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消防訓練のやり方。年の回数、事前の通報、進め方をやさしく解説

消防訓練のやり方。年の回数、事前の通報、進め方をやさしく解説

消防訓練の回数は、建物が特定防火対象物か非特定防火対象物かで分かれ、事前の通報と事後の報告にも決まりがあります。防火管理者を置く建物では訓練を行うことになりますが、「うちは年に2回やるのか。消防署に何か出すのか。当日は何をすればいいのか」という疑問が続きます。そのため、飲食店と事務所、工場とで答えが変わる部分も出てきます。第6章の進め方は、法令で決まったものではなく、使いやすい進め方の一例です。この記事を読むと、年の回数を中心に、訓練をだれが行うか、事前の通報、記録と報告、当日の進め方について知ることができます。

目次

1. 消防訓練は、だれの仕事か

訓練は、防火管理者の業務です。消防法は、一定の建物に防火管理者を置くことを義務にしていて、その防火管理者が行う業務として、訓練も挙げています。

(前略)防火管理者を定め、政令で定めるところにより、当該防火対象物について消防計画の作成、当該消防計画に基づく消火、通報及び避難の訓練の実施、(中略)収容人員の管理その他防火管理上必要な業務を行わせなければならない。(消防法第8条第1項)

消防計画とは、防火管理のための計画のことです。消防法施行規則は、この消防計画に定める事項の一つとして、次の内容を挙げています。

消火、通報及び避難の訓練その他防火管理上必要な訓練の定期的な実施に関すること。(消防法施行規則第3条第1項第1号チ)

思いついたときに行うのではなく、消防計画に基づいて、定期的に行うものです。

2. 年に何回行うのか

回数は、建物が「特定防火対象物」か「非特定防火対象物」かで分かれます。特定防火対象物は、飲食店や店舗、旅館、病院など、多数の人が出入りする建物です。非特定防火対象物は、それ以外の建物です。

区分 建物の例 訓練の回数
特定防火対象物 飲食店、物販店、旅館、病院など、多数の人が出入りする建物 消火訓練と避難訓練を年2回以上
非特定防火対象物 工場、事務所、倉庫など 消防計画に定めた回数

特定防火対象物の防火管理者について、消防法施行規則は、こう定めています。

令別表第一(一)項から(四)項まで、(五)項イ、(六)項、(九)項イ、(十六)項イ又は(十六の二)項に掲げる防火対象物の防火管理者は、令第三条の二第二項の消火訓練及び避難訓練を年二回以上実施しなければならない。(消防法施行規則第3条第10項)

「令」は消防法施行令のことで、「令別表第一」は、建物の使い方ごとに「項」を決めた表です。飲食店は(三)項ロ、物販店は(四)項で特定防火対象物にあたり、工場は(十二)項イ、倉庫は(十四)項、事務所などの事業場は(十五)項で非特定防火対象物にあたります(消防法施行規則第3条第10項、消防法施行令別表第一)。

この条文に並ぶ項は、特定防火対象物のうち(十六の三)項(建築物の地階で連続して地下道に面して設けられたもの)を除いたものと一致します(消防法第17条の2の5第2項第4号、消防法施行令第34条の4)。

非特定防火対象物でも、訓練を消防計画に定めて定期的に行うことは変わりません。回数は消防計画の定めに従います(消防法施行規則第3条第1項第1号チ)。

特定防火対象物では、1回では足りません。自分の建物がどちらにあたるかは、下のページで見分け方を説明しています。

3. 訓練の種類と、全体の流れ

訓練には、消火訓練、避難訓練、通報訓練の3種類があります。消火訓練は消火器などで初期の消火を行うもの、避難訓練は建物の外へ避難するもの、通報訓練は119番へ通報するものです。特定防火対象物で年2回以上とされているのは、このうち消火訓練と避難訓練です(消防法施行規則第3条第10項)。

通報訓練は、消防計画に定める事項の中で、訓練の一つとして挙げられています(消防法第8条第1項、消防法施行規則第3条第1項第1号チ)。ただ、年2回以上と決まっているのは消火訓練と避難訓練で、通報訓練の回数は、消防計画に定めた回数に従います。通報訓練を省く前に、消防計画の内容を確認してください。

3つを組み合わせて行う訓練を、「総合訓練」と呼ぶことがあります。

流れは、日時・場所・想定・参加者・訓練の種類を決めて計画し、特定防火対象物ではあらかじめ消防機関に通報し(第4章)、役割分担を決めて消火器などを用意し、実施し、振り返って記録に残す、という順です。

