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(六)項イとロの違い。病院・診療所と福祉施設の区別、(六)項イ(1)〜(4)の判定

(六)項イとロの違い。病院・診療所と福祉施設の区別、(六)項イ(1)〜(4)の判定

(六)項の区分は、まず施設の種類でイ・ロ・ハ・ニに分け、イの中は診療科名や病床、職員の体制で(1)から(4)に分ける、という順で見分けます。診療所を開く、あるいは老人ホームを運営するとなると、「うちの施設は(六)項イの何番にあたるのか。老人ホームはイなのか、ロなのか」と、消防の区分を確かめる場面が出てきます。病院や診療所、老人ホーム、保育所、幼稚園などの医療・福祉の施設は、消防法施行令別表第一の(六)項に分けられますが、同じ(六)項でも、イ・ロ・ハ・ニで設備の基準が変わり、イはさらに(1)から(4)に分かれます。分かれ目は、病院・診療所・助産所か福祉施設かという施設の種類と、イの中では、診療科名や病床、職員の体制です。この記事を読むと、この区別と判定の考え方、項と区分で変わる設備の基準について知ることができます。

目次

1. (六)項は、イ・ロ・ハ・ニの4つに分かれる

消防法施行令別表第一の(六)項は、施設の使い方で4つに分かれています。

区分 施設(消防法施行令別表第一)
イ 病院、診療所、助産所。(1)から(4)に分かれる
ロ 老人短期入所施設、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、救護施設、乳児院、障害児入所施設、障害者支援施設など
ハ 老人デイサービスセンター、老人福祉センター、保育所、児童養護施設、児童発達支援センター、更生施設のほか、ロに当たらない軽費老人ホーム・有料老人ホーム、障害者の生活介護や就労継続支援などを行う施設など
ニ 幼稚園、特別支援学校

(六)項は、イからニまで、特定防火対象物です(消防法第17条の2の5第2項第4号、消防法施行令第34条の4第2項)。

診療所の待合室

2. 病院・診療所と福祉施設は、どこで分かれるか

医療の施設は(六)項イ、福祉の施設は(六)項ロまたはハです。イには「病院」「診療所」「助産所」が挙げられています(消防法施行令別表第一)。(六)項ロ(1)の「その他これらに類するもの」には、看護や療養上の管理その他の医療を提供する施設も含まれますが、(六)項イに掲げるものは除かれます(消防法施行規則第5条第6項)。

老人ホームや障害者施設などでは、ロとハの分かれ目は、入居・入所させる人の状況です。

  • 老人ホーム: 軽費老人ホームと有料老人ホームは、「避難が困難な要介護者を主として入居させるもの」が(六)項ロ(1)です。それ以外は(六)項ハ(1)です。
  • 小規模多機能型居宅介護事業を行う施設: 「避難が困難な要介護者を主として宿泊させるもの」が(六)項ロ(1)で、それ以外は(六)項ハ(1)です。
  • 障害者支援施設: 「避難が困難な障害者等を主として入所させるもの」が(六)項ロ(5)で、それ以外は(六)項ハ(5)です。短期入所や共同生活援助を行う施設も、「避難が困難な障害者等を主として入所させるもの」が(六)項ロ(5)で、それ以外は(六)項ハ(5)です。

(消防法施行令別表第一)

「避難が困難な要介護者」は、要介護状態区分のうち消防法施行規則が指定する区分に当たる人です(消防法施行規則第5条第5項)。「避難が困難な障害者等」は、障害支援区分のうち消防法施行規則が指定する区分に当たる人です(消防法施行規則第5条第7項)。「主として」という条件がつくため、施設の種類の名前だけでは、ロかハかが決まらない施設があります。

3. (六)項イ(1)〜(4)の分かれ方

(六)項イは、施設の種類と、入院・入所の施設の有無などで、4つに分かれます。

区分 当たる施設(消防法施行令別表第一)
(1) 病院で、診療科名の中に特定診療科名があり、療養病床または一般病床を持つもの(総務省令で定める体制を有するものを除く)
(2) 診療所で、診療科名の中に特定診療科名があり、4人以上の患者を入院させるための施設を持つもの
(3) (1)に当たらない病院、(2)に当たらない入院施設のある診療所、入所施設のある助産所
(4) 入院施設のない診療所、入所施設のない助産所

