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火を使用する設備の設置届出。対象設備・提出時期・様式を、現行の火災予防条例の条文で解説

火を使用する設備の設置届出。対象設備・提出時期・様式を、塩谷広域行政組合の条例を例に解説

火を使う設備の設置の届出は、火災予防条例の第44条第1項に、第1号から第15号までの号で対象が挙げられています(今回読んだ現行の火災予防条例の例)。厨房の機器を入れ替えるときや、工場に乾燥設備を置く予定があるときは、役所への届出が要るのかを確かめておく必要があります。対象になるかどうかは、設備の種類と、数値の条件によって分かれます。その中身は条文で確かめられ、数値は、この条例の原文のとおりです。条例は消防本部ごとに異なる場合があります。この記事を読むと、対象になる設備と数値、届出の時期、様式について知ることができます。

目次

1. 設置の届出は、火災予防条例に定められている

消防法第9条は、火を使う設備の位置・構造・管理などを、市町村の条例で定めるとしています。

かまど、風呂場その他火を使用する設備又はその使用に際し、火災の発生のおそれのある設備の位置、構造及び管理、こんろ、こたつその他火を使用する器具又はその使用に際し、火災の発生のおそれのある器具の取扱いその他火の使用に関し火災の予防のために必要な事項は、政令で定める基準に従い市町村条例でこれを定める。(消防法第9条)

現行の条例は、この第9条などに基づく条例です(条例第1条)。設置の届出は、同じ条例の第44条に定められています。設備の種類を挙げたうえで、それらを設置しようとする者は、「あらかじめ、その旨を消防長に届け出なければならない」としています(条例第44条第1項)。

届出の相手は消防長(管轄の消防本部)、届け出る人は設備を設置しようとする人、届け出る時期は設置の前です。どの設備が対象になるかは、第2章で見ていきます。

2. 届出の対象になる設備と、数値

第44条第1項は、第1号から第15号までの号(枝番の号を含みます)で対象を挙げています(条例第44条第1項)。設備の種類によって、数値の条件があるものと、ないものがあります。

設備 数値などの条件
熱風炉 数値の条件なし
多量の可燃性ガス又は蒸気を発生する炉 数値の条件なし
上の2つ以外の炉 据付面積2平方メートル以上(個人の住居に設けるものを除く)
厨房設備 その設備の入力と、同じ厨房室内に設ける他の厨房設備の入力の合計が350キロワット以上
温風暖房機 入力70キロワット以上(風道を使用しないものは、劇場等及びキヤバレー等に設けるものに限る)
ボイラー 数値の条件なし(個人の住居に設けるもの、労働安全衛生法施行令第1条第3号に定めるものを除く)
給湯湯沸設備 入力70キロワット以上(ボイラーと同じ除外あり)
乾燥設備 数値の条件なし(個人の住居に設けるものを除く)
簡易サウナ設備 数値の条件なし(個人が設けるものを除く)
一般サウナ設備 数値の条件なし(個人の住居に設けるものを除く)
内燃機関によるヒートポンプ冷暖房機 入力70キロワット以上
火花を生ずる設備、放電加工機 数値の条件なし
変電設備 高圧又は特別高圧のもの(全出力50キロワット以下を除く)
急速充電設備 全出力50キロワット以下を除く
燃料電池発電設備 条例第8条の3第2項又は第4項に定めるものを除く
内燃機関を原動力とする発電設備 固定して用いるもの(条例第12条第4項に定めるものを除く)
蓄電池設備 蓄電池容量が20キロワット時以下のものを除く
ネオン管灯設備 設備容量2キロボルトアンペア以上
水素ガスを充填する気球 数値の条件なし

火を使う設備でも、ふろがま、ストーブ、壁付暖炉、簡易湯沸設備は、位置・構造・管理の基準は別に定められていますが(条例第3条の2、第5条、第6条、第8条)、第44条の対象として定められているのは、表の設備です。「火花を生ずる設備」は、グラビア印刷機、ゴムスプレッダー、起毛機、反毛機のように、操作に際して火花を生じ、かつ可燃性の蒸気または微粉を放出する設備のことです(条例第10条)。

「個人の住居に設けるもの」を除く、という除外は、据付面積2平方メートル以上の炉、ボイラー、給湯湯沸設備、乾燥設備、一般サウナ設備にあります。簡易サウナ設備は「個人が設けるもの」が除外です。店舗や工場、事務所に設ける設備は、住居に設けるものではないため、この除外の文言には当たりません。店舗と住居が一体になった建物など、この除外に当たるか迷う場合は、設置する設備と建物の使い方を示して、管轄の消防本部に確認します。