消火器を使った訓練

4. 訓練の前に、消防署へ通報する

この章のポイント

特定防火対象物の防火管理者は、訓練の前に、あらかじめ消防機関に通報します。

通報は、消防訓練実施計画通知書で行います。

消防署への事前の通報が条文にあるのは、特定防火対象物の防火管理者です。

前項の防火管理者は、同項の消火訓練及び避難訓練を実施する場合には、あらかじめ、その旨を消防機関に通報しなければならない。(消防法施行規則第3条第11項)

「前項の防火管理者」は、第2章で見た、年2回以上の訓練を行う特定防火対象物の防火管理者です(消防法施行規則第3条第11項)。非特定防火対象物で事前の通報が必要かどうかは、不明な場合は管轄の消防本部に確認してください。

事前の通報は、消防訓練実施計画通知書を消防署に提出して行います。条文が定めているのは「あらかじめ」「その旨を消防機関に通報」までです。

5. 訓練の後の記録と報告

訓練が終わったら、結果を記録に残します。次回の訓練を見直すときに役立ちます。残す内容は、たとえば実施した日時と場所、参加した人数、行った訓練の種類と内容、振り返りで出た直す点です。

記録をいつまで保管するかは、消防計画に決めた方法に従います。決めていないときは、消防計画に書き足します。

不明な場合は、管轄の消防本部に確認してください。

避難経路の通路

6. 当日の進め方

ここからは、事業所で使いやすい進め方の例です。法令で決められた型ではないので、建物や人数に合わせて変えてください。

想定は、自分の事業所で火災が起きそうな場所と時間に合わせて決めます。

想定の例(仮のものです)

飲食店の例: 厨房の電気機器から出火。営業時間中

事務所の例: 給湯室の電気機器から出火。就業時間中

工場の例: 作業場の電気機器から出火。作業中

流れは、どの例でも共通です。

1. 従業員が火災を見つけ、大きな声で周囲に知らせる

2. 通報係が119番に通報する(住所、建物名、火災の状況を伝える)

3. 初期消火係が、安全を確認しながら消火器で初期消火を行う

4. 避難誘導係が、非常口へ避難を誘導する

5. 全体を見る人(防火管理者など)が、取り残された人がいないか確認する

役割は、通報係、初期消火係、避難誘導係、全体を見る人の4つに分けると決めやすくなります。担当する人を前もって決めておかないと、当日に動き出しにくくなります。

30分で行うなら、こうした配分が考えられます。

時間 内容
0〜5分 事前の説明、役割の確認
5〜10分 出火の想定、通報
10〜20分 消火、避難誘導
20〜30分 振り返り

避難を呼びかける声は、具体的な言葉で短く伝えます。「逃げてください」より「火災発生!非常口から避難してください!」、「危ないです」より「こちらから避難してください!」のほうが、何をすればいいかが伝わります。声に出す練習まで含めて、訓練として行います。

訓練後の振り返り

7. 形だけの訓練にしないために

説明を聞くだけで終わらせず、消火器を持つ、避難経路を歩くなど、体を動かす場面を入れてください。

避難経路は、物が置かれていないか、鍵がかかっていないかを、現場で確かめます。通報は、住所、建物名、状況を、声に出して練習します。最後に、うまくいった点と直す点を全員で共有すれば、次回の訓練に生かせます。

回数や事前の通報など、条文で決まっている点は第2章と第4章に書きました。この章の内容は、条文ではなく、進め方の例です。

8. まとめ

覚えておきたいポイント

・消防訓練は、防火管理者が行う業務です。消防計画に基づいて、定期的に行います。

・まず、自分の建物が特定防火対象物か、非特定防火対象物かを確かめます。

・特定防火対象物(飲食店、店舗、旅館、病院など)は、消火訓練と避難訓練を年2回以上行います。

・特定防火対象物は、訓練の前に、消防訓練実施計画通知書で消防署へ事前に通報します。

・非特定防火対象物(工場、事務所、倉庫など)は、消防計画に定めた回数で行います。通報訓練の回数も同じです。

・訓練が終わったら、日時、場所、参加人数、内容、直す点を記録に残します。

・当日は、想定、役割分担、避難を呼びかける声を前もって決めておきます。体を動かす場面を入れると、形だけの訓練になりにくくなります。

・不明な場合は、管轄の消防本部に確認してください。

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の建物や店舗への適用を保証するものではありません。実際の取り扱いは、管轄の消防本部に確認してください。

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