消防法令手続きから設備点検、防火管理サポートまでワンストップで支援

壁・天井の仕上げが関係する倍読みの条件。難燃材料と、屋内消火栓・消火器の基準

壁・天井の仕上げが関係する倍読みの条件。難燃材料と、屋内消火栓・消火器の基準

壁や天井の仕上げが関わる消防用設備の基準は、屋内消火栓設備と消火器にあります。設置の基準になる面積を2倍や3倍に読み替える「倍読み」の条件に、壁・天井の仕上げ(難燃材料)が入っているためです(消防法施行令第11条第2項、消防法施行規則第6条第2項)。店や事務所の内装を替えるときは、仕上げが消防用設備の基準に関わるのかどうかを、確かめておきたいところです。スプリンクラー設備を定める消防法施行令第12条には、仕上げに当たる語がありません。飲食店、店舗、工場、倉庫、事務所など、1つの使い方で使っている建物を前提にしています。この記事を読むと、設備ごとに、仕上げが基準にどう関わるかという条件の違いについて知ることができます。

目次

1. 倍読みの条件に出てくる言葉は「難燃材料」

倍読みとは、設置の基準になる面積の数値を、建物の造りに応じて2倍や3倍に読み替える決まりのことです。

消防法施行令第11条、消防法施行令第12条、消防法施行規則第6条は、「内装制限」という語を使っていません。壁・天井の仕上げは、「難燃材料(燃えにくい材料)でした」という形で書かれています。「難燃材料」の意味は、消防法施行令第11条第2項が、建築基準法施行令第1条第6号に規定するものとして引いています(消防法施行令第11条第2項)。

設備 壁・天井の仕上げが条件になる倍読み
屋内消火栓設備 3倍、および建築基準法第2条第9号の3イ・ロに該当する防火対象物の2倍
消火器 2倍
スプリンクラー設備 消防法施行令第12条に、仕上げに当たる語はありません

(消防法施行令第11条第2項、第12条、消防法施行規則第6条第2項)

2. 屋内消火栓設備の倍読み

屋内消火栓設備の倍読みは、建物の構造と、壁・天井の仕上げの2点で、3倍と2倍に分かれます。特定主要構造部は、建物の主要な構造部分で、消防法施行令第11条第2項が建築基準法第2条第9号の2イに規定するものとして引いています。耐火構造は、火災に耐える性能をもつ構造です。

読み替え 建物の構造 壁・天井の仕上げ
3倍読み 特定主要構造部を耐火構造とした建物 難燃材料でしてある
2倍読み(その1) 特定主要構造部を耐火構造とした建物 条件なし
2倍読み(その2) 準耐火建築物のうち、条文が定める2つの区分(イ・ロ)のどちらかに当たるもの(建築基準法第2条第9号の3イ・ロ) 難燃材料でしてある

(消防法施行令第11条第2項)

自分の建物に当てはめると、次のようになります。

  • 耐火構造で、壁・天井の仕上げも難燃材料 → 3倍読み
  • 耐火構造で、仕上げは難燃材料ではない → 2倍読み
  • 準耐火建築物(イ・ロ)で、壁・天井の仕上げが難燃材料 → 2倍読み
  • 上のどれにも当たらない → 読み替えはなく、通常の数値のまま

仕上げの条件が加わるのは、3倍読みと、準耐火建築物の2倍読みです。耐火構造とした建物の2倍読みには、仕上げの条件はありません。

倍読みになるのは、設置の基準になる延べ面積や床面積の数値です。指定可燃物(危険物の規制に関する政令別表第四の品名欄に掲げる物品で、同表の数量欄に定める数量以上のもの)を多く貯蔵し、または取り扱う場合の基準は、倍読みの対象外です(消防法施行令第11条第1項第5号、第2項)。

倉庫の例(仮の数値です)

倉庫((十四)項)は、延べ面積700㎡以上で屋内消火栓設備の設置が必要です(消防法施行令第11条第1項第2号)。特定主要構造部を耐火構造とし、壁と天井の仕上げを難燃材料でした倉庫なら、3倍の2,100㎡以上が基準になります(同条第2項)。延べ面積1,500㎡の倉庫は、延べ面積の基準では2,100㎡を下回ります。ただし、地階・無窓階(避難上又は消火活動上有効な開口部を有しない階)・4階以上の階がないものとし、指定可燃物の貯蔵や取り扱いも考えない場合です。