機械室に設置されたボイラー

3. 届出の時期、届出書の種類、部数

届出の時期は、「あらかじめ」、つまり設備を設置する前です。条例が定めているのは「あらかじめ」までで、何日前という日数は定めていません(条例第44条第1項)。防火対象物の使用開始の届出が「使用開始の日の7日前まで」と日数で定められているのとは、書き方が違います(条例第43条第1項)。使用開始の届出は、別の記事で説明しています。

設備を変更しようとする場合にも、同じ届出が準用されます(条例第44条第2項)。第44条第2項が準用を定めているのは、変更までです。同じ条例の少量危険物等の届出は、変更と廃止の両方に準用すると定めています(条例第46条第2項)。入れ替えや増設をするときに、設置と変更のどちらの届出になるのか。不明な場合は、管轄の消防本部に確認してください。

届出書は、設備の区分によって4種類に分かれます(現行の火災予防規則第17条)。

設備 届出書
熱風炉から放電加工機まで(条例第44条第1項第1号〜第8の2号) 火気使用設備等設置(変更)届出書
変電設備、急速充電設備、燃料電池発電設備、内燃機関を原動力とする発電設備、蓄電池設備 電気設備等設置(変更)届出書
ネオン管灯設備 ネオン管灯設備設置(変更)届出書
水素ガスを充填する気球 水素ガスを充填する気球の設置届出書

この規則に別記様式(第15号〜第18号)が定められていますが、ほかの消防本部では、様式が異なるのが一般的です。使う様式は、管轄の消防本部に確認してください。

届出書は2部を提出します。受理した消防本部が、火災予防上または消防活動上支障がないと認めるときは、届出済印を押して1部を交付します(火災予防規則第22条第1項第17号、第2項)。

4. 届出の対象でなくても、基準は設備ごとに定められている

届出が要らない大きさの設備でも、位置・構造・管理の基準は適用されます。届出の対象は第44条に挙がった設備ですが、基準は第3条から第17条の2まで、設備ごとに別に定められています。届出の要否と、基準の適用は、別の話です。

たとえば厨房設備です。調理を目的として使用するレンジ、フライヤー、かまど等の設備には、入力の合計が350キロワット未満で届出が要らない場合でも、条例第3条の4の基準が適用されます(条例第3条の4第1項)。

  • 排気ダクトと天蓋は、耐食性のある鋼板などで造り(設備の入力と使用状況から支障がないと認められるものを除く)、建築物等の可燃性の部分や可燃性の物品との間に10センチメートル以上の距離を保つ(金属以外の不燃材料で有効に被覆する部分を除く)。
  • 排気ダクトは、直接屋外に通じるものとし、他の用途のダクトと接続しない。
  • 油脂を含む蒸気を発生させるおそれのある設備の天蓋には、グリス除去装置と、排気ダクトへの火炎の伝送を防ぐ装置を設ける(それぞれにただし書の例外がある)。
  • 天蓋と、天蓋に接続する排気ダクト内の油脂等の清掃を行い、維持管理する。

自動消火装置の条件は、厨房設備のすべてにかかるものではありません。対象は、油脂を含む蒸気を発生させるおそれのある厨房設備のうち、一定の用途の建物の地階に設けるものと、高さ31メートルを超える建築物に設けるもので、入力の合計が350キロワット以上のものです。これらの厨房設備では、天蓋に設ける火炎伝送防止装置を自動消火装置とします(条例第3条の4第1項第2号エ)。同じ「350キロワット以上」は、不燃材料で区画された室内に設けるという基準にも出てきます(条例第3条の4第2項、第3条第3項)。

電気設備では、基準が適用される範囲と、届出が必要な範囲の線が、別々に引かれています。

設備 基準が適用される範囲 届出が必要な範囲
変電設備 屋内に設けるものは、全出力20キロワット以下を除く 高圧又は特別高圧で、全出力50キロワット以下を除く
急速充電設備 全出力20キロワット以下を除く 全出力50キロワット以下を除く
蓄電池設備 蓄電池容量10キロワット時以下を除く(10キロワット時を超え20キロワット時以下は、令和5年消防庁告示第7号第2に定めるものも除く) 蓄電池容量20キロワット時以下を除く

(条例第11条第1項、第11条の2第1項、第13条第1項、第44条第1項第9号・第10号・第13号)

急速充電設備には、屋外に設ける場合、全出力50キロワット以下のものなどを除いて、建築物から3メートル以上の距離を保つ基準もあります(条例第11条の2第1項第1号)。

これらの基準は、消防長が、設備の位置・構造・管理や周囲の状況から、基準によらなくても火災予防上支障がないと認めるときは、適用されません(条例第17条の3)。特例を適用する場合は、消防長が、必要な事項について資料を提出させ、または検査を行います(火災予防規則第15条)。

