同じ4類の消防設備士でも、工事までできる甲種(甲4)と、整備を行う乙種(乙4)とでは、受験資格も、試験の問題数も異なります。自動火災報知設備にかかわる4類の受験を考えて調べ始めると、まず、どちらを受けるかを考えることになります。受験資格と合格基準、科目免除は概要にふれます。問題数と試験時間は、消防試験研究センター(以下、センター)の令和8年度試験案内によります。この記事を読むと、甲4と乙4の違い、出題の構成、学習の進め方について、消防法令とセンターの案内に沿って知ることができます。
1. 4類の対象設備と、甲4・乙4の違い
4類は、自動火災報知設備、ガス漏れ火災警報設備、消防機関へ通報する火災報知設備の工事または整備に関する免状です(消防法施行規則第33条の3第1項・第3項)。この3つは、消防法施行令で、火災の発生を報知する警報設備に区分されています(消防法施行令第7条第3項)。消防設備士免状は甲種と乙種の2種類で(消防法第17条の6第1項)、4類は、そのどちらにもあります。
甲4と乙4の違いは、行える内容です。
| 免状 | 行えること | 受験資格 |
|---|---|---|
| 甲種4類(甲4) | 工事または整備 | 定めあり |
| 乙種4類(乙4) | 整備 | 定めなし |
甲種が行えるのは工事または整備、乙種が行えるのは整備です(消防法第17条の6第2項、消防法施行規則第33条の3第1項・第3項)。免状の交付を受けていない人は、政令で定める消防用設備等の、設置に係る工事と整備を行ってはならないとされています(消防法第17条の5)。政令は、自動火災報知設備、ガス漏れ火災警報設備、消防機関へ通報する火災報知設備について、電源の部分を除いて、工事と整備の対象としています(消防法施行令第36条の2第1項・第2項第一号)。
センターの令和8年度試験案内には、4類の免状で扱う設備として、この3つのほかに、共同住宅用自動火災報知設備、住戸用自動火災報知設備、特定小規模施設用自動火災報知設備、複合型居住施設用自動火災報知設備も載っています。消防法施行規則は、「必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等」の工事や整備の種類を、消防庁長官が定めるとしています(消防法施行規則第33条の3第2項・第4項)。
火災の発生を知らせる警報設備には、4類の3つのほかに、漏電火災警報器と、非常ベル、自動式サイレン、放送設備などの非常警報設備があります(消防法施行令第7条第3項)。漏電火災警報器は7類で、整備が免状の対象です。非常ベルや放送設備は、消防法施行令第36条の2に挙がっていません(消防法施行令第36条の2第1項・第2項)。
設備を頼む側から見ると、自動火災報知設備を新しく設置する工事を頼む相手には、甲種4類の免状が必要です。すでにある設備の整備は、甲種または乙種の4類の免状を持つ人に頼みます。整備のうち、総務省令で定める軽微な整備は、免状が必要な整備から除かれています(消防法施行令第36条の2第2項)。その範囲と、点検をだれが行うかは、消防設備士とはの記事で説明しています。
くわしく知りたい方へ
・自動火災報知設備の設置基準。消防法施行令別表第一の項ごとの延べ面積と、階・部分の基準
・特定小規模施設用自動火災報知設備とは。通常の自動火災報知設備との違いと、対象の建物

2. 受験資格と、試験の方法
乙4には受験資格の定めがなく、受験資格を証明する書類を出す必要もありません(消防法第17条の8第4項、消防法施行規則第33条の13第1項)。
甲4には受験資格があります。学歴によるもの、乙種免状の交付を受けたあとの免状が必要な整備の経験によるもの、電気工事士など総務省令で定めるものがあり、その3点は、別の記事で説明しています(消防法第17条の8第4項、消防法施行規則第33条の8第1項)。受験資格を証明する書類は、資格ごとに異なります。たとえば、電気工事士は免状、乙種免状と整備の経験で受ける人は、免状と実務経験証明書です(センターの令和8年度試験案内)。
甲4の免状は、甲種特類の受験資格の条件の一つにもなります。特類の条件は、消防設備士とはの記事で説明しています。
試験は、筆記試験と実技試験で行います(消防法施行規則第33条の9第2号)。筆記は、4つの選択肢から選ぶ方式で、マークシートに記入します。実技は、鑑別等と製図で、写真、イラスト、図面などを使った記述式です。試験の実施場所と受験地は、消防設備士とはの記事で説明しています。日程と受付期間は、受験する支部ごとに異なります。
くわしく知りたい方へ
3. 出題の構成
甲4は筆記45問と実技7問、乙4は筆記30問と実技5問です。4類の筆記には、機械に関する問題がありません。センターの一覧表では、試験問題がない欄に「–」の印が付けられています。
| 科目 | 甲種4類 | 乙種4類 |
|---|---|---|
| 消防関係法令 | 15問(共通8問、類別7問) | 10問(共通6問、類別4問) |
| 電気に関する基礎的知識 | 10問 | 5問 |
| 構造・機能と工事・整備の方法 | 20問(電気12問、規格8問) | 15問(電気9問、規格6問) |
| 筆記の合計 | 45問 | 30問 |
| 実技 | 鑑別等5問、製図2問 | 鑑別等5問 |
| 試験時間 | 3時間15分 | 1時間45分 |
(センターの令和8年度試験案内。試験時間の内訳は、甲4が筆記2時間15分と実技1時間、乙4が筆記1時間30分と実技15分)
科目の並びは、甲4も乙4も同じです。違いは、問題数と、甲4の実技に製図が加わることです。筆記と実技は、同じ試験時間の中で行われます。
消防関係法令の「共通」は、すべての指定区分に共通する内容の部分です。この部分は、ほかの類を受験するときの免除の対象になります(消防法施行規則第33条の11第4項第1号)。「類別」は、4類に関する部分です。構造・機能と工事・整備の方法は、センターの表で「電気」と「規格」に分けて問題数が示されていて、「規格」は、センターの表の区分名です。
4類の筆記で、電気に関する問題は、基礎的知識と、構造・機能の電気の部分に分かれています。甲4では、基礎的知識の10問と、構造・機能の電気12問を合わせて22問で、筆記45問のほぼ半分です。乙4では、基礎的知識の5問と、構造・機能の電気9問で14問、筆記30問の半分近くです。

