つまり貯蔵や取扱いを始める前です。届出先は消防長(消防本部)です。条例が定めているのは「あらかじめ」までで、何日前までに出すのかという日数は定めていません。不明な場合は、管轄の消防本部に確認してください。

変更と廃止にも、同じ届出が必要です。条例は、「前項の規定は、同項の貯蔵及び取扱いの内容を変更し、又は廃止する場合について準用する。」と定めています(条例第46条第2項)。たとえば、置く危険物の品名を変える、量を増やす、貯蔵をやめる、といった場合です。

量を増やして、指定数量以上になるときは、条例の届出ではなく、消防法の許可の手続きになります。この分かれ目は、第7章で説明します。

6. 提出の方法と、届出のあと

現行の火災予防規則は、この届出を「少量危険物・指定可燃物貯蔵・取扱い開始・変更・廃止届出書」(別記様式第25号)で行うと定めています(火災予防規則第20条)。開始、変更、廃止が一つの届出書になっています。ほかの消防本部では、様式が異なるのが一般的です。

提出部数は2部です(火災予防規則第22条第1項)。消防本部は、届出を受理した場合で、火災予防上または消防活動上支障がないと認めるときは、届出済印を押印して、1部を交付します(火災予防規則第22条第2項)。

タンクを新しく設置する場合には、検査の制度もあります。消防長は、届出に係るタンクを製造し、または設置しようとする者の申出により、水張検査または水圧検査を行うことができます(条例第47条)。申出は、「少量危険物・指定可燃物貯蔵取扱いタンク水張・水圧検査申請書」(別記様式第26号)で行い(火災予防規則第21条)、検査を受けるときは手数料を納めます(条例第47条の2)。技術上の基準に適合していると認められたときは、検査済証が添えられた申請書の1部が交付されます(火災予防規則第22条第3項第2号)。

届出書を準備する前に、置く危険物の品名と量から倍数を出し、5分の1以上かどうかを確かめます。品名が複数あるときは、第2章の合計の計算が必要です。届け出るのは、その危険物を貯蔵し、または取り扱おうとする者です(条例第46条第1項)。

机に置かれたファイルとペン

7. 指定数量以上との分かれ目

条例の届出で済むのは、指定数量未満の範囲です。指定数量以上になると、消防法の定めに変わります。

指定数量以上の危険物は、貯蔵所以外の場所で貯蔵できず、製造所、貯蔵所、取扱所以外の場所で取り扱えません(消防法第10条第1項)。製造所、貯蔵所、取扱所を設置するには、市町村長または都道府県知事の許可を受けます。どちらの許可になるかは、設置する場所によって異なります(消防法第11条第1項)。ただし、所轄の消防長または消防署長の承認を受けて、10日以内の期間、仮に貯蔵し、または取り扱う場合は、この限りではありません(消防法第10条第1項ただし書)。

品名が違う危険物を同じ場所に置く場合の計算も、上限側にあります。それぞれの数量を指定数量で割った商の和が1以上になるときは、指定数量以上の危険物を貯蔵し、取り扱っているものとみなされます(消防法第10条第2項)。

下限側(第2章の条例第32条)は「指定数量の5分の1の量で割って合計1以上」、上限側は「指定数量で割って合計1以上」と、割る数が違います。少量危険物の範囲は、指定数量で割った倍数にすると、0.2倍以上1倍未満です。

少量危険物は、消火器の設置にも関わります。消防法施行令は、同令別表第一に掲げる建築物その他の工作物で、少量危険物または指定可燃物を貯蔵し、取り扱うものを、消火器具の設置対象に挙げています(消防法施行令第10条第1項第4号)。

許可を受けた製造所、貯蔵所、取扱所で、設備を変えずに品名や数量を変えるときは、消防法第11条の4の届出になります(消防法第11条の4第1項)。仮貯蔵の承認とあわせて、別の記事で説明しています。

8. まとめ

覚えておきたいポイント

・少量危険物は、指定数量の5分の1以上で指定数量未満の危険物です(消防法施行令第10条第1項第4号)。

・指定数量未満の危険物の貯蔵・取扱いの基準は、市町村条例で定められます(消防法第9条の4)。

・現行の条例では、5分の1未満は基本の取扱い基準、5分の1以上は位置・構造・設備の基準と届出が加わります(条例第30条、第31条、第46条)。

・品名が違う危険物を同じ場所に置くときは、それぞれの量を指定数量の5分の1の量で割り、合計が1以上なら5分の1以上とみなされます(条例第32条)。

・届出は、あらかじめ消防長に行います。変更と廃止にも同じ届出が必要です(条例第46条)。

・指定数量以上になると、条例の届出ではなく、製造所・貯蔵所・取扱所の許可の手続きです(消防法第10条、第11条)。

・不明な場合は、管轄の消防本部に確認してください。

複雑な届出は、専門家に依頼する方法もあります

届出書など、書類の作成や提出が難しいと感じるときは、行政書士などの専門家に依頼するのも一つの方法です。なお、施設がどの区分に当たるかは、管轄の消防本部に確認します。依頼すると、たとえば次のような点で、手間を減らせる場合があります。

・届出書の書式の選び方を相談できるため、書類を作り直す手間を減らせる場合があります。

・添える書面の確認を任せられるため、書類の不足や取り違えに気づきやすくなる場合があります。

・提出までの段取りを整理できるため、役所に出向く回数や、書類を何度も見直す手間を減らせる場合があります。

どの書類を任せられるかは、あらかじめ確認します。相談するかどうかは、ご自身で判断してください。

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の建物や店舗への適用を保証するものではありません。実際の取り扱いは、管轄の消防本部に確認してください。

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