厨房の排気フード

5. 設置したあとも続く、設備ごとの管理の基準

第44条と火災予防規則第17条が定めているのは、届出の対象、届出書の種類、受理したときの扱い(届出済印の押印と1部の交付)までです。届出が済んだあとも、設備ごとに管理の基準が続きます。基準の中身は設備によって違うため、設置する設備の条を、あらかじめ読んでおきます。

  • 炉は、周囲の整理と清掃、点検と整備、本来の使用燃料以外を使わないことが基準です。液体燃料を使う炉と電気を熱源とする炉は、点検と整備を、必要な知識と技能を持つ者として消防長が指定する者に行わせます。燃料の性質などで異常燃焼のおそれがある炉は、異常燃焼を防ぐ措置を講じた場合を除き、使用中に監視人を置きます(条例第3条第2項)。
  • 厨房設備は、天蓋と、天蓋に接続する排気ダクト内の油脂等の清掃を行い、維持管理します(条例第3条の4第1項第4号)。
  • 電気設備のうち、屋内に設ける変電設備は、消防長が指定した者に、設備の各部分の点検と絶縁抵抗などの測定試験を行わせ、不良箇所は直ちに補修させたうえで、結果を記録して保存します(条例第11条第1項第9号)。この基準は、屋内に設ける蓄電池設備とネオン管灯設備にも準用されます(条例第13条第2項、第14条第2項)。

記録の様式は「電気設備等の点検・試験結果記録表」(別記様式第11号)です。他の法令による点検等の記録で内容が確認できる場合は、この様式によらなくてかまいません(火災予防規則第12条)。

設備の管理の状況は、消防本部が現場で確認することもあります。消防長または消防署長は、火災予防のために必要があるときに、職員を仕事場、工場などに立ち入らせて、消防対象物の位置、構造、設備、管理の状況を検査させることができます。個人の住居は、関係者の承諾を得た場合などを除いて、立ち入らせることができません(消防法第4条第1項)。

設置計画を確認する机

6. 似た届出との関係

火を使う設備の設置届出とは別に、同じ条例には、事業所が関わりやすい届出がほかにもあります。

  • 防火対象物の使用開始の届出: 令別表第一に掲げる防火対象物を、それぞれの用途に使用しようとする者が、使用開始の日の7日前までに出します。用途、構造、消防用設備等を変更しようとする場合にも準用されます(条例第43条)。新しく店舗や事務所を開くときは、設備の設置届出(あらかじめ)と、使用開始の届出(7日前まで)で、基準になる日が異なります。
  • 指定数量未満の危険物等の貯蔵・取扱いの届出: 指定数量の5分の1以上指定数量未満の危険物などを貯蔵し、または取り扱おうとする者が、あらかじめ出します。変更と廃止にも準用されます(条例第46条)。液体燃料を使用する炉には、位置・構造・管理の基準として、少量危険物の基準(第30条など)の一部が準用されています(条例第3条第4項)。

どちらも、設備の設置届出とは別の条文に定められた手続きです。設置する設備の種類、燃料の量、建物の使い方によって、必要になる届出は異なります。

7. まとめ

覚えておきたいポイント

・火を使用する設備の設置の届出は、現行の火災予防条例の第44条に定められています。

・対象は第44条第1項の各号に挙がっています。炉、厨房設備、ボイラー、乾燥設備、変電設備、急速充電設備、蓄電池設備、ネオン管灯設備などがあります。

・厨房設備は入力の合計350キロワット以上、給湯湯沸設備と温風暖房機は入力70キロワット以上、蓄電池設備は20キロワット時を超えるもの、ネオン管灯設備は2キロボルトアンペア以上です。

・届出の時期は「あらかじめ」で、日数は条例に定められていません。変更にも準用されます。

・届出書は2部を提出します。

・届出の対象でなくても、位置・構造・管理の基準は設備ごとに適用されます。

・防火対象物の使用開始の届出(7日前まで)や、少量危険物等の届出は、別の手続きです。

・不明な場合は、管轄の消防本部に確認してください。

複雑な届出は、専門家に依頼する方法もあります

届出書など、書類の作成や提出が難しいと感じるときは、行政書士などの専門家に依頼するのも一つの方法です。なお、建物がどの項に当たるかは、管轄の消防本部に確認します。依頼すると、たとえば次のような点で、手間を減らせる場合があります。

・届出書の書式の選び方を相談できるため、書類を作り直す手間を減らせる場合があります。

・添える書面の確認を任せられるため、書類の不足や取り違えに気づきやすくなる場合があります。

・提出までの段取りを整理できるため、役所に出向く回数や、書類を何度も見直す手間を減らせる場合があります。

どの書類を任せられるかは、あらかじめ確認します。相談するかどうかは、ご自身で判断してください。

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の建物や店舗への適用を保証するものではありません。実際の取り扱いは、管轄の消防本部に確認してください。

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