4. 製図と、実技の準備
製図は、甲種の実技にあります。甲種4類の実技は、鑑別等5問と製図2問で、乙種4類の実技は、鑑別等5問だけです。
ここで間違えやすいのは、製図が4類の甲種だけにあるわけではない点です。センターの甲種の一覧表では、製図の2問は、甲種の1類から5類のすべてにあります。乙種は、1類から7類のどの類でも、実技は鑑別等5問です。甲種特類は、試験が筆記だけです(消防法施行規則第33条の9第1号)。特類を除く甲種の実技に製図がある、と覚えておけば、類を変えて受験するときにも通じます。
実技は、筆記の内容と結びつけて準備します。筆記の構造・機能で学んだ内容を、写真や図と対応させて、名称や働きを自分で書けるようにしておきます。甲4では、製図が加わるため、図面の読み方や描き方も範囲です。実技の免除は、電気工事士の免状があるときの、鑑別等の1問です(センターの令和8年度試験案内、消防法施行規則第33条の11第2項)。成績は60%以上が必要です。
問題の出され方は、センターが公開している過去に出題された問題が参考になります。公開の範囲と利用の条件は、消防設備士6類(消火器)の試験。出題構成と、学習の進め方をやさしく解説と、センターの過去に出題された問題のページで確認できます。
5. 合格基準と、免除
合格の基準は、筆記は科目ごとに40%以上、かつ全体で60%以上、実技は60%以上です(消防法施行規則第33条の11の2)。計算の例と、免除を受けた場合の判定は、消防設備士とはの記事で説明しています。
免除は、申請が必要です(消防法施行規則第33条の11)。4類は、電気に関する問題が筆記の約半分を占めるため、免除の影響が大きい類です。免除の内容は、別の記事で説明しています。
くわしく知りたい方へ
・消防設備士とは。工事・整備・点検でできることと、免状・試験の仕組みをやさしく解説
・消防設備士の類の選び方。特類から7類までの対象設備と、甲種・乙種の違いを解説

6. 科目ごとの学習の進め方
ここから先は、センターの案内や法令にある学習方法ではありません。問題数の配分と、筆記の科目ごとに40%以上という合格基準を手がかりに、学ぶ順序を組み立てています。
構造・機能と工事・整備の方法(甲4は20問、乙4は15問)を軸にします。 筆記の中で、最も問題数が多い科目です。4類の対象設備の構造や機能が中心で、電気の問題と規格の問題があります。テキストの図を、感知器や受信機などの写真と見比べると、名前と働きが結びつきやすくなります。
電気の基礎的知識(甲4は10問、乙4は5問)に、時間を多く配ります。 4類の基礎的知識は、電気だけです。電気に関する問題は、基礎的知識と構造・機能の電気を合わせて、筆記の約半分を占めます。科目ごとに40%以上が必要なため、甲4の基礎的知識では4問以上、乙4では2問以上の正答が必要です。電気工事士や電気主任技術者の免状があれば、この電気の部分が免除の対象になります。
消防関係法令(甲4は15問、乙4は10問)は、共通と類別を分けます。 共通の部分は、ほかの類の試験にも通じる内容で、類別の部分が、4類に関する部分です。科目ごとの40%は、甲4の法令なら6問、乙4の法令なら4問です。共通の部分は、免状を取ったあとに別の類を受けるとき、免除の対象になります。
実技は、筆記の内容と結びつけて準備します。 実技は記述式で、写真やイラスト、図面などを見て答えます。筆記は選択肢から選びますが、実技では、名称や働きを自分で書く必要があります。
甲4と乙4は、科目の並びが同じです。 甲4は筆記が15問多く、実技に製図が加わります。
筆記は科目ごとに40%以上が必要です。電気の問題が筆記の約半分を占めるため、基礎的知識と構造・機能の電気に時間を配ります。実技は、筆記で学んだ内容を、写真や図面と結びつけて準備します。
7. まとめ
覚えておきたいポイント
・4類は、自動火災報知設備、ガス漏れ火災警報設備、消防機関へ通報する火災報知設備の工事または整備に関する免状です。
・甲4は工事または整備、乙4は整備を行えます。
・乙4には受験資格の定めがなく、甲4には受験資格があります。
・試験は、甲4が筆記45問と実技7問、乙4が筆記30問と実技5問です。4類に、機械の問題はありません。
・製図は、甲種の1類から5類のすべてにあります。乙種の実技は、鑑別等だけです。
・合格基準は、筆記は科目ごとに40%以上、全体で60%以上、実技は60%以上です。
・免除は申請が必要です。4類は電気に関する問題が筆記の約半分を占めるため、免除の影響が大きい類です。
・試験の最新情報は、消防試験研究センターの案内で確認してください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、受験資格や科目免除の適用を保証するものではありません。実際の取り扱いは、消防試験研究センターの案内で確認してください。

コメント
コメント一覧 (4件)
[…] あわせて読みたい関連記事 👉【完全版】消防設備士4類|難易度・勉強法・実技対策まで消防設備士が徹… […]
[…] […]
[…] […]
[…] […]