面積ごとの読み替え後の数値や、項ごとの基準は、屋内消火栓設備の記事で説明しています。

壁と天井が白く仕上げられた室内

3. 壁・天井の「どこ」が仕上げの条件になるか

仕上げの条件がかかる部分は、条文で決まっています。屋内消火栓設備の倍読みの条文では、この部分が次のように書かれています(消防法施行令第11条第2項)。

壁及び天井(天井のない場合にあつては、屋根。以下この項において同じ。)の室内に面する部分(回り縁、窓台その他これらに類する部分を除く。以下この項において同じ。)の仕上げを難燃材料(建築基準法施行令第一条第六号に規定する難燃材料をいう。以下この項において同じ。)でした

見られるのは、室内に面する壁と天井の仕上げです。天井がない場合は、屋根の室内に面する部分になります。回り縁や窓台などは、条件の対象から除かれています。条文が定めているのは、ここまでです。造り付けの棚や床など、括弧書きで挙げられていない部分の扱いは、不明な場合は、管轄の消防本部に確認してください。

4. 消火器の倍読み

消火器の倍読みは2倍で、3倍の定めはありません。その2倍は、特定主要構造部を耐火構造とし、かつ、壁と天井の仕上げを難燃材料でした建物に限られます(消防法施行規則第6条第2項)。

同じ「倍読み」でも、屋内消火栓設備とは条件が違います。屋内消火栓設備では、耐火構造とした建物の2倍に仕上げの条件がありません。消火器では、耐火構造であることと、難燃材料の仕上げであることの両方がそろって、2倍になります。

消火器では、延べ面積を割る面積(1つの能力単位あたりの面積)の数値を2倍にします。

事務所の例(仮の数値です)

事務所などの事業場((十五)項)は、延べ面積または床面積を200㎡で割った数が、必要な能力単位の数値の合計になります(消防法施行規則第6条第1項)。特定主要構造部を耐火構造とし、壁と天井の仕上げを難燃材料でした事務所なら、割る面積は400㎡になります(同条第2項)。

消火器の必要本数の計算は、消火器の記事で説明しています。

壁際に置かれた消火器

5. スプリンクラー設備と、壁・天井の仕上げ

スプリンクラー設備の設置基準を定める消防法施行令第12条には、壁・天井の仕上げや難燃材料に当たる語はありません。

関係する語として、第1項第1号は、「火災発生時の延焼を抑制する機能を備える構造として総務省令で定める構造」を有するもの以外を対象にしています。構造の中身は、総務省令に委ねられています(消防法施行令第12条第1項第1号)。

屋内消火栓設備の倍読みの条文は、括弧書きで、消防法施行令第12条第1項第1号に掲げる防火対象物の読み替えに上限を設けています(消防法施行令第11条第2項)。くわしくは屋内消火栓設備の記事で説明しています。

内装制限と消防用設備の関係は、こちらの記事でも取り上げています。

コンクリート造の倉庫の外観

6. まとめ

覚えておきたいポイント

・倍読みの条件として、壁・天井の仕上げが「難燃材料でした」と定められているのは、屋内消火栓設備と消火器です(消防法施行令第11条第2項、消防法施行規則第6条第2項)。

・屋内消火栓設備は、3倍と、建築基準法第2条第9号の3イ・ロに該当する防火対象物の2倍で仕上げの条件があり、耐火構造とした建物の2倍には仕上げの条件がありません(消防法施行令第11条第2項)。

・消火器は、耐火構造と難燃材料の仕上げが両方そろったときの2倍です(消防法施行規則第6条第2項)。

・スプリンクラー設備を定める消防法施行令第12条には、壁・天井の仕上げに当たる語はありません。

・不明な場合は、管轄の消防本部に確認してください。

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の建物や店舗への適用を保証するものではありません。実際の取り扱いは、管轄の消防本部に確認してください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメント一覧 (2件)

コメントする

目次