「少量危険物にあたる」「指定数量の何倍か」と言われても、灯油や軽油、溶剤などを事業所に置いている場合、この量なら許可は要らないのかは、すぐには分かりません。判断の出発点は、危険物ごとに決まっている指定数量と、置いている量との比べ方です。複数の危険物を置いているときは、それぞれの量を指定数量で割って合計するため、1品目ずつ見ただけでは答えが出ません。指定数量に満たない場合の基準は市町村の条例に委ねられていて、条例の中身は市町村ごとに定められています。例に出す量は、仕組みを知っていただくための仮の数値です。この記事を読むと、少量危険物の意味、指定数量、倍数の計算、許可が必要になる境目について知ることができます。
1. 少量危険物は、指定数量の5分の1以上で指定数量未満
少量危険物は、消防法施行令で使われる語で、指定数量の5分の1以上で、指定数量未満の危険物のことです(消防法施行令第10条第1項第4号)。この記事でも、この意味で使います。
指定数量とは、危険物ごとに政令で決められた数量のことです(消防法第9条の4、危険物の規制に関する政令第1条の11)。
たとえば指定数量が200リットルの危険物なら、200リットルの5分の1は40リットルです。40リットル以上200リットル未満が少量危険物の範囲になります。200リットル以上は、第3章で説明するとおり、扱いが変わります。
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2. 指定数量は、類と品名、性状で決まる
危険物は、消防法別表第一で第一類から第六類までに分かれます。第一類は酸化性固体、第二類は可燃性固体、第三類は自然発火性物質及び禁水性物質、第四類は引火性液体、第五類は自己反応性物質、第六類は酸化性液体です(消防法別表第一)。
指定数量は、類別、品名、性質に応じて、危険物の規制に関する政令の別表第三に定められています。第一類から第三類、第五類、第六類は、品名や性質ごとに50キログラム、300キログラム、1,000キログラムのようにキログラムで決まっています。第四類は、リットルです。
第四類の指定数量と、その5分の1は、この表のとおりです(危険物の規制に関する政令別表第三)。
| 品名 | 指定数量 | 5分の1 |
|---|---|---|
| 特殊引火物 | 50リットル | 10リットル |
| 第一石油類(非水溶性液体) | 200リットル | 40リットル |
| 第一石油類(水溶性液体) | 400リットル | 80リットル |
| アルコール類 | 400リットル | 80リットル |
| 第二石油類(非水溶性液体) | 1,000リットル | 200リットル |
| 第二石油類(水溶性液体) | 2,000リットル | 400リットル |
| 第三石油類(非水溶性液体) | 2,000リットル | 400リットル |
| 第三石油類(水溶性液体) | 4,000リットル | 800リットル |
| 第四石油類 | 6,000リットル | 1,200リットル |
| 動植物油類 | 10,000リットル | 2,000リットル |
品名の例は、消防法別表第一の備考に挙がっています。特殊引火物はジエチルエーテルや二硫化炭素、第一石油類はアセトンやガソリン、第二石油類は灯油や軽油、第三石油類は重油やクレオソート油、第四石油類はギヤー油やシリンダー油です。引火点で分けると、第一石油類は21度未満、第二石油類は21度以上70度未満、第三石油類は70度以上200度未満、第四石油類は200度以上250度未満です。第二石油類から第四石油類までは、塗料類その他の物品で、組成等を勘案して総務省令で定めるものが除かれます(消防法別表第一備考)。
水溶性液体とは、1気圧、温度20度で同容量の純水と緩やかにかき混ぜたとき、流動がおさまった後も混合液が均一な外観を維持するものです。これに当たらないものが非水溶性液体です(危険物の規制に関する政令別表第三備考)。指定数量は、第一石油類でこの区分によって2倍違います。
3. 複数の危険物を置くときの倍数の計算と、許可が必要になる境目
指定数量以上の危険物は、貯蔵所以外の場所では貯蔵できず、製造所、貯蔵所、取扱所以外の場所では取り扱えません(消防法第10条第1項)。設置には市町村長または都道府県知事の許可が必要です。どちらの許可になるかは、設置する場所によって異なります(消防法第11条第1項)。なお、所轄の消防長または消防署長の承認を受けた場合は、10日以内の期間に限り、仮に貯蔵し、または取り扱うことができます(消防法第10条第1項ただし書)。
気をつけたいのは、品名が違う危険物を同じ場所に置く場合です。それぞれの危険物の数量を、その指定数量で割り、その商を足した和が1以上になるときは、指定数量以上の危険物を貯蔵し、取り扱っているものとみなされます(消防法第10条第2項)。
この記事では、貯蔵量を指定数量で割った数を「倍数」と呼びます。
第一石油類の非水溶性液体(指定数量200リットル)と、第二石油類の非水溶性液体(指定数量1,000リットル)を、同じ場所に置いているとします。
例1 第一石油類が100リットル、第二石油類が300リットル。
100 ÷ 200 = 0.5
300 ÷ 1,000 = 0.3
合計 0.8
合計は1未満なので、指定数量以上とはみなされません。それぞれの倍数が0.5と0.3で、いずれも5分の1(0.2)以上であるため、品名ごとに見ると、この記事でいう少量危険物の範囲です。
例2 第一石油類が150リットル、第二石油類が300リットル。
150 ÷ 200 = 0.75
300 ÷ 1,000 = 0.3
合計 1.05
合計が1以上なので、指定数量以上の危険物を貯蔵し、取り扱っているものとみなされます(消防法第10条第2項)。
例2のように、品名ごとの量が指定数量に届いていなくても、合計の倍数が1以上になることがあります。1つの品名だけで判断せず、同じ場所に置いているものを合計して確認します。
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4. 指定数量未満の基準は、市町村条例で定められる
指定数量未満の危険物の貯蔵と取り扱いの技術上の基準は、市町村条例で定められます。貯蔵し、取り扱う場所の位置、構造、設備の技術上の基準も同じです。ただし、第17条第1項の消防用設備等の技術上の基準は除かれます(消防法第9条の4)。
基準の中身は条例に任されているので、具体的な数値や設備の条件は、事業所のある市町村の条例で決まります。法が条例に委ねているのは、指定数量未満の危険物の基準です。5分の1以上のものに限る定めではありません(消防法第9条の4)。5分の1に満たない量を置く場合も含め、条例の内容は管轄の消防本部に確認してください。
指定可燃物も、同じ第9条の4で、貯蔵と取り扱いの基準が市町村条例に委ねられています(消防法第9条の4)。
少量危険物や指定可燃物を貯蔵し、または取り扱う建築物その他の工作物には、面積に関係なく、消火器の設置の定めがあります(消防法施行令第10条第1項第4号)。消火器がどの建物に必要かは、別の記事で説明しています。
くわしく知りたい方へ

5. まとめ
覚えておきたいポイント
・少量危険物は、指定数量の5分の1以上で、指定数量未満の危険物です(消防法施行令第10条第1項第4号の定義)。
・指定数量は、類・品名・性状ごとに、危険物の規制に関する政令の別表第三で決まります。
・同じ場所に品名の違う危険物を置くときは、数量を指定数量で割った商を足し、1以上なら指定数量以上とみなされます。
・指定数量以上は、製造所・貯蔵所・取扱所で扱い、設置には許可が必要です。
・指定数量未満の貯蔵・取り扱いの基準は、市町村条例で定められます。
・少量危険物や指定可燃物を扱う建築物は、面積に関係なく消火器の設置の定めがあります。
・不明な場合は、管轄の消防本部に確認してください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の建物や店舗への適用を保証するものではありません。実際の取り扱いは、管轄の消防本部に確認してください。

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