病院は、(1)か(3)です。診療所は、入院施設がなければ(4)、入院施設があって(2)の2つの条件に当たれば(2)、当たらなければ(3)です。助産所は、入所施設があれば(3)、なければ(4)です。

診療所の例(仮の数値です)

診療科名が眼科と歯科だけで、5人の患者を入院させる施設がある診療所は、(2)に当たりません。眼科と歯科は特定診療科名から除かれており(消防法施行規則第5条第4項)、(3)です。

診療科名に内科があり、3人の患者を入院させる施設がある診療所は、4人以上の入院施設がないため(2)に当たらず、(3)です。

診療科名に内科があり、4人以上の患者を入院させる施設がある診療所は、(2)です。

4. 特定診療科名と病床は、何を見るか

(1)と(2)の判定には、「診療科名中に特定診療科名を有すること」という条件があります。特定診療科名は、「内科、整形外科、リハビリテーション科その他の総務省令で定める診療科名」です(消防法施行令別表第一)。

総務省令で定める特定診療科名は、医療法施行令第3条の2に規定する診療科名のうち、次のもの以外です(消防法施行規則第5条第4項)。

  • 肛門外科、乳腺外科、形成外科、美容外科、小児科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、眼科、耳鼻いんこう科、産科、婦人科
  • 上の診療科名と、医療法施行令第3条の2第1項第1号ハ(1)から(4)までに定める事項とを組み合わせた名称
  • 歯科
  • 歯科と、医療法施行令第3条の2第1項第2号ロ(1)と(2)に定める事項とを組み合わせた名称

診療科名中に特定診療科名を有していれば、この条件に当たります。

病院の(1)には、もう一つ条件があります。医療法第7条第2項第4号に規定する療養病床、または同項第5号に規定する一般病床を有することです(消防法施行令別表第一)。どちらも有しない病院は(1)に当たらず、(3)になります。診療所の(2)には、病床の種類の条件はなく、4人以上の患者を入院させるための施設を有することが条件です。

福祉施設の廊下

5. 職員の体制で、(1)から除かれる病院

特定診療科名と病床の条件に当たる病院でも、「火災発生時の延焼を抑制するための消火活動を適切に実施することができる体制を有するものとして総務省令で定めるもの」は、(1)から除かれます(消防法施行令別表第一)。その体制は、消防法施行規則第5条第3項の2つの条件を、どちらも満たすものです。

  • 職員の数: 勤務させる医師、看護師、事務職員その他の職員の数が、病床数が26床以下のときは2、26床を超えるときは2に13床までを増すごとに1を加えた数を、常時下回らない体制(第1号)
  • 宿直を除いた職員の数: 宿直勤務を行わせる者を除いた職員の数が、病床数が60床以下のときは2、60床を超えるときは2に60床までを増すごとに2を加えた数を、常時下回らない体制(第2号)
病床数の例(仮の数値です)

病床が39床の病院では、職員の数は3人以上(2に、26床から13床増えた分の1を加えた数)です。宿直を除いた職員の数は、60床以下なので2人以上です。病床が120床の病院では、宿直を除いた職員の数は4人以上(2に、60床から60床増えた分の2を加えた数)です。

