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防火対象物点検・報告とは。対象の建物、点検の時期、報告と表示をやさしく解説

防火対象物点検・報告とは。対象の建物、点検の時期、報告と表示をやさしく解説

防火対象物点検は、消防用設備等の点検・報告とは別に、消防法第8条の2の2が定めている制度で、根拠となる条文も、点検をする人も異なります。対象になるかどうかは、建物の用途と、収容人員や階段の条件によって決まります。建物の管理を任されると、消防用設備等の点検は知っていても、うちも対象なのかを確かめたくなります。この記事を読むと、対象の建物、点検をする人、点検の時期と報告、点検済の表示、特例認定、報告をしなかった場合の扱いについて知ることができます。

防火対象物点検・報告
目次

1. 消防用設備等の点検とは別の制度です

防火対象物点検は、建物の管理について権原(その建物の管理について決める権利)を持つ人が、防火対象物点検資格者に点検させ、結果を消防長または消防署長に報告する制度です。点検するのは、防火管理上必要な業務、消防の用に供する設備、消防用水や消火活動上必要な施設の設置と維持、その他火災の予防上必要な事項です(消防法第8条の2の2第1項)。

消火器や自動火災報知設備などの消防用設備等の点検と報告は、消防法第17条の3の3に別の定めがあります。防火対象物点検の条文には、消防用設備等の点検と報告の対象になる事項を除くという但し書きがあり、二つは重ならないように分けられています(消防法第8条の2の2第1項)。

項目 防火対象物点検 消防用設備等の点検
根拠 消防法第8条の2の2 消防法第17条の3の3
点検する内容 防火管理上必要な業務、設備の設置と維持、その他火災の予防上必要な事項 消防用設備等
点検する人 防火対象物点検資格者 政令で定める防火対象物は、消防設備士免状の交付を受けている人または総務省令で定める資格を持つ人。それ以外は自ら点検
報告先 消防長または消防署長 消防長または消防署長

2. 対象になる建物

対象になるのは、防火管理者を定める建物(消防法第8条第1項の防火対象物)のうち、政令で定めるものです(消防法第8条の2の2第1項)。その中で、対象の用途の建物で、収容人員が300人以上のものは対象です。300人に満たなくても、階段の条件に当たると対象になるため、小さな店舗でも対象になることがあります。

対象になる用途は、消防法施行令が先に決めています(消防法施行令第4条の2の2)。消防法施行令別表第一の用途では、劇場、遊技場、飲食店、百貨店や物販店、旅館・ホテル、病院や福祉施設、サウナなどの蒸気浴場といったものが挙がっています。工場、倉庫、事務所などの事業場は、対象の用途ではありません。この用途は、特定防火対象物のうち、(十六の三)項を除いたものに当たります(消防法第17条の2の5第2項第4号、消防法施行令第34条の4)。飲食店は(三)項ロ、物販店は(四)項で特定防火対象物、工場は(十二)項イ、事務所などは(十五)項で非特定防火対象物です。見分け方は、特定防火対象物と非特定防火対象物の違い。該当する項と、点検報告・訓練・防火管理者の基準で案内しています。

防火管理者を定める建物のうち、この用途の建物が対象になるのは、収容人員が300人以上のとき(消防法施行令第4条の2の2第1号)か、階段の条件に当たるときです。階段の条件は、(一)〜(四)項、(五)項イ、(六)項、(九)項イの用途に使われる部分が避難階以外の階(1階と2階を除く)にあり、その階から避難階または地上に直通する階段が2以上ないときです。階段が屋外に設けられているか、総務省令で定める避難上有効な構造の場合は、1以上あれば足ります(消防法施行令第4条の2の2第2号)。

たとえば、防火管理者を定めている、収容人員が100人の飲食店(仮の数値です)でも、3階にあり、避難階または地上に直通する階段が1つだけで、その階段が屋外階段などでない場合は、後者に当たることがあります。この例は仮のもので、実際の判定ではありません。収容人員の数え方は、防火対象物の収容人員の算定方法|用途別の式と計算例で説明しています。

建物の階段

自分の建物が対象かどうか不明な場合は、管轄の消防本部に確認してください。

3. 点検をする人

点検は、防火対象物点検資格者が行います。建物を管理する側は、この資格者に点検させ、結果を報告します(消防法第8条の2の2第1項)。

防火対象物点検資格者は、消防設備士、防火管理者、市町村の消防職員、建築士など、規則に挙げられた経歴と実務経験(3年以上、5年以上など、区分ごとに年数が異なります)を持つ人が、総務大臣の登録を受けた法人(登録講習機関)の講習を修了し、免状の交付を受けた人です(消防法施行規則第4条の2の4第4項)。防火管理者に選ばれていても、講習を修了して免状の交付を受けていなければ、防火対象物点検資格者ではありません。

4. 点検の時期と内容、報告

点検は、1年に1回行います(消防法施行規則第4条の2の4第1項)。新型インフルエンザ等そのほか消防庁長官が定める事由により、その期間ごとの点検が困難なときは、消防庁長官が定める期間ごとに行います(同項ただし書)。

点検では、規則が定める基準に適合しているかを見ます。基準に含まれる項目には、たとえば以下があります(消防法施行規則第4条の2の6第1項)。

  • 防火管理者の選任・解任の届出と、消防計画の届出がされていること
  • 消防計画に基づき、消防庁長官が定める事項が適切に行われていること
  • 避難上必要な施設と防火戸が、適切に管理されていること
  • 消防用設備等が、消防庁長官の定めるところにより、法令に従って設置されていること

基準には、このほかの項目もあります。届出の書類は、防火管理者の選任・解任の届出書の書き方。項目ごとの記入のしかたと添付書類と、消防計画の届出の決まり。決める事項、取り違えやすい点、防火管理者を変えるときの別の届出で説明しています。

点検の結果は、権原を持つ人が、防火管理維持台帳に記録して保存します。台帳には、選任・解任や消防計画の届出書類の写し、点検の報告書の写し、消防計画に基づく訓練や自主検査などの状況を記載した書類などを、まとめて綴じます(消防法施行規則第4条の2の4第2項)。報告書の様式は、消防庁長官が定めます(同条第3項)。

報告をするのは、点検を依頼した権原を持つ人です(消防法第8条の2の2第1項)。

5. 点検済の表示

点検の結果、点検基準に適合していると防火対象物点検資格者に認められたときは、点検を行った日などを記載した表示を、建物に付けることができます(消防法第8条の2の2第2項)。付けるかどうかは、法が「付することができる」と定めているもので、義務ではありません。

表示を付けるには、規則に従って1年に1回の点検を行っていることと、点検基準に適合していることが要件です。表示は、規則の様式で、建物の見やすい箇所に付けます(消防法施行規則第4条の2の7第1項・第2項)。記載する事項には、点検を行った日から1年後の年月日、権原を持つ人の氏名、点検した資格者の氏名などがあります(消防法施行規則第4条の2の7第3項)。

この表示は、要件を満たす場合以外は付けてはならず、紛らわしい表示も付けてはなりません(消防法第8条の2の2第3項)。そのような表示があるときは、消防長または消防署長が、表示の除去や消印を命ずることができます(消防法第8条の2の2第4項)。

建物の入口の表示板

6. 特例認定

一定の要件を満たす建物は、消防長または消防署長の認定を受けると、防火対象物点検の規定が適用されなくなります(消防法第8条の2の2第5項)。認定を受けるには、権原を持つ人が申請して検査を受けます(消防法第8条の2の3第2項)。

要件は、申請者が建物の管理を開始してから3年が経過していることと、過去3年以内に法所定の命令を受けたことがなく、受けるべき事由も現にないこと、過去3年以内に点検・報告がされなかったことや虚偽の報告がされたことがないこと、過去3年以内の点検で基準に適合していないと認められたことがないこと、法令の遵守の状況が優良であると認められること、などです(消防法第8条の2の3第1項)。要件の細かい内容と手続きは、下の記事で説明しています。

認定は、受けてから3年が経過したときや、権原を持つ人が変わったときに、効力を失います。ただし、3年が経過する前にその防火対象物について第2項の申請がされているときは、申請に対する通知があったときに効力を失います(消防法第8条の2の3第4項)。

7. 報告をしなかった場合

点検結果の報告をせず、または虚偽の報告をした人は、30万円以下の罰金または拘留に処せられます(消防法第44条第11号)。法人の代表者や、法人または人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人または人の業務に関して違反したときは、行為者を罰するほか、その法人にも、その人にも、罰金刑が科されます(消防法第45条第3号)。

表示についても、要件を満たさないのに付けたり、紛らわしい表示を付けたりした場合は、30万円以下の罰金または拘留です(消防法第44条第3号)。

8. まとめ

覚えておきたいポイント

・防火対象物点検は、消防用設備等の点検とは別の制度です。点検するのは防火対象物点検資格者です。

・対象は、防火管理者を定める建物のうち、政令で定めるものです。対象の用途の建物で、収容人員が300人以上のものと、階段の条件に当たるものです。用途は、飲食店や物販店、旅館、福祉施設などで、特定防火対象物のうち(十六の三)項を除いたものです。工場や事務所などの事業場は対象の用途ではありません。

・点検は1年に1回行います。

・点検の結果は、権原を持つ人が、消防長または消防署長に報告します。台帳に記録して保存します。

・点検基準に適合したときは、点検済の表示を付けることができます。要件を満たさない表示は付けられません。

・特例認定を受けた建物には、防火対象物点検の規定が適用されません。認定は3年で効力を失います。

・報告をせず、または虚偽の報告をした場合は、30万円以下の罰金または拘留です。

・不明な場合は、管轄の消防本部に確認してください。

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の建物や店舗への適用を保証するものではありません。実際の取り扱いは、管轄の消防本部に確認してください。

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