この体制を有する病院は(1)から除かれ、(3)になります。(3)は「病院((1)に掲げるものを除く。)」と定められているためです(消防法施行令別表第一)。

6. 項と区分で変わる設備の基準

(六)項は、イ・ロ・ハ・ニと、イの(1)〜(4)で、設備の基準が変わります。区分で差が出る主な設備の基準を、抜粋して表にします。

区分 消火器 自動火災報知設備 消防機関へ通報する火災報知設備 スプリンクラー設備 防火管理者を定める収容人員
イ(1)・(2) 面積に関係なく 面積に関係なく 面積に関係なく 面積に関係なく(総務省令で定める構造を除く) 30人以上
イ(3) 面積に関係なく 面積に関係なく 面積に関係なく 平屋建以外で床面積の合計3,000㎡以上、11階以上など 30人以上
イ(4) 延べ150㎡以上 延べ300㎡以上 延べ500㎡以上 平屋建以外で床面積の合計6,000㎡以上、11階以上など 30人以上
ロ 面積に関係なく 面積に関係なく 面積に関係なく (1)・(3)は面積に関係なく。(2)・(4)・(5)は、介助がなければ避難できない者を主として入所させるものは面積に関係なく、それ以外は延べ275㎡以上 10人以上
ハ 延べ150㎡以上 入居・宿泊させるものは面積に関係なく、それ以外は延べ300㎡以上 延べ500㎡以上 平屋建以外で床面積の合計6,000㎡以上、11階以上など 30人以上
ニ 延べ150㎡以上 延べ300㎡以上 延べ500㎡以上 平屋建以外で床面積の合計6,000㎡以上、11階以上など 30人以上

(消防法施行令第10条第1項、第12条第1項、第21条第1項、第23条第1項、第1条の2第3項第1号)

スプリンクラー設備の欄の「など」には、地階・無窓階で床面積1,000㎡以上、4階以上10階以下で床面積1,500㎡以上の階の基準(第11号イ)と、指定可燃物の基準(第8号)があります。また、第1号の「面積に関係なく」の区分は、総務省令で定める構造を有するものが除かれます(消防法施行令第12条第1項第1号、消防法施行規則第12条の2)。

表に載せていない非常警報設備も、区分で基準が分かれます。(六)項イは収容人員20人以上で、非常ベル、自動式サイレン、放送設備のいずれかを設置します(消防法施行令第24条第2項第1号)。(六)項ロ、ハ、ニは、収容人員が20人以上50人未満のときは非常警報器具、50人以上(地階・無窓階は20人以上)のときは非常ベルなどです(消防法施行令第24条第1項、第2項第2号)。

このほか、駐車の用に供される部分や、発電機・変圧器などの電気設備がある部分には、床面積に応じて水噴霧消火設備などの基準があり、一定の建物には動力消防ポンプ設備の基準があります(消防法施行令第13条、第20条)。

机の上のファイルとペン

7. 判定の考え方

区分は、上から順に当てはめると決まります。

1. 医療の施設か、福祉の施設か。 病院、診療所、助産所なら(六)項イです。福祉の施設は(六)項ロまたはハ(ハには、通所の施設なども入ります)、幼稚園と特別支援学校は(六)項ニです。

2. (六)項イなら、入院・入所の施設があるか。 診療所と助産所は、入院・入所の施設がなければ(4)です。

3. 入院・入所の施設があるなら、診療科名と病床を見る。 病院は、特定診療科名があり、療養病床または一般病床を有し、第5章の職員の体制を有しなければ(1)で、それ以外は(3)です。診療所は、特定診療科名があり、4人以上の入院施設があれば(2)、それ以外は(3)です。入所施設のある助産所は(3)です。

4. 福祉施設なら、入居・入所させる人の状況を見る。 老人ホームや障害者支援施設などは、避難が困難な要介護者や障害者等を主として入居・入所させるかどうかで、ロとハに分かれます。

区分が決まれば、第6章の基準に当てはめます。不明な場合は、管轄の消防本部に確認してください。

8. まとめ

覚えておきたいポイント

・(六)項は、イ(病院・診療所・助産所)、ロ・ハ(福祉施設)、ニ(幼稚園・特別支援学校)の4つに分かれ、すべて特定防火対象物です。

・老人ホームや障害者施設などは、ロとハの分かれ目が、避難が困難な要介護者や障害者等を主として入居・入所させるかです。

・(六)項イ(1)は、病院で、特定診療科名があり、療養病床または一般病床を有するものです。職員の体制を有する病院は除かれ、(3)になります。

・(六)項イ(2)は、診療所で、特定診療科名があり、4人以上の患者を入院させる施設があるものです。

・特定診療科名は、医療法施行令第3条の2の診療科名のうち、眼科、皮膚科、小児科、歯科など、消防法施行規則が除くもの以外です。

・区分によって、消火器、自動火災報知設備、通報設備、スプリンクラー設備の面積の基準と、防火管理者を定める収容人員が変わります。

・不明な場合は、管轄の消防本部に確認してください。

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の建物や店舗への適用を保証するものではありません。実際の取り扱いは、管轄の消防本部に確認